気候と小売り

機会があって2022年4-6月期を振り返った。米国株価は1-6月、今年の上期が記録的な下落だったというのは報道でも取り上げられていた。日本株はそれに比べてだいぶ底堅く推移し、4-6月で見ると日経平均で25,500円から28,500円のレンジといったところだ。米国では「CPIショック」があり物価上昇に懸念が高まった。インフレ退治の利上げとそれによる景気後退への不安も米株価を下押した。そして為替市場では20年ぶりの円安ドル高となった。
大きな出来事としては4月の東証再編、大量IPO、5月にバイデン米大統領来日。
そして6月は前半が寒く、後半猛暑となったことが印象的だ。6月25日に群馬県伊勢崎市で40.2度を観測し、6月の全国観測史上初めて40度台を記録した。27日には関東甲信越で統計開始以来最も早い梅雨明けとなった。
こうした気象状況は景気にも大きく影響する。なまじな景気対策よりちゃんと夏は暑く冬は寒いほうがよほど景気を押し上げると昔から言われている。しかし暑すぎると人は外に出なくなってしまうので、この6月の猛暑は行きすぎだと感じた。現在は、この気象条件に加えてコロナ制限からの再開という特殊事情があるので特に小売りや外食の状況は読みにくい。
そんな中、小売りの決算発表があったので、月次情報とともに見てみた。

7月5日に決算を発表したドラッグストアのウエルシアホールディングス(3141)は増収増益となったことを好感し、株価の上昇が鮮明だった。第1四半期(3~5月)連結で売上高2,677億1,600万円(前年同期比7.6%増)、営業利益77億1,300万円(同5.9%増)、純利益63億2,100万円(同19.1%増)となった。主な増益要因は調剤事業の回復だ。新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限の緩和で受診が平常化されたことや、調剤併設数の増加などにより処方箋受付枚数が増加し調剤事業が回復した。店舗人時数の適正化や自働発注の推進による店舗業務の効率化などに取り組んだことも寄与したという。決算説明会に出席したアナリストによると、今年1月に買収したコクミンの利益が上振れたという。コロナからの段階的な回復を見ているうえ、インバウンド需要も下期回復の想定だそうだ。
また 6月月次は 既存店売上高が前年比で+1.6% と、5月の+0.1%から伸びている。好調だったのは口紅等カウンセリング化粧品、これはコロナ規制からの再開によるだろう。また、飲料やアイス等の食品も好調、これは猛暑によるといえよう。
他の小売り関連でも同様の動きがみられるはずだ。今後の決算発表にも参考になる。
カジュアル衣料大手のアダストリア(2685)の6月月次は、全店売上が前年比6 月+10.4%と5月の+36.1%からは伸びが鈍化。2019 年に比べると△6%。上旬の低温の影響が出ている。またセールを抑制したため伸びが鈍化した面もあるという。ただ下旬からは計画比で好調だそうだ。
ABCマート(2670)の既存店売上高は5 月が前年比+10.1%だったところからみると6 月は+6.8%と減速した。ただこちらも気温上昇で下旬の回復は強いという。梅雨明けが早くサンダルの需要が早めに発生したため在庫の枯渇防止に注力しているという。
このあたりは気候条件の影響が大きい。

海外売上が大きいところは月次だけでは見られないが、3-5月期のあとの状況を見るうえで月次情報は貴重なサインだ。
気象条件や再開状況以外の要因がありそうだったのは良品計画(7453)で、6月の無印良品国内直営全店は前年比△2.2%と5 月の+22.1%から大きく落ち込んだ。既存店でも△11.4%と5月+12.4%から失速。中身をみると、衣服△8%、生活△15.2%、食品△7.9%と全般的に低調だ。4 月、5 月には回復していたが、会員向け販促期間だったためだろうか。
7月8日に発表した22年8月期第3四半期累計(21年9月-22年5月)の連結経常利益は前年同期比25.6%減の285億円。6月30日に従来予想の405億円から300億円に下方修正していたものにも届かなかった。衣料品中心に不振商品の値下げを早めに行ったことなどで粗利益率が大きく悪化した。物流やシステムなどの経費も増大した。
物流費や光熱費負担は月次売上情報では測れないので注意が必要だ。費用の増加は幅広い企業で起きているはずで、そこでのコストコントロール力の差は出てきそうだ。
7月20日の日本電産(6594)から4-6月期の決算発表が本格化する。今回の決算はチェック項目が多くなりそうだ。

(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうち あやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。