“通期業績予想据え置き”を評価する動きが見られるか

安川電機波乱が起きなかったことで道筋がついた?

足元、上場企業の3月決算企業の第一四半期(4-6月期)決算発表が続いている。8月中旬までそれは続くが、今回の四半期決算発表でとくに気にされているのは、主に中国からの需要を受けている外需系製造業の業績悪化の度合いといえる。

米中貿易摩擦が激化する中で、中国からの受注が増加していると考える投資家はいないと思われ、「どの程度日本企業の業績に悪影響があるか?」という見方が主となっている。加えて、もしかするとこのタイミングで大幅な通期業績予想の下方修正が相次ぐのではないかと戦々恐々の様相だ。

それを占う試金石となったのは7月11日(木)に発表された「安川電機」の2019年3~5月期の連結決算だ(同社は2月期決算企業)。ACサーボモーターとインバーター(可変速制御装置)、さらに産業ロボットの累計台数で世界首位を誇る企業だ。

米中貿易摩擦を背景に、中国などの顧客企業が設備投資を手控えた影響により、純利益は前年同期比70%減の47億円に落ち込んだ。ただ、下期にかけて受注が回復する見込みとして、2020年2月期通期の業績予想は据え置いた。

この決算を投資家がどのように判断するのかは非常に注目された。翌7月12日こそ約4%安と売られたものの、その後は反発基調となり、5月の大型連休直後の株価水準を回復している。この動きからは投資家が同社決算を悲観的に捉えたわけではないことがわかる。

日本電産の通期予想据え置きが他に与える好影響を見極める

安川電機と同様、常に決算発表の内容が注目されているのが「日本電産」だ。世界首位のHDD用をはじめ、ファンモーターなどの精密小型モーター、自動車・家電用、産業用の中・大型モーターを手掛けている企業で、積極的なM&Aでも話題を振いている。

7月24日(水)に発表された同社の2019年4~6月期連結決算は、純利益が前年同期比90.7%減の34億円となった。売上高は前年同期比3%減の3,608億円と微減収、営業利益は前年同期比38.8%減の279億円の大幅減益、円高が進行したことによる為替の影響も含まれるものだった。ただ、通期の業績見通しは変更せず、売上高は12%増で過去最高となる1兆6,500億円、純利益は22%増の1,350億円を見込んでいるとした(注:上期業績は下方修正している)。

カリスマ経営者として知られる日本電産の永守会長は決算発表の席上「中国の状況は、それほど良くなっていかないと思っている」としながらも、「特に電気自動車(EV)関連の需要は極めて強く、第2四半期(7-9月期)以降、業績は大きく改善していく」と述べた。

翌7月25日(木)に同社株は買い気配で始まる大幅高となり、週末7月26日(金)の小幅上昇分を合わせると決算後約5%も上昇した。もちろん投資家は同社決算を好感したことになる。

ここで例に挙げた2銘柄は、常に市場の関心を集め、これまでもその動向によって他銘柄の株価を左右することが多かった銘柄だ。投資家はこの2銘柄の状況を評価していることから、他銘柄にもその影響が広がる可能性がある。「通期業績予想据え置き銘柄」であればなおさら注目度が上がるのではないだろうか。

以下は安川電機と日本電産を含め「通期業績予想据え置き銘柄」から選別したものだ(7月26日発表分まで)。

安川電機(6506・東証1部)

日本電産(6594・東証1部)

東京エレクトロン(8035・東証1部)

富士通(6702・東証1部)

日東電工(6988・東証1部)


(株式ジャーナリスト 天海源一郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。