電気自動車は本格普及期入りへ

近年、環境問題などを背景として急速に電気自動車(EV)に対する注目度が高まっています。しかし、実は国内でEVが登場してから、はや75年が経とうとしているのです。ちなみに、石油需給が逼迫していた戦後間もない1947年に、日産自動車(7201)の前身である「たま電気自動車」が発売した『たま』が国産初のEVと言われています。バッテリーには鉛電池が使われていましたが、航続距離は96.3㎞、最高速度は35.2km/hと、当時としては驚くべき性能を誇っていました。リチウムイオン電池(円筒形)を搭載したEVでは、日産が1996年に発売した『プレーリージョイEV』が世界初で、その後電池の改良が進み、2009年に量産型EV『リーフ』の発売に至ります。一方、トヨタ自動車(7203)は『プリウス』シリーズで電気とガソリンを併用したハイブリッド(HV)路線を歩んできましたが、昨年末現在でHV45車種、プラグインハイブリッド車(PHV)4車種、EV4車種、燃料電池車(FCV)2車種の電動車ラインナップとなっていて、2020年実績では全トヨタ販売車の約4分の1(195万台)が電動化車両となっています。

経済産業省はEVなどの購入促進に向けた補助金を拡充するため、2022年度予算の概算要求に335億円を盛り込みました。温室効果ガス削減の柱の一つである自動車の電動化に関しては、政府は2035年までに新車販売に占める電動車の比率を100%に引き上げることを目指しています。現在の補助金はEVが1台あたり上限60万円、PHVが30万円、FCVが250万円となっていますが、当然ながら今後対応車種の拡大も予想されることから、補助金総額の引き上げも検討しているとみられます。

また、EVやPHVの普及加速に備えて、メーカーも設備投資を急ぐ動きが見られます。最近の1カ月ほどでも、EV向け製品の増産や新製品開発に関する動き等が連日のように報じられています。設備投資や生産能力増強の記事では、富士電機(6504)がEV用パワー半導体のマレーシアでの生産増強に向けて、2023年3月期までに、従来分(1,200億円)に加え、投資額を約400億円上積みすると報じられています。また、ミネベアミツミ(6479)はリチウムイオン電池の電流制御等の用途で電流を制御する半導体の量産体制を整えるため、今後5年間で半導体分野に350億円程度を投資する方針のようです。日立(6501)は2022年末までに、日米中の3カ国にEV用部品の新工場を建て、生産能力を現在の6倍前後に引き上げる計画です。さらに、ニッパツ(5991)は今後5年間で最大200億円を投資して、モーターコアの生産能力を引き上げる計画とされています。ちなみに、モーターコア事業の売上高は2025年度には300億円~400億円規模になる見通しです。

EV用部品の開発では、NTN(6472)がEVのバッテリーなどを冷却する部品向けに、摩擦力を自社従来品に比べ3割低減した樹脂軸受を開発しています。また、ダイキン工業(6367)は、世界最大の単層カーボンナノチューブ(CNT)メーカーのオクシアル社に出資して、EV用リチウムイオン電池材料などの開発を行うと報じられています。ローム(6963)も、自動車の中国大手である吉利汽車と次世代半導体分野で技術提携しています。

日々、最先端技術を盛り込んだ部品の開発や増産に向けた設備投資、普及に向けたインフラ整備も着々と進み、自動車のオール電化はもう目の前に迫っていると言えそうです。選挙に関する報道も増加する中、政策期待に関心が向かう局面では、改めてEV関連への関心が再燃する展開も十分想定されます。関連銘柄をこの機会に改めて押さえておいても良いかもしれません。


(eワラント証券)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。