金利上昇=銀行株買いというのは本当に正しいのか!?米銀行株に起きている異変に注目!

米国の金利上昇が止まりません。
ウクライナ戦争が勃発し、FRBの利上げペースへ影響するかと思われましたが、FRBのパウエル議長は依然景気に対する強気の姿勢を崩しておらず、市場の予想通りにハイペースで今後も利上げをしていくものと思われます。

金利上昇と聞けば、預貸利鞘の改善が見込めることから、恩恵を受けやすいのが銀行株です。その他、運用利回りが改善することから、証券や保険業界にも恩恵があるでしょう。
反面、苦しくなるのが不動産業界です。低金利を背景に、住宅購入や不動産投資が活発でしたが、今後は修正を余儀なくされることでしょう。

では果たしてそれらの業種の株価は、教科書通りの動きとなっているでしょうか?

今回は米国の銀行株を中心に見ていきたいと思います。

銀行株が下がっている!?

下の図1をご覧ください。
2013年から足元までの、米10年債利回りとKBW銀行株指数の推移を週次ベースで表したものになります。
KBW銀行株指数については、市場全体の影響を取り除くため、S&P500株価指数とのレシオを計算しグラフ化しております。

2013年以来、米長期金利と米銀行株が連動して推移しているのが分かります。
しかし、その動きに足元、変化の兆しが出てきています。赤色の点線で囲った部分に注目してください。 FRBの強気姿勢もあり、長期金利は1.5%⇒2.7%まで急上昇していますが、銀行株は反対にS&P500株価指数をアンダーパフォームしているのです。

これは一体どう判断すれば良いのか?

ここからは曖昧な解釈になりますが、市場がFRBの強気姿勢に対して「景気回復の流れを一気に冷やし、企業や個人の資金借り入れニーズに影響を与えるのでは?」と考えているということになります。

どういうこと?
低金利の時は、預貸利鞘が狭すぎて儲からないと言い、金利が上がったら上がったで今度は、資金需要が悪化すると言ったりと。ちょっと勝手すぎないか?

全くその通りです。これでは金利の変動に対して銀行株にどう対処するべきなのか判断できかねます。

〇%以上、長期金利が上昇したら資金需要的に危険水域!?

下に再度、図1を載せましたのでご覧ください。

赤色の点線で囲った部分に注目してください。過去において、長期金利と銀行株がほぼ連動しているように見えて、この部分だけ、金利上昇に対して銀行株が思うように付いていっていないことが分かります。

これはまさに前述したように、預貸利鞘拡大のメリットよりも、資金需要低下のデメリットの方が市場で嫌気された局面になります。
そしてこの2つの時期の共通点として、長期金利が2.5%を超えたタイミングである、ということが言えます。
つまり長期金利が2.5%を超えているかどうか、でメリットとデメリットが逆転するのかもしれないという推論が成り立つことになります。

今後の戦略は?

では、足元の銀行株は売るべきポイントなのかというと、難しい判断とも言えます。
確かに長期金利は2.7%台となり節目の2.5%を超えてきておりますが、まだ瞬間的ではあります。もし再び2%台前半まで下落することがあれば、むしろ現在の銀行株の水準は割安とも言えるでしょう。
従って、今後は長期金利が2.5%以上の水準を少なくとも1年以上のスパンで上回り続けるのかどうか?という点に主眼を置いて、銀行株と向き合うことが大事になります。
もし、答えがイエスであれば、銀行株は一旦様子見でしょう。
しかしもし答えがノーであるならば、今の銀行株の水準は割安であるため、買うべきでしょう。

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(カイカ証券 吉野 真太郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。