急な米テーパリング(量的緩和縮小)懸念は消失している

イエレン米財務長官は『大きな行動が賢明』と明言

米大統領交代時には、政権高官人事も注目される。とりわけ経済分野を担当する高官がマーケットフレンドリーな人物かどうかが投資家の興味の対象となる。1月20日に発足した米バイデン政権も同様で、大統領に対して経済政策に関する助言を行い、米連邦政府の財政政策と金融政策を決定する上で重要な役割を担っている「財務長官」に誰が就任するかが特に注目されていた。

バイデン政権で第78代米財務長官に就任したのは、2014年~2018年に米連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めたジャネット・イエレン氏、投資家にはおなじみの人物だ。2017年9月に、2008年からの金融危機後、2014年まで続いた3度の量的緩和策(QE)後の「ゼロ金利政策」を解除し、QEで米FRBが買い入れた資産を減らして平時に戻す「金融政策の正常化」を、マーケットの波乱なく達成した人物としても知られる。

1月19日の米議会公聴会でイエレン財務長官(注:正式就任前)は、「財政政策について、大規模な経済対策で債務は増大するものの、金利が歴史的な低水準にある現在、大きな行動に出ることが最も賢明であり、長期的には経済対策の恩恵はコストを大きく上回る」と証言した。この意は「債務の水準よりも、財政支出がもたらすリターンに目を向けていく」というものだ。もちろんバイデン大統領が打ち出している1兆 9,000 億ドルの追加経済対策案を支援するものだ。この証言からは、米新政権による景気回復への強い意志が改めて確認できる。


コロナ安後の株式市場の傾向は続きそう

1月26-27日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、大方の予想通り、政策金利である FF(フェデラルファンド)金利の誘導目標レンジを0.00-0.25%に据え置き、コロナ禍への対応として実施されている無制限量的緩和(QE)による米国債や住宅ローン担保証券(MBS)の購入ペースについての変更も示されなかった。声明後の記者会見でパウエル米FRB 議長は、「依然として失業者数が多いことから、(QEの)出口戦略に関して議論することは時期尚早」と述べ、一部で取りざたされるテーパリング(金融資産買い入れ縮小)議論を一蹴した。

遡ること、1月14日にもパウエル FRB 議長は、プリンストン大学でのセミナーにオンライン出席した際、「(2008年からの)世界金融危機からの教訓は出口戦略が早すぎないように注意すること。なぜなら市場参加者が注目しているからだ」と発言している。2013 年 5 月末にバーナンキFRB 議長(当時)がテーパリングを示唆したことを契機に、株価急落や新興国からの急な資本逃避が発生し、マーケットが混乱した「テーパー・タントラム(俗に「バーナンキ・ショック」とも言われる)」の再発を強く警戒している表れだ。

米政権と米金融当局が、揃ってコロナ禍からの景気回復を強く後押しすることは、株式投資家にとって朗報と言えそうだ。東京市場においても「(コロナ安後)ここまでの傾向は続きそう」と見通すこともできる。流動性に富む大型株への注目の高さに変化はなさそうだ。


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(株式ジャーナリスト 天海 源一郎)

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