月初の外国人動向に注意が必要な日々が続く

 「ニューヨーク証券取引所(NYSE)の出来高が多い日はいつ?」
 この問いに、「3ヶ月に1度のメジャーSQ日」と答えるのはそれほど難しいことではない。続く、「その次に多い日は?」の問いに対しても、相場データを追っている人であれば「月末最終営業日」と答えられるであろう。しかし、「それでは何月が一番大きいか?」との問いには、やや答えに詰まるかもしれない。

 答えは、「11月」である。特に、中国市場発の大きな調整局面が夏場にあった2015年以降、その傾向が強いが、これは(私自身も運用していた)ヘッジファンドの決算が最も多いのが同月であることが原因であると推察している。
 ヘッジファンドへの資金流入や解約は、通常、月単位や四半期、半年単位、1年に1回など、「窓開け」が決まっているが、その全てが集中するのが、この決算期なのである。そのため、資金流入と流出の差である資金フローがこの月末の動きに反映されると考えられる。

 昨年のデータを見てみると、NYSEの11月最終営業日の出来高は、1年を通じて月末として1番大きく、ダウも331.67ドル(1.38%)の上昇を記録している。この1.38%という上昇率は、年間を通じて、3月1日(1.45%)に次ぐ大きな上昇率である。大きな材料のない中、この日上昇した背景には、このヘッジファンドへの資金流入という需給的な要因があったと考える方が自然である。
 無論、月末でリバランスがしきれない部分の商いは月初に回ることとなり、そう考えれば、上記のとおり昨年ダウが最も上昇した日が3月の第1営業日であったことにも納得がいく。

 この米国市場で月末営業日に起きるリバランスの動きが、翌日以降、日本市場にもその影響を与えるが、日本株のリバランスという点に絞ってみると、月末、月初では圧倒的に後者が多いことを(ヘッジファンドの)運用をしていて感じていた。その理由として言われていたのが、月末には日本特有の“お化粧買い(ドレス)”や従業員持ち株会の買いが出ること、また、「バリュー」、「グロース」、「モメンタム」などのファクター・リターンを計測してリバランスを行う「マーケット・ニュートラルファンド」のファクターの計測期間が月次であることなどである。

 特に、月末、月初のリバランスで、その量が極端に後者に傾くのが、年末、年始である。日本市場は年末極端に売買代金も小さくなり、薄商いのためリバランスが実行できなくなるからだ。そのため、年初の相場が外国人動向により大きく振れる展開が、NYSEで11月(末日)の出来高が増加した後の2016年以降続いている。

 今年の1月の大発会(1月4日木曜日)とその翌日の2日間で、外国人は日本株(現物)を4,851億円と大きな金額で買い越したことが分かっている。この結果、日経平均は2日間で約950円上昇したのだが、この月初の外国人フローにいきなり変調をきたしたのが2月である。

 日本取引所グループ(JPX)が発表している投資部門別売買状況において、1月の外国人数字に“不思議な差異”が出ている。
 株式月間売買状況における海外投資家の売買状況は差引きで4,773億円の売り越しとなっているが、かたや、海外投資家地域別株券による売買状況は、合計で498億円の買い越しとなっているのだ。

 この差額5,271億円はどこから生じるかというと、同じ「1月」でも、前者が東証カレンダー・ベースの1月(1月第1週から1月第5週で、日付にすると1月4日から2月2日まで)であるのに対して、後者が通常のカレンダー・ベース(1月4日から1月31日)であることが原因である。つまり、2月1日、2月2日の月初2日間で外国人は5,271億円も日本株を売り越していたことになる。

 このように、今年に関しては、たまたまではあるが、1月、2月と月初2日間の外国人動向が測れたことになる。しかし、2月は28日間であり7で割れる。つまり、ひと工夫すると、3月1日、3月2日の3月月初2日間の外国人動向も計測することが出来るのだ。

 本原稿執筆日は3月19日であるが、日本取引所グループ(JPX)の海外投資家地域別株券による売買状況は、前月金額が翌月20日頃発表される。つまり、もうじき2月の金額が発表されるのだが、この金額は2月1日から2月28日のものであるため、ここから2月1日、2月2日の月初2日間の売り越し金額である5,271億円を引いて金額を算出する(A:2月5日から2月28日までの外国人動向)。
 一方で、東証カレンダー・ベースの2月海外投資家株式月間売買状況は、1兆1,424億円の売り越しであったことが分かっている(B)。この期間は、2月第1週から2月第4週、日付にして2月5日から3月2日。つまり、BからAを引けばよいことになる。

(スプリングキャピタル株式会社 代表取締役社長 チーフ・アナリスト 井上 哲男)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。