米大統領選後、『トヨタ系』の底打ちが評価される可能性

株式市場は現状変更を嫌う傾向

米時間11月3日は米大統領選投票日だ。開票結果が見えてくるのは日本時間11月4日(水)の午前10時以降と想定される。東京株式市場は今回も速報時に取引中の主要市場となる。

前回の大統領選時(米時間2016年11月8日/民主党ヒラリー・クリントンVS共和党ドナルド・トランプ、いずれも新人)の東京市場の動きを紹介しておきたい。日本時間11月9日の東京市場の前場取引中に、予想外の「トランプ優勢」が伝わり、大引けで919円84銭安の16,251円54銭と急落した。前日まで米メディア調査を拠り所に「クリントン圧倒的優勢」を織り込んでいた市場には、米政治混乱に対する不安が台頭した。当初トランプ候補は“泡沫候補”と見られており、米共和党の大統領候補に選出された時も失笑する声が支配的だった。このことは、米メディアも私達も「米有権者の現実」を理解できていなかったと説明できるだろう。

さらに、勝利宣言においてトランプ氏が(予想外に)常識的で紳士的な物言いをしたことから、トランプ次期大統領への評価と期待が急に高まり、米株が急伸。それを受けた翌日の東京市場でも日経平均が1,092円高と急反発し、前日の下げ幅をひっくり返した。株式市場の判断は長期的には正しいことがほとんどだが、大イベントを背景とする瞬間的な動きでは間違う可能性があることを見せられた格好だ。

今回は前回選挙と違い「現職VS新人(但し前副大統領)」の構図で、過去の例では現職が有利だ。しかし、トランプ大統領は過去の大統領とは“質”が違うユニークな存在であり、そのことが不確実性につながっている。米メディアの多くは、この4年間でさらに「反トランプ」姿勢を強めている。株式市場は、歴史的な株高をけん引した政権が交代するとネガティブに反応すると思われる。「現状変更なし」が株式市場にはフレンドリーだろう。


トヨタ系自動車部品の様子が改善

米大統領選後は、投資家の関心が「コロナ禍経済」に戻ってくるだろう。先駆けて興味深い企業決算も見られた。トヨタ系で自動車部品世界2位の「デンソー(6902)」が10月29日に発表した2020年4-9月期の連結決算(国際会計基準)がそれだ。新型コロナウイルスの感染拡大による自動車販売の減少が響き、売上収益(売上高にあたる)は21%減の2兆747億円、営業損益は696億円の赤字(前年同期は1,340億円の黒字)だった。工場の操業度低下や品質関連費用計上が利益を下押しし、日本や北米、欧州で営業赤字となった。

ただ、直近四半期の7-9月期は営業黒字を確保したとして、2021年3月期通期の業績予想を据え置いた。新型コロナウイルス感染拡大の影響はすでに自動車生産において「底」をつけたのではと見ることもできる内容だ。トヨタ系部品各社では「豊田自動織機(6201)」と「愛知製鋼(5482)」、「トヨタ紡織(3116)」、「豊田合成(7282)」の4社も通期業績予想を上方修正している。ここまで、株式市場では自動車/自動車部品セクターはあまり話題にされてこなかった印象がある。コロナ禍からの立ち上がりが見え始めた今、注目される可能性がありそうだ。トヨタ自動車本体とトヨタ系自動車部品株を注目しておきたい。

トヨタ自動車(7203)


デンソー(6902)


豊田自動織機(6201)


ジェイテクト(6473) 


トヨタ紡織(3116)


(株式ジャーナリスト 天海源一郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。