東京おもちゃショー2022

6月16~17日の2日間、国内最大規模の玩具見本市「東京おもちゃショー2022」が東京ビッグサイトで開催された。新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、一般客は入場できないビジネス関係者を対象とした商談見本市のみでの開催となった。3年ぶりの開催とあって8万点を超えるおもちゃがあつまり12656人が来場した。

おもちゃショーは通常からほかの展示会とはちょっと様子が違う。小売業者さん達をメーカーの方などが先導して説明しながら回っていたりするのである。どんなおもちゃを仕入れようか考えながら回るのであろう。TV番組や雑誌とのタイアップ戦略の予定表も大きく貼り出してある。
私も今年はどんなものが流行りそうなのかなと考えながら見て回る。

おもちゃも世の中の動きを反映したものである。
今回目立ったのはエコを意識したものだ。
バンダイナムコ グループのメガハウスが展示していた「くるまーる」は、木目込み人形のように人形の型に布を嵌め込んでいくのだが、糊付けなどをせず、何度もつかえる。私もやってみたが、布を差し込むだけで簡単。布ははじめからセットされているが、家にあるお古のタオル、端切れなどを使うことができるのがエコなポイントだ。思い出の洋服の生地で作ったりすればマスコットとしてかわいいだけでなく、大人にも良いのではないか。

バンダイでは商品の一部、または全体にリサイクル素材を使用したプラモデル「エコプラ」を紹介していた。小学生向けガンプラアカデミーではものづくりの楽しさとともにリサイクルも学ぶという。プラモデルのパーツを取り出したあとの端っこ、ランナーというそうだが、あれをリサイクルしてまたプラモデルになるというのはおもしろい取り組みだなあと思った。

カプセルトイ、ガシャポンの入れ物もプラスチックから紙に変更する取り組みが行われている。
ところで、カプセルトイは現在第4次ブームで、市場規模は年間450億円に急成長しているそうだ。エキナカや専門店まで売り場も広がっている。1980年代のキン肉マン消しゴム「キンケシ」の大ヒットを覚えているだろうか。あれから、ウルトラマンシリーズ、コップのフチ子などを経て、最近はミニチュア家具やアイデア商品、『おにぎりん具』のようなひねりのきいたものが人気らしい。
今回バンダイブースではガシャポン45周年を記念した新型自販機を公開した。デジタルサイネージにもなるそうだ。

近年目立ってきたスマホと連動するものもさらに増えた。
「クラフトフレンズ パピるんず」は、自分で専用の折り紙を折った仮面ライダーや虎などのキャラクターを専用アプリで撮影すると、AR空間の中でキャラクターが動き出す。自分の手で作ったものが動き出すという新しいたのしみがある。画面の中でキャラクターを動かしたり、現実の風景のなかで写真を撮ったり、まさにARだった。これで遊ぶ子供たちにはARは普通のことになるんだろうなあ。

発売から42年になる「チョロQ」も自動車のEV化の流れから着想を得て、動力をゼンマイからモーターに進化させた。伝統のプルバック遊びは継承し、プルバックの回数によってプログラミングもできる。
大人向けはまさにスーパーカー世代にむけた高級塗装のランボルギーニミウラなどがあった。
そういえば少子化で各社が力を入れてきた大人向けは今年あまり目立たなかった気がする。

巣篭り生活でペットを飼うご家庭が増えたそうだが、最近女の子にトリマーさんが人気の職業だという。タカラトミーの「トリミングペットサロン」はトイプーのぬいぐるみだが、実際に毛をカットしたりまっすぐにしたりという体験ができる。しかし、切ったペットの毛はもう伸びない、、、。

子供に人気といえば、ダンスを学べるものもあった。タカラトミーの「リズスタライト」は、ペンライトをテレビにつなぐと、ダンスの学習動画がはじまる。いっしょにステップを覚えたり、リズム感を鍛えたりするそう。『リズスタ -Top of Artists!-』というテレビ番組と連動している。係の方が「けっこうゆっくりなので大丈夫ですよ」「一緒に踊ることでこんなステップもできるようになります」とやって見せてくれた。なにしろダンスが授業科目にある時代だ。私は今の小学生じゃなくて本当に良かった。

世相を反映しているとはいえ、どれもたのしく遊べるよう工夫がこらされたもの。こうしたおもちゃを使って子供たちが笑って遊べる、そんな平和を願うばかりだ。

(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうち あやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。