菅内閣支持率反転は株価上昇の条件。デジタル庁発足で勢いつく?

菅内閣の目玉政策はDX化推進だったはず

9月1日、政府のデジタル化(DX)推進で司令塔となる「デジタル庁」が発足する。省庁間の縦割りを打破、スムーズな行政手続きの遂行が期待される。デジタル化推進は菅政権発足時の目玉政策で、昨年9月の自民党総裁選の際にデジタル庁創設が表明された。期待されることは官庁間のことだけに留まらない。国民が行政手続きをオンライン上で進めるために必要となる「マイナンバーカード」の普及・活用促進もあげられる。デジタル庁が進める改革に伴って、政府と地方自治体をつなぐシステム分野でも設備投資が加速すると見込まれている。民間部門でも、行政システムとスムーズに連携することによってサービスの利便性を高める動きが本格化する可能性がある。菅内閣発足時に「DX(デジタルトランスフォーメーション)関連株」として急動意したのは小型株だった。とくに「脱ハンコ」の恩恵を受けるとされた電子印鑑・契約を手掛ける企業の株価が高騰したことは記憶に新しい。

弁護士ドットコム(6027・マザーズ)

電子契約「クラウドサイン」導入企業が増加しているとされる。

GMOグローバルサイン・ホールディングス(3788・東証1部) 

多くの電子認証サービスに強みを持ち、電子印鑑もそれにあたる。

株式市場の常としてまず“材料”が囃され投機的な資金が向かい、一部小型株が急伸する。その後、政策が具体化するに伴い中大型株が動き出すことが多いように思う(ここにきて年初来高値を更新する銘柄もある)。ここでは時価総額が大きいDX関連株を挙げてみたい。

NTTデータ(9613・東証1部)

情報システム専業国内最大手企業。官公庁向け大型システム開発に強みを持つ。

伊藤忠テクノソリューションズ(4739・東証1部) 

システム開発、運用・保守まで一貫して手掛けるSI大手企業。

NEC(6701・東証1部)

官公庁向けシステム構築、コンサルティング、サポートを行う。

SCSK(9719・東証1部)

ITサービス大手企業、マイナンバー管理システムを展開。

TKC(9746・東証1部)

行政サービスデジタル化などの支援事業も展開。


自民党総裁選勝者は?株価への影響は?

コロナ禍において数度に及ぶ緊急事態宣言発出、感染拡大が再拡大したことから批判が強まり菅内閣の支持率は低下しているとされる。政府への不信も日本株の上値の重さの一因だろう。7月4日の東京都都議会選挙で自民党と公明党の連合は過半数の議席を獲得できず、8月22日の横浜市長選でも自民党支持候補が立憲民主党支持候補に敗北した。つられてマスコミによる「菅首相叩き」も加速していると感じる。ただ、ここから11月末に向けて希望者へのワクチン接種が最終段階に進み、コロナ感染拡大も(東京都などでは)縮小傾向が見られることから、批判が収まり菅内閣の支持率はゆっくりと反転する可能性は高い。「デジタル庁」発足による取り組みもそれを後押しすると見られるが…その前に菅首相には超えるべきハードルが待ち受けている。

9月29日に自民党総裁選が行われることが決まった。菅義偉氏(現総裁)、岸田文雄氏(前政調会長)、高市早苗氏(前総務相)が出馬するとみられる。果たして菅総裁は再選されるのだろうか。自民党総裁選は国会議員投票(383票)と党員・党友投票(383票)で争われるが、国会議員投票は、最大派閥の細田派(96人)を始め、麻生派(53人)、竹下派(52人)、二階派(47人)、菅グループ(23人)だけで270名程度が継続して菅氏を支持するとみられる。一方、岸田氏は岸田派(46人)、高市氏は無派閥若手議員を中心に20-30人程度と見られ、菅氏が圧倒する。読みが難しいのは党員・党友投票だ。派閥からの要請は効きにくく票が割れやすいのが通例で、内閣支持率が低空飛行を続けると尚更、菅氏が苦戦する可能性もある。ただ、報道機関の調査によると、今のところ3候補から一頭地抜ける存在はなく、岸田氏や高市氏が菅氏に大差をつけることはなく、やはり菅氏再選と想定することになる。外国人投資家は政治について首相が短期間で交替することを嫌う傾向が強い。外国人投資家の動向が日本株の行方を占う上で重要なことに疑いはなく、その観点では、株価にとって「菅再選」は悪いストーリーではない。


(株式ジャーナリスト 天海 源一郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。