菅政権株高を示現するのは外国人投資家

ここまで菅政権誕生による株価への影響は限定的

菅新政権が9月16日に発足した。読売新聞社が菅内閣の発足を受けて9月19日-20日に実施した全国世論調査では、菅内閣の支持率は74%と極めて高かった。同社の内閣発足直後の調査(1978年発足の大平内閣以降)としては、小泉内閣(87%)、鳩山内閣(75%)に次いで歴代3位の高さで、安倍前首相が進めてきた政策や路線を引き継ぐ菅首相の方針は「評価する」が63%に上ったということだ。8月31日(月)に公開されたeワラントジャーナルの記事「『安倍後の株式市場』現時点で考えられること」では、まだ自民党総裁選出馬への意欲を見せていなかった菅官房長(当時)について以下のように書いた。

「これまで安倍首相の後任に意欲を示していなかった菅氏だが、30日には総裁選出馬の意向を固めたと報じられている。会談を行った二階幹事長など党内有力者の支持を取り付けたものと考えられる。菅氏当選の場合は、完全なる安倍政治の継承であり、党員の不満は限られたものになりそうだ。菅氏は外交経験に乏しいドメスティック型の政治家だが、コロナ禍で首脳外交が事実上ストップしていることも追い風になる」

菅氏の自民党総裁選出馬は、同党の二階幹事長が強く働きかけたとされており、また、すぐに主要党内派閥が菅氏支持を表明し、総裁選前に菅氏の当選がほぼ確定していた。株式市場においては「行政のデジタル化」、「携帯電話料金引き下げ」などの政策について菅首相が強い意欲を示していることを評価する向きもあるが、菅政権発足以降ここまで日経平均が目立った反応を示したわけでなく、ほぼ横ばいの推移だ。世論調査の支持率の高さと株価の反応には乖離があるという見方もできる。海外のネガティブ要因(欧州でのコロナ感染再拡大など)に引っ張られた部分はあるものの、株式市場が目立って菅政権を評価したとまでは言えず、掲げた政策の実現が問われることになりそうだ。仮に解散総選挙を実施したとしても、与党が圧勝する可能性が極めて高いことは周知で、サプライズにはならないだろう。安定はしているものの、株式市場を大きく引っ張り上げるパワーに欠けているのがここまでの菅政権だ。


年内にも成否が出る公算大

もちろん、早い段階で「政策実現」が見えてくると、株価が大きく反応する可能性はある。スケジュールの上では、10月に始まる予定の「GoToトラベルキャンペーン」の東京組入れが上手く機能するかどうか?さらには、これから寒い季節を迎えるにあたり、コロナウイルスの感染低水準を維持できるかどうか?ということになるだろう。それらが上手くいくと菅政権の改革本丸である「行政のデジタル化」、「携帯電話料金引き下げ」も実現するとみなされ、外国人投資家が積極的に日本株を買い入れる可能性があろう。外国人投資家が「改革促進」に反応することは過去の外国人投資家主導の日本株上昇局面において何度も示されたことだ。2005年の「小泉郵政解散総選挙時」、日経平均は投開票日から7カ月後の高値まで約38%上昇した。2012年12月の第二次安倍政権樹立時の「アベノミクス選挙時」も、日経平均は投開票日から1年後の高値まで実に67%の上昇となった。選挙結果=日本株買いではなく、「これから日本が変わる」という期待が後押ししたものだ。

日本株の主な買い主体は「日銀」、「自社株買い」という期間が長く続いており、それだけでは大きな上昇につながらないことがほぼわかっている。大きな上昇には外国人投資家の買いが必要で、外国人投資家が日本株を買うためには「改革の端緒」が要るということだ。これについては年内にはほぼ決着がつく可能性もあり、今はそれを見極める重要な時間帯にある。外国人投資家が日本株買いに動く時には、以下のような「外国人投資家好み」の銘柄の株価に動意があるものと見ている。


キーエンス(6861)


ソニー(6758)


日本電産(6594)


村田製作所(6981)


東京エレクトロン(8035)


(株式ジャーナリスト 天海源一郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。