銅相場から見る金融バブルの実体

2019年も残すところ2週間を切りました。
昨年末の日経平均20,000円から約20%上昇したわけですから、株式市場としては堅調な1年だったと言って良いのではないでしょうか?

しかしこれは果たして実体経済を反映した値動きなのでしょうか?
そこで今回、実体経済の動きを分析する上で重要な「銅」の相場に着目して現在の株式相場を分析してみたいと思います。

なぜ銅相場を見るのか?

銅は導電率・熱伝導率も高く、値段も比較的安価なため、昔から電線や電気機器部品として幅広く利用されています。従ってインフラ整備や電気機器などの生産の実態を把握する上で、銅の価格を見るのは有効な手段と言えます。

また銅の消費量を国別でみると、中国が世界需要の54%を占めています。(2018年)
従って、「銅の需要が高まる=中国経済の好調さ」という方程式が成り立つとも言え、世界経済を牽引する中国経済の動向を測る尺度にもなり得ることになります。

銅相場と主要国の株式市場

下図を御覧ください。これは2005年~2007年(好景気)→2008年のリーマンショック(不景気)→2013年~現在(好景気)までの銅相場とNYダウ・上海総合株価指数・日経平均株価をそれぞれプロットしたものです。


この図から、

  1. ①上海総合株価指数と銅相場の値動きは、ほぼリンクしている。
  2. ②2008年のリーマンショック前~直後の2010年あたりまでは、NYダウも日経平均も銅相場とリンクしていたが、それ以降は銅相場が下落する一方、NYダウと日経平均だけが上昇し続けている。
の2点が言えるかと思います。
つまり銅相場と中国株がそれほど上昇していないにも関わらず、米国株と日本株だけが上昇し続けているのです。

これは何を意味するのでしょうか?

背景には日米欧の中央銀行による金融緩和が挙げられると思います。
リーマンショック以降、各中央銀行は大規模な量的緩和を行い続けました。その結果、大量のマネーが刷られ、それが株式市場に流入し相場の上昇を引き起こしていると思われます。

しかし中国株だけは外資規制があるため、それらのマネーが入りづらいという側面があり、その結果他の主要国の相場の動きとは異なる動きをしているものと予想されます。
言い換えるならば、中国株こそが「金融緩和マネー」の影響を取り除いた正しい株価変動なのではないかとも言えるかもしれません。

今後の行く末は?

金融緩和バブルは永久には続きません。このままお金を刷れば刷るほど、株価は上がり続ける可能性は高いでしょう。しかし実体経済の鈍化・悪化を金融市場の堅調さだけで誤魔化すことはできないでしょうし、逆に急激なインフレを巻き起こしてしまう結果にもなりかねません。

是非皆様も銅相場に日々注目することで、緩和マネーに惑わされない視点を養ってもらえればと思います。


(eワラント証券 マーケティング部ヴァイスプレジデント 吉野 真太郎)

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。