日経平均銘柄入れ替え戦略!?~9月は配当取りだけで終わるな!~

皆さん、9月相場は「中間期末の権利落ちが無事に終われば、下半期入り・・・」と、安易に考えていませんか!?

9月には最終営業日にビッグチャンスがあることをお忘れなく!

日経平均構成銘柄の定期入れ替えイベントです!

年に一度の、このビッグチャンスを皆さんにも知っていただきたいと思い、今回は日経平均銘柄入れ替え戦略について解説したいと思います。

日経平均株価とは?

皆さんにもお馴染みの日経平均株価とは、誰が算出しているかご存じですか?
東証などの取引所が算出していると思われがちですが、実は日経新聞社が一定のルールに基づいて、独自の判断で構成銘柄を選定し、日々算出しているんです。 A

そして年に一度、日経新聞社は定期的に銘柄を入れ替えているんですよね。

その入れ替えが9月の最終営業日の大引け時点で行われるんです。つまり10月の第1営業日から新構成銘柄として算出されるようになります。

当日一体何が起こるのか・・・?

さて、では入れ替え日に何が起こるのでしょうか?

うん?入れ替え日?9月の最終営業日のことを指すの?それとも10月の第1営業日のことを指すの?

そうですよね~。頭が混乱しちゃいますよね。

市場関係者の間では、入れ替え日とは9月の最終営業日のことを指すのが一般的なんです。
そして入れ替えと名の付くイベントにおいて大事なのは、入れ替え日の大引けなんです

なんで大引けが大事なの?と思いますよね。

それは、その指数に連動することを目標としたファンド勢が、入れ替え日の大引け時点で保有銘柄を入れ替えてくるからです。B
このタイミング以外で入れ替えをしてしまうと連動しなくなりますよね?
なので、「今日、私は〇〇を売って、△△を買いますよー」と全世界に認識されていても、ファンド勢はその通りの行動をしてくるんです。

そこにチャンスがあるんです

自ら引値注文を出してくるか?

それでは運用担当者は実際にどういう手法で入れ替えを実行してくるのでしょうか?
引値注文で売買するんでしょうか?

答えは、ノーです。

引値注文で売買できれば簡単ですよね。
しかしここには問題が幾つか・・・

  1. 引値の瞬間は、板寄せ方式で価格決定されるため、大量の売り買い注文が来た結果、ザラ場引けになってしまうリスクがある。
  2. 機関投資家は、個人投資家に比べると注文サイズが大きく、引値操作ではないかと当局に指摘されかねない。従って、会社によって「大引け前○○分はノータッチ(注文を出さない)」という自主規制ルールを設けているのが一般的。

などが挙げられます。
従って、国内の機関投資家が自ら引値注文を出すことは考えられませんC

引値保証取引とは!?

まずは入れ替え日当日、証券会社のトレーディングフロアで何が行われるのか整理してみましょう。

入れ替え当日の朝・ランチタイムに、大手証券会社のトレーディングデスクには、国内・海外の機関投資家から「引値保証取引注文」の依頼が大量に飛んできます。

引値保証取引とは、“引値ギャランティー取引”と呼ばれているもので、現時点でいくらになるかが分からない引値価格で売買する約束をする取引のことを言います。

証券会社は、他の証券会社と引き合いにかけられていますから、他社よりもより良い条件提示をして注文を取ろうとします。「引値+5bps」、「引値」、「引値-2bps」などとトレーディングフロアには大きな声が飛び交います。

なんでこんなにいい条件を提示するの?マイナスなんてありえるの?

ありえるんです。というかそれだけ、このイベントには魅力があるということなんですね。
実は、証券会社の自己勘定部門は、日経新聞社から銘柄入れ替えの発表があった段階で、入れ替え日に向けて予めある程度のポジションを組成し始めると考えられます。
なので、入れ替え発表の翌日から該当銘柄が急騰・急落した後も、行ってこいの相場になりませんよね?あれは、証券会社が売買しているからと見られます。
そして、入れ替え日当日に、機関投資家からの注文をとって、彼らに保有済みのポジションを渡すだけなんです。

では引き合いに負けて、顧客に保有済みのポジションを渡せなかった証券会社はどうするんでしょうか?
簡単です。ポジションを投げるだけなんです。
ではいつ投げるのでしょうか?
それは入れ替え日当日の後場です
ランチタイムが終了すれば、もう機関投資家から注文は来ませんから、引き合いに負けた業者はポジションを投げることになります。

従って、後場中ごろから採用銘柄は下落し、除外銘柄は買われることが一般的と考えられます。

予め組成してしまっているなら、もう大引けには注文が出てこないのでは?

はい、ここからが議論の核心部分です。
証券会社が予めポジションを組成していて、それを機関投資家に渡すだけなら、引け際に注文出てこないんじゃないの?
そう思う方も多いでしょう。

しかし実際、出てくるんです。当日の5分足チャートなどで出来高を見てもらえると分かります。

最後の5分間で他の時間帯よりも大きなサイズの出来高があるのが一般的です。

なぜでしょう?

それは、国内に比べて引け際取引の規制が緩い、海外勢が売り買いするためなんです
日経平均に連動する運用マネーは、全世界に約15兆円近くあると試算されています。D
先ほどお話しした引値保証取引は主に国内の機関投資家が行う行為です。
あくまでも一部の投資家の事例なんです。

当局は、海外ヘッジファンドなどの引け際売買まで、なかなか関与できないと考えるのが一般的です。
従って彼らは、自身のポジションに加え、他の取引先と相対で約定した引値保証取引のヘッジを比較的自由に行うと考えられます。
その結果、引け際の値動きが教科書通りになるケースが多くなります。

どういうポジションを取ればいいの!?

では今までの話を踏まえれば、後場中ごろに採用銘柄買い・除外銘柄売りのポジションを作り、大引け時点で解消売りすればよいのか?

と思わないでくださいね!
それ以外にも収益チャンスと考えられることがあります。

特殊なニーズで上がったり、下がったりした採用銘柄・除外銘柄の株価は、翌日以降はどうなるでしょう?
普通に考えればイベント前の本来の株価に収斂していきますよね?
つまり、大引けでポジションを解消するだけではなく、ポジションをドテンさせることが有効となるかもしれません。
採用銘柄売り・除外銘柄買いのポジションを持ち越せば、翌日以降に往復で利益をゲットできるチャンスとも考えられます。

重要なのは、1日の平均出来高に対するインパクト

最後に、入れ替え銘柄すべてにおいて上手くいく戦略ではないということに注意してください。
大切なのは、普段の出来高に対してどれだけのインパクトがあるか?ということなんです。
例えば、1日に100万株の売買高がある株に対して10万株の買い需要があってもそれ程インパクトないですよね?
それよりも、100万株の売買高がある株に対して1,000万株の買い需要がある方がインパクト大きいですよね?
こういう銘柄を狙わないと駄目だということを忘れないでくださいね。
どれだけの買い需要があるのかは、簡単に計算できますのでやってみてください。 もっと詳しく教えて欲しいなど、ご質問のある方はお待ちしております!


(eワラント証券 トレーディング部ヴァイスプレジデント 吉野 真太郎)

※A 一定のルールに関しては、https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/profile?idx=nk225を参照ください。
※B 投信・年金のパッシブ型ファンドや、証券会社で保有している裁定取引ポジションなどを指します。
※C 国内の・・・と書いたのが重要なポイントです。国外は・・・?
※D 日経平均の現物バスケット1単位あたりの金額は、2019年9月24日時点で約6億円であり、全世界には25,000単位程度あるとされています。

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。