本邦金融市場:金融政策は市場を支えられるか!? 

なかなか効果を挙げられなかった異次元緩和

 2013年、日本政府と日銀は異次元緩和で大量の現金を市中に供給し(図1 青線 マネタリーベース*の急拡大)、マイナス金利の適用などによって景気浮揚とデフレ脱却を図ってきました。以来6年が経過しようとしていますが、デフレ・インフレの指標である消費者物価指数に大きな変化が見られないなど(赤線)、現在のところ目立った成果をあげられていません。

 その理由の一つとして、80年代から始まった少子・高齢化といった人口動態の急速な変化が挙げられるでしょう。これにより、GDP(国内総生産)の約6割を占める個人消費(≒国内市場)が縮小し、大胆な金融政策の効果を打ち消してしまっているのかもしれません。

マネタリーベース*:
 『マネタリーベースとは、「日本銀行が世の中に直接的に供給するお金」のことです。』(日銀HP「おしえて!にちぎん」より)言い換えると、マネタリーベース=市中に出回っている流通現金(日本銀行券発行高+貨幣流通高)+日銀当座預金(銀行が日銀に預ける現金)となります。

低すぎる金利が問題となる可能性も

 現在、上述のように極端な金融緩和を長期にわたって継続したことによる弊害が取り沙汰されています。特に銀行にとっては、ゼロ金利とYCC(Yield Curve Control: 長短金利ともに極めて低い状態を維持する)政策と貸出市場での過当競争により、利ザヤを稼ぎにくい状況が続いており、決算内容の悪化につながっているケースが多いようです。

 このように、上述した人口動態の変化による国内市場の縮小や金融市場に与える影響といった負の側面を見る限り、極端な金融緩和を実行したとしても、一定の水準を超えると景気刺激などの効果は上がり難いと言えそうです。

 現状、金融政策による景気浮揚経路への期待が薄くなる中、海外景気の落ち込みは、特に輸出依存型の企業にとって大きな痛手となります。実際、直近の決算報告では中国・欧州の需要落ち込みを理由として、決算内容を下方修正させた企業も見受けられます。今後は労働生産性の向上(現在、すでに世界でトップクラス)につながる技術革新がなければ、株式市場全体を大きく押し上げることは難しいのかもしれません。

(eワラント証券 投資情報室 チーフ・ストラテジスト 塚本 誠)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。