急動意バリュー株の安値買いを狙う時

欧米金融当局の動きと織り込みが要因

足元の株式市場の変化で特筆すべきことは、なによりもバリュー株が急上昇したことだろう。東京市場だけでなく世界市場で同時に波状的に上昇した。

中心的なセクターは銀行・保険・証券の「金融」、「海運」、「非鉄金属」、「機械(の一部)」、「電機(の一部)」が指摘できる。今年ここまで成長株、ディフェンシブ株、内需株の一部が散発的に物色される局面が多かったことを考えると、相当な局面変化が見られるたことになる。

2012 年や2016 年にもバリュー株一斉高が見られ、それが相場の「転換」になった経緯がある。気が早いかもしれないが・・・今回もそれが再現されるかもしれないと見ている。

もちろん今の市場で懸念され続けている「米中貿易摩擦」そして「同摩擦から生じる景気減速」が消えたわけではないものの、投資家のスタンスは変化してきていると考えることになる。際立って安値に放置されていた銘柄に対する見直しが先行している。

株式市場は一度その方向に動き出すと、それ以前の懸念がまるでなかったことのように無視されることがある。このような時には「本質的な問題は解決されていない」のように市場の動きに懐疑的な意見も聞かれることになるが、多くの場合市場の判断が正しかったという結末になる。「株価の先見性」とはそういうことなのだ。

個人投資家においては、株式市場の動きを否定するのではなく、(仮に自身は懐疑的であったとしても)その動きがどういうことなのかを理解するよう努めるのが賢明だろう。今回の動きの背景には「米FRBや欧ECBの金融緩和(=景気下支え)」と「米中貿易摩擦が始まってからかなりの時間が経過していること(=一定の織り込み)」が指摘できる。

嫌気=安値買いのチャンスに?

米時間9月27日、一部で「トランプ政権が米国の投資家による中国企業への投資制限を検討している」と報じられた。トランプ政権は上場中国企業の米市場からの締め出しや米公務員年金基金による中国市場への投資制限の可能性を探っているとのこと。さらに米投資ファンドなどが算出する株価指数に含める中国企業に上限を設けることも検討中ということで、実際に法制化されれば金融市場には一定の混乱をもたらすことも想定される。

一方で、約一カ月前には、主要米国企業に中国からの撤退を呼び掛ける場面もあったが、その後情報は更新されておらず、米政府にそれらの権限があるかどうかは未確定なままだ。少なくとも中国製品の輸入に関する高関税措置のように、即座に米政府が実行できるわけではないようだ。

また、この措置の狙いは米上場中国企業や中国金融市場に向けられたもので、東京市場への影響は(法制化されたとしても)軽微と考えられる。嫌気されて安値を付けた場面が買い場になるのではないだろうか?この考え方は、米中経済対立表面化以降、両国の摩擦の高まりを株価が嫌気して売られたところが安値(=買い場)になった事実を踏襲したものだ。動意がでてきたバリュー株を初手にすることになりそうだ。

日立製作所(6501・東証1部)

オリックス(8591・東証1部)

三井住友フィナンシャルグループ(8316・東証1部)

東レ(3402・東証1部)

住友金属鉱山(5713・東証1部)


(株式ジャーナリスト 天海源一郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。