「米FRB利上げ打ち止め後の『景気回復』を想定する時」

「バフェット氏は総合商社株を買い増した」

11月21日、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社、米バークシャー・ハザウェイ社(以下「バークシャー社」)が、日本の総合商社株の保有比率を引き上げたことが関東財務局に提出した報告書で分かった。「三菱商事(8058)」の保有比率を6.59%に、「三井物産(8031)」は6.62%、「伊藤忠商事(8001)」は6.21%、「丸紅(8002)」は6.75%、「住友商事(8053)」は6.57%だった。バークシャー社は2020年8月末に、日本の大手商社5社の株式をそれぞれ時価総額の5%程度(計7,000億円と見られる)取得したと発表し、当時も大きな話題となった。その時点から総合商社株は軒並み約5-8割値上がりしており、たっぷりと含み益があると思われるが、ここでさらに買い増してきた。当時のリリース資料では、総合商社株の購入について、発行済み株式の最大9.9%になるまで取得を進める可能性があることが記されていた。ここからはまだ買い増す余地があることがわかる。他方、2020年12月期第3四半期末時点の同社の株式保有銘柄が公表された際に注目されたのは、半導体株への新規投資だ。半導体受託製造トップ企業、台湾TSMC株が保有上位銘柄の10位に顔を出し、また、エネルギー株について引き続き買い増しを行っている。この株式保有状況からバークシャー社が何を見通していると考えられるか?まずは「インフレ」の継続だろう。主にはエネルギー価格の高止まりを想定していると思われる。日本の総合商社も原油や天然ガス権益を多く保有している。さらに半導体株への新規投資となると、想定されるのは「世界景気回復」だろう。米FRBによる連続利上げによって、米景気低迷が懸念される中にあって、さらにその先「(米利上げ打ち止め後の)景気回復」を見通している可能性があるだろう。個人投資家においても、同社の見方を参考にすることは可能で、シンプルに思考した場合、景気回復という観点では「景気敏感株=バリュー株(割安株)」が浮上する。

「すでに表れ始めているバリュー株選好」

10月31に「眠れる『金融セクター』の動意はあるか?」という記事を公開した。そこで取り上げたのは以下の金融株で11月1日(木)始値~11月25日(金)までの高値は以下だ。

みずほフィナンシャルグループ(8411・プライム) 
1,606.0円→1,710.5円(高値は11月24日、11月25日)

・三井住友トラスト・ホールディングス(8309・プライム) 
4,314.0円→4,533.0円(高値は11月25日)

・コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186・プライム) 
453.0円→492.0円(高値は11月25日)

野村ホールディングス(8604・プライム) 
480.3円→503.4円(高値は11月25日)

・かんぽ生命保険(7181・プライム) 
2,197.0円→2,275.0円(高値は11月25日)

この期間、株式市場で金融株が話題になっていたわけではなく、ましてや証券株はノーマークだったと思う。もちろん金融株のほとんどがバリュー株であり、その多くが直近のところで目立って上昇を見せていること、普段目立って動意をすることがない地銀株まで上昇していることは、足元のバリュー株への見直しの動きは総合商社株だけではないことになり、かなりのパワーがあることが見て取れる。「(米利上げ打ち止め後の)景気回復を見通す」という想定がさらに信憑性を増すことになる。このストーリーに沿った動きをした場合、個人投資家にとってもっとも重要なことは「日本の主要バリュー株はどれか?」をまず明確にしておくことだろう。注目すべき銘柄がどれか分からず、動きが遅くなることは避けたい。ここでは主要なバリュー株を挙げることとする。市況に大きく左右される「非鉄金属株」、「海運株」などを除くと以下の銘柄が軸になると思われる。

【東京市場の主要バリュー株(例)】

日本製鉄(5401・プライム)

日立製作所(6501・プライム)

三菱重工業(7011・プライム)

トヨタ自動車(7203・プライム)

ブリヂストン(5108・プライム)

東レ(3402・プライム) 

三井住友フィナンシャルグループ(8316・プライム) 

(株式ジャーナリスト 天海源一郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。