米金利と日銀ETF買いへの“懸念”は短期間で織り込まれる公算

コロナ禍によって失われた金利を取り戻す動き

前回記事「急な米テーパリング(量的緩和縮小)懸念は消失している」(1月29日 17:00公開)で見通したように、米時間23-24日に行われた米議会上下両院での議会証言でパウエル米FRB議長は、「目標としているインフレ率2%達成するには3年以上かかるかもしれない」、「労働市場の状況は悪く最大雇用には程遠い」として一部で取りざたされる早期テーパリングは考えていないと繰り返し、さらに「量的緩和縮小や利上げの時期がくればガイダンスを通して市場に明確に伝達する」と強調した。同議長の発言からは、2013年5月22日にバーナンキFRB議長(当時)が、議会証言で「状況改善の継続を確認できれば、資産買い入れを縮小することは可能だ」と急遽発言し、市場を混乱に陥れたいわゆる「バーナンキショック」の再来はないと想定することができる。

足元、米長期金利(米10年国債利回り)の1.4%台への上昇が米株価の懸念材料とされているが、コロナ禍による景気落ち込みによって失われた金利水準を、経済正常化に向けた動きと共に取り戻しているもの(コロナ禍前の2020年1月は1.9%水準)と見るのが適当だろう。引き続き米株の動きの背景には以下の要因を中心に考えて良さそうだ。

  • ワクチン普及に伴う経済の再開
  • 財政刺激策
  • 金融緩和策
  • 増加した家計貯蓄
  • 企業業績の拡大期待



ここまで日銀ETF買い有無に対する違和感はない

日本でも、2月17日に医療従事者へのワクチン先行接種が始まった。厚生労働省によると、25日17 時までに接種を受けた医療従事者は2万1896人ということだ。副反応の疑いがあるとして同省に報告があったのはじんましんなど3件に留まっていることも付け加えておきたい。河野太郎行政改革担当相は24日、数量を限定した高齢者への接種を4月12日に開始し、本格的な接種を4月26日の週から始めると発表している。他方、すでに3月7日に首都圏の緊急事態宣言が解除されることは既定路線と考えてよく、経済活動の再開に向けた動きが進む公算だ。

  • 飲食、旅行・レジャー、エンタメ、旅客市場の底打ち
  • 対面サービスの再開

などが期待でき、当該セクター株価へのポジティブ要因となるだろう。飲食、旅行・レジャー、エンタメ、旅客関連銘柄や対面営業を主力とする銘柄には、ここまで物色の圏外に置かれていたものも多く、株価持ち直しへの期待が膨らんでいくだろう。

一部で「日銀のETF買い姿勢が転換したのでは?」と懸念する声がある。日銀は1月28日以降(2月25日まで)、前場TOPIXが1%超下げた日でさえETFを買い入れていないことから、日銀による株価下支え効果が低減し、下振れし易くするのではないかとの見方だ。日銀が国債やETFなど多様な金融資産を買い入れる目的はリスクプレミアム(株式などリスク資産の期待収益率から、無リスク資産の収益率を差し引いたもの)の縮小を促すこととしている。この観点からは1月29日以降ここまで株価は概ね堅調に推移したことから、日銀のスタンスに違和感はない。

株式市場では状況が好転しても数少ないリスク要因が指摘されることは珍しいことではない。昨年3月のコロナ安後ここまで、何度もそのようなシーンを目にしてきた。コロナ安後の反発局面の経験則として「米金利上昇」も「日銀ETF買い縮小観測」も短期間で織り込まれると捉えるのが適当ではないだろうか。

ここでは経済活動再開で注目される業種の銘柄に注目したい。


JR東日本(9020)鉄道最大手企業。旅客、駅ナカ物販の回復期待。


野村ホールディングス(8604)証券国内最大手企業。対面コンサル営業回復期待。


第一生命ホールディングス(8750)生保大手企業。対面営業、銀行窓販回復期待。


ホンダ(7267)自動車大手企業。国内外販売回復期待。


オリエンタルランド(4661)東京ディズニーランド/シー運営企業。営業正常化期待。


(株式ジャーナリスト 天海 源一郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。