米国の金利市場が逆イールドになり始めた!?景気後退の兆し?

5/13に、「マネタリーベースと長期金利から株価が予想できるって本当!?今後の不安要素も徹底解説!」と題して、米長期金利と日米欧の中央銀行が管理するマネタリーベースの総額の2つの要素でS&P500の値を予想する内容の記事を投稿させていただきました。
5月の時点では長期金利が3%台で取引されていましたが、FRBの急ピッチな利上げの影響もあり、アメリカの景気後退リスクが足元では台頭し、2.7%台まで急落しております。

また4/13に掲載しました、「金利上昇=銀行株買いというのは本当に正しいのか!?米銀行株に起きている異変に注目!」という記事で言及しましたが、米長期金利は2.5%を超えてくると、金利上昇が銀行株を中心に株式市場にネガティブな影響を与えることが経験則上知られています。
金利上昇は、一般的には好景気の象徴ですから、株式市場にはプラスの材料となります。
しかし、2.5%を超えてくると、金利高が景気を失速させて株式市場を下落させる要因になり得ることを表しています。(図1を参照)

長期金利とマネタリーベースから株価を予想する!?

米長期金利が足元で急落しているように、上昇し続けて来た金利市場にも変化の兆しが出始めています。
またFRBはバランスシートの縮小開始も明言しており、今後マネタリーベースの減少も予想されます。

そこで今後の株価を予想する上で、前回の記事でもご紹介した計算式をご紹介したいと思います。
日米欧のマネタリーベースの残高と米長期金利の2つのファクターからS&P500の株価を予想する重回帰式になります。

S&P500の予測値=6.649×10^(-10)×マネタリーベース+175.2978×長期金利

と回帰式が計算されました。

実際のデータとの当てはまり具合を表す決定係数は0.99、各変数がS&P500に与える影響の大きさを表すT値は、マネタリーベースが38.45、長期金利が4.37となっており、両変数とも統計学的に有意な説明変数だと言っても良く、十分に説明力の高い分析結果となっています。

両変数のS&P500との関係性をグラフにしたのが下の図2、図3、予測値からの実測値の乖離率の推移を表したものが図4になります。

図4から現在のS&P500の値は、約6%売られ過ぎの水準にあると言えるでしょう。
しかしこれはあくまでも現在のマネタリーベース、長期金利の値を前提にした話であり、両変数が変化すれば当然予測値も変化します。
そこで各変数が上下に変動した場合のS&P500の予測値を下の表1、表2にまとめました。

現在のマネタリーベースは約5.5兆ドル、長期金利は2.8%ですから、表2を見ると分かるように約5%~6%の上昇が見込める水準となっています。

今後はどうなる?

しかし、油断は禁物です。まず、マネタリーベースについてですが、表中では少なからず更に増えたケースの場合も一応想定してシミュレーションしていますが、FRBのパウエル議長の発言等を考えると、再びコロナショック級の何かが起こらない限り、再び増えることは九分九厘ないと言っても良いでしょう。従って、この部分でまずS&P500にとってはマイナス要因になります。

次に長期金利についてですが、下の図5をご覧ください。
これは5/9時点と7/25時点での米国債市場におけるイールドカーブを表したものになりますが、現在は5/9時点に比べて、正常な状態を意味する順イールド(短期金利<長期金利)の形ではなく、逆イールド(短期金利>長期金利)の形になっていることが分かります。[1]

景気が後退局面入りするタイミングの特徴として、逆イールドになることが一般的には知られています。つまり中央銀行は物価上昇を抑えるために、断続的に政策金利を引き上げることによって短期金利が上昇しますが、ある時点を境に、長期金利が短期金利の上昇に付いてこられなくなるタイミングが来るのです。
現在、そのタイミングが来ていると捉えるべきでしょう。

eワラントを活用しよう!

以上、述べてきましたように、現在の米株価は割安とはいえ、今後の不安要素がたくさんあるような状況です。従って、今後は株をバイアンドホールドするのではなく、「割安なところを買って、ちょっと戻ったら売却して」など、機動的な売買戦略が必要となってくるでしょう。そこで役立ってくるのがeワラントになります。利確や損切りというのは中々難しいものです。そこでeワラントプットを買っていただければ、既存ポジションを閉じることなく、リスクヘッジできます。しかも万一上昇してしまった場合でも、既存ポジションと併せて利益を伸ばすこともできます(プロテクティブプット戦略)。
手軽なリスクヘッジ商品としてのeワラントをぜひご活用ください。

[1]一般的に短期金利は2年債利回り、長期金利は10年債利回りを利用します。

(カイカ証券 吉野 真太郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。