米国金利上昇と米国株式市場Ⅲ 短期金利動向

先週からはじめました本シリーズ、3回目の今回が最後となります。

過去2回のおさらい:

  • 米国金利と米国株価が仲良く上昇する関係は終了した
  • 今後の金利上昇は、株価にとって基本的に下押し要因
  • 借入れに依存する米国企業数の増加は米国株価の下落要因
  • 米国金利は、同国の株式市場にとって先行指標でもある
  • 米国株式指数と日経平均の相関は高く、この点からも米国金利は注視が必要
  • 長期金利にインパクトを与える要因(財政収支・関税措置の行方・米国債入札状況)の注視が必要

短期金利についてこれから抑えておくべきポイント

TEDスプレッド(後述)の60超え、VIXの20%超え同時発生は株価下落への警鐘

それでは、さっそく短期金利の動向を見てみましょう(図は2018年3月16日時点まで)。

短期金利の急上昇と株式市場 伝統的なアプローチ


 上記図1は短期金利を代表する二つの指標(3ヶ月米国財務証券(T-bill)利回りと3ヶ月米ドル Libor=Euro Doller)と、その差分であるTEDスプレッド(茶色の塗りつぶし部分)の推移をグラフ化したものです。伝統的なアプローチでは、金利上昇時にTEDスプレッドが拡大=民間セクターに対する信用がより低下傾向にあると判断し、通常、株価の下落要因として働きます。ただし、今回は巷でも言われております通り、

  • トランプ政権による減税政策をきっかけに、米国企業が海外資産(資金)を急速に米国内へ還流させた
  • それまで資金の受け皿だったユーロ市場(米国外の金融市場)は、米国企業による資金引き上げのあおりを受け、高い金利での借り換えしか選択肢がなかった

 減税法案の提出が昨年9月、その法案が議会を通過したのが昨年12月ですので、まさに、図1のグラフはこれを裏付ける形となっています。
 今回の短期金利上昇は、減税絡みのテクニカルな側面が多分にあるため、株価に与える影響を図るモノサシとしては物足りないといわざるを得ません。これは、Libor-OISスプレッド(図2)の拡大傾向についても同じことが言えるでしょう。※Libor-OISスプレッド:市中金利の指標であるLiborレートと米国中央銀行であるFRBが決定する政策金利(Fed Fund Rate)を参照するOISレートとの差分をいいます。

TEDスプレッド、Libor-OISスプレッドだけではない指標


 TEDスプレッドとLibor-OISスプレッドだけでは株式市場をあまりうまく捉えられてていないようです。ここでは信用リスクそのものを取引するCDS(Credit default Swap 企業の倒産リスクに対する保証料取引のひとつです)に目を向けてみます。図3では北米の投資適格企業を対象としたCDS指数のひとつ「CDX Investment Grade 5Y S28 V1(図3では北米投資適格CDSと表示)」を、TEDスプレッドやLibor-OISスプレッドと比較してみました(同指数は1年ほど前に取引が開始となったため、データも同期間分しかありません)。CDXはVIXショック(2月上旬)直後に跳ね上がった後、ここ半年スパンで見ると高値で推移していると言ってよさそうです。そもそも、CDSの価格は株価とその変動率に強くリンクしています。過去1ヶ月の株価が安定していることを考えると、株価調整(下落)に対して警報を鳴らしているようにも受け取れます。

TEDスプレッドとVIX指数


 CDX(米国企業のCDS指数)は、個人レベルではデータの収集が難しそうです。しかしCDXは上述の通り、株価とその変動率に強くリンクしていますので、VIX指数がおおまかな代替になるでしょう。図4はTEDスプレッド(ベーシスポイント、1%=100ベーシス)とVIX(SPX)指数の推移を比較してみたものです。図5の株価指数の推移と比較すると、TEDスプレッドで60、VIX指数でも20あたりを越えてくると大変動のサインになりそうです。ご参考になさってください。

 今回のコメントを通じてお伝えしたことは、「米国株式市場の下降局面入りは近い」でした。このような判断をされるのであれば、プット型eワラントを購入して下げ相場の準備をしましょう。これとは反対に、「業績相場に金利上昇が伴うのは当たり前、米国株式上昇基調は変わらない」と判断されるのであれば、コール型eワラントを購入してアップサイドを狙うのもよいでしょう。eワラントなら小額・損失限定・追証なしで実現できます。

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。