時代の変化に対応しよう

ドラッグストアの店先に「100枚入ってこのお値段!」と安売りのマスクが出ている。
新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた頃、あれほど手に入らず、ネットではものすごい値段で取引されていたマスクが。
日本人は値段にシビアだという。ずっとデフレだったのだから仕方がない。私たちは本格的なインフレを知らない。私は一昨年あたりから、竹輪が小さくなっただのチョコレートの個数が減っているだのと騒いでいるが、これは幅広いインフレとまでは言えない。
しかしここにきて原油価格の上昇がどうやら継続しそうな気配だ。
原油の上昇にはさまざまな理由があるという。

世界的な脱炭素の流れで、設備投資が減っているらしい。生産能力を意図的に落としたのだそうだ。しかし需要はまだ減っていない。コロナからの回復となれば需要は増えるだろう。
OPECプラス各国の、採算がとれる値段を保ちたいとの思惑もあるという。
底流には金融緩和による金余りがあるといわれている。
コロナ感染がおさまればどうという短期的なものではなさそうだ。
原油があがると、ガソリンがあがり、電気代があがり、増税のような効果をもたらす。さまざまな素材価格の上昇にもつながる。
本格的なインフレにつながる。
原油もそうだが、インフレはコロナだけが原因ではない。インフレの足音が聞こえてきたのはそれより前。2019年には米中対立が激化し、ブロック経済化することで物流が変わると言われていた。グローバリズムにも困ったところは多々あるが、物流がなめらかであることにより価格は抑えられていた。

川の流れに例えれば川上である原油からインフレは拡大し、この日本でもある程度の影響を受けるのではないか。
企業物価指数が9%、消費者物価指数が携帯電話の値下げ分を除いて2%ほど。この差は企業が飲んでいることになる。利益の圧迫要因だ。さすがにいつまでも耐えてはいけないだろう。消費者が買ってくれないだろうと我慢していたとしても、どこかで価格転嫁がおきる。それは力のある製品からだろうが、企業からだろうが、徐々に広がるのではないか。

FRBも「一時的」と言っていたほどだ。近くインフレ率はピークをつけるだろう。コロナによる物流の混乱などは解決する。前年比という統計の問題でも伸び率は落ちてくるはずだ。
しかし、構造的な問題がある以上、インフレは高止まりすると考えている。

経験したことのないインフレの時代になるかもしれない。頭の体操をして、柔軟に対処したい。
知らない世界に入るのは、金融引き締めも同じだ。
リーマンショック以降、ずっと中央銀行が支えてくれると信じてきた。
マネーサプライがどんどん増える世界では、リスクをとることができた。金融相場だ。
しかしこれからはある程度リスクを抑えなければならないだろう。
基本として考えられるのはこういう流れだ。
金融相場→業績相場→逆金融相場→逆業績相場→金融相場→という繰り返し。
今がどこか、はっきりしないとは思う。しかしもう金融相場のフェーズではない。現在は業績相場と逆金融相場の混合かもしれない。そしてどんな時でも業績は銘柄選びの基本ではある。が、それでも金融相場ではないということを頭において銘柄を選びたい。

今回の決算を見ていても、それほど中身が悪くなくても売られる小型成長株が多い。これまでリスクを取れる環境で非常に高いPERまで買われていた銘柄は特にそうだ。
しかしバリュエーションが高くなくても売られている。ここの選別は難しい。
本当に難しい時期に入った。

(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうち あやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。