物流大手の株価に“期待”が表れない現状

 もっとも目にする社会問題は「物流業界の人手不足」ではないだろうか?
 象徴的な出来事は今年3月にヤマト運輸の労働組合が春季労使交渉で、宅配便の引受総量の抑制を会社側に求めたことだ。ネット通販大手アマゾンジャパンを中心とするインターネット通販の拡大と運転手不足による現場の疲弊が主因だ。急ぎではない荷物を定期的にまとめて配達する方法や宅配便専用ロッカー、コンビニでの受け取り拡大などサービスメニューの工夫が求められている。そして「当日配送サービス」は制限されることになりつつある。

 すでにアパレルECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイでは、6月12日より関東エリアで展開している受注当日に商品を配送する当日配送の受付を停止すると発表している(「ZOZOTOWN」の配送取扱いはヤマト運輸)。
 一連の動きを受けてヤマト運輸は、アマゾンジャパンをはじめ大口顧客と運賃値上げ交渉を始め、日本郵便も大口顧客への運賃値上げ要請の動きを強めている。「ヤマトホールディングス(9064)」と「日本郵政(6178)」の日足六カ月チャートを見て欲しい。


 ほとんどポジティブな動きを見せていない。「日本郵政」については日本郵便、だけでなくゆうちょ銀行、かんぽ生命を含めた持ち株会社なので指標性に疑問もあるが、いずれにしても株価に「繁忙」「値上げ期待」は表れていない。

「勝ち組は“中堅以下”になりそうだ」

 大手以下の物流企業の株価になると様相は一変する。アマゾンジャパンの物流拠点業務を受け入れから検品・梱包・配送まで請負う新興企業「ファイズ(9325)」は3月16日の初値4,010円から5月9日の高値8,930円まで目を見張るような上昇を遂げた。

 ドラッグストアなど小売業に特化した物流一括請負いの「丸和運輸機関(9090)」の株価も足元、騰勢を強めている。

 さらに、業界中堅の「トナミホールディングス(9070)」、BtoBトラック運輸主体の「セイノーホールディングス(9076)」の株価の動きも強い。

 投資家は通販会社側が配達の一部を大手物流以外の業者に振り向ける可能性を強く感じていると見ることができる。「物流業界の人手不足」は最終的に「大手負け、中堅以下勝ち」の様相になるかもしれないと見ている。

(株式ジャーナリスト 天海 源一郎)

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