日米欧の中央銀行の資産額の状況(2019年5月)

今月は18日~19日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えています。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は4日、「景気拡大の維持のために適切な行動を取る」と発言したほか、資産買入れの再開の可能性にも含みを持たせました。

これまでの株価上昇は日米欧の中央銀行による資産買い入れ、いわゆる量的緩和政策によるところが大きかったと考えられますので、株価の動向は日米欧の中央銀行の金融政策次第と言えそうです。本稿では直近の日米欧の中央銀行の資産額について見てみるとともに、年末の日経平均株価の水準を予想してみました。

日米欧の中央銀行の資産残高の推移

図1は米国の連邦準備制度(Fed)、日本銀行、欧州中央銀行(ECB)の資産残高の推移を、2008年12月末を100として示しています。2019年5月時点で見ると、Fedがおよそ1.7倍、日本銀行がおよそ4.6倍、ECBがおよそ2.3倍となっており、日本銀行の保有資産額の拡大が目立っています。

Fedは資産買い入れを2008年から続けていましたが、2014年10月に新規の買い入れを停止し、保有資産の縮小を2017年10月から開始しています。ECBは量的緩和政策には消極的でしたが2014年6月に資産買い入れに踏み切りました。ECBは昨年末に資産買い入れの終了を発表しましたが、保有債券の償還金の再投資は続けており、保有資産額は横ばい傾向になっています。

図1では日本銀行の資産残高の伸びが桁違いに大きく見えますが、金額で比較すると少し見え方が変わってきます。図2はFedとECBの資産残高を円換算して比較したものです。2019年5月時点でFedが約419兆円、日本銀行が約564兆円、ECBが約567兆円、合計約1,550兆円という規模です。

2019年5月現在、円換算ベースで最も規模が大きいのはECBであり、続いて日本銀行となっています。日本銀行はスタートラインが低かったので、2014年あたりまでは保有資産額が突出していませんでしたが、現在では日本銀行の規模の大きさが目立ってきました。なお、FedとECBの資産額は上下に振れていますが、これは為替レートの変動によるものです。

資産残高の推移と株価の関係

中央銀行が資産買い入れによって市場に資金を供給すると、自国通貨は下落し、その一方で株式などの資産価格は上昇することになると考えられていますから、株式投資において「緩和は買い」と言えます。

そこで日米欧の中央銀行の資産合計額と日経平均株価の関係を見たのが図3です。日経平均株価は日本株の指数ですので、日米欧の中央銀行の資産合計額と比べるのはちょっと違和感があるかもしれません。しかし、先進国の株式市場は連動して動く傾向がありますので、大局的に見る上で支障はありません。図3からはまさに「緩和は買い」ということが分かるかと思います。

日経平均株価の上値は重い?

株式市場にとっての問題はFedとECBが保有資産の縮小路線に転換したことです。特にFedの保有資産額は2017年12月末から2019年5月末で約5,759億ドル減少しています。緩和的なスタンスを採っているのは日本銀行だけという状況です。

図4では横軸は毎月の日米欧の中央銀行の資産合計額、縦軸は毎月の日経平均株価です。図4からは資産合計額が小さいと日経平均株価の水準は低く、資産合計額が大きいと日経平均株価の水準が高くなるという関係が読み取れます。

また、図4の散布図からは資産合計額と日経平均株価の関係式を求めることができ、この時期で見ると日経平均株価の水準=11.976×資産合計額(兆円)+2,693.1という関係式によって日経平均株価の水準をある程度説明できることが分かりました。この関係式が将来も成り立つと仮定すると、例えば日経平均株価が23,000円、25,000円、30,000円となるには、資産合計額がそれぞれ約1,696兆円、約1,863兆円、約2,280兆円あればよいということになります。

筆者の試算では2019年5月時点の日米欧の中央銀行の資産合計額は約1,550兆円あり、今年に入って毎月6.8兆円のペースで減少しています。もし、Fedが資産買入れを再開せず、このペースで行くと2019年12月時点には1,500兆円程度になると予想できそうです。先ほどの関係式に当てはめると2019年12月時点で日経平均株価は20,657.1となりますが、図4では実際の日経平均株価が直線から上下に1,000円ほどぶれているので19,650円から22,700円ほどとなる可能性が考えられます。


(eワラント証券 投資情報室)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。