需給は極めて明るい状態

先月の寄稿で各種のオリジナルなテクニカルグラフが、「底入れ」と「安心感」を示していることを書いたが、9月は好需給に支えられ、堅調な相場展開となった。
今回の「好需給」とは、それまで組成したポジションのオフセット、つまり「手仕舞い」によるところが大きく、米国ETF市場において、それまで積み上がっていた金のETFから資金が流出し、株式ETFにその資金が流入する動きが顕著となっており、日本市場においても、リスクオフポジションの巻き戻しが、売買代金を伴う形で相場に表れている。

事実、オプション(及び先物)の決済が行われるSQ日と、リバランスという特殊要因が生じる月末営業日を除いた東証一部の平均売買代金は、6月以降2兆円を下回る水準で推移してきたが、9月については9月18日現在、2兆0931億円と4カ月ぶりに2兆円を上回っており、スタイル別のパフォーマンスでもバリュー株のパフォーマンスがグロース株のそれを上回るなど、“これまでと違った動き”が見られている。

この引き金となったのは、やはり今回も外国人による先物の買戻しの動きであったと考えている。
東証が発表した9月第1週(9月2日-9月6日)の外国人の先物動向は3,400億円を超える買い超となり、同週、日経平均は495.20円(2.4%)の上昇となった。週次で3,000億円の買い超を記録したのは、3月第3週以来、実に23週ぶりのことである。

しかし、この買戻しは、実は始まったばかりに過ぎないと思われる。

アベノミクス相場の始まりを基点とした外国人の累計先物残高は、昨年末に5兆円の売り超となり、これが買い戻される動きが上記の3月第3週まで続いたことによって、日経平均はこの間、1,612.57円(8.1%)上昇し、外国人の累計売り超金額も2兆1,000億円台にまで減少したのだが、その後は再度売りポジションが積まれ、9月第1週の前週末時点で5兆4,000億円程度にまで膨らんでいたのである。

これは、昨年からの、週次ベースの外国人の先物動向と日経平均騰落率の散布図であるが、右下の数式に現在の売り超金額をあてはめて計算すると、もし外国人が現在の売りポジションを全て手仕舞うと、日経平均は2万4,170円にまで上昇することになる。
これは、昨年10月に27年ぶりに記録した日経平均の値、2万4,270円にほぼ近い水準であるが、現在はもう1つ、需給面でこれから明るい材料となる可能性を秘めたものがある。
それは、「裁定売り残」である。

これは、現物を空売りし、先物を(そのヘッジで)買っている、「裁定売り残」の金額を東証一部の時価総額比で示したものだが、金額ベースで2兆円超という市場が経験したことのない水準にまで積み上がったこの裁定売り残は、メジャーSQであった9月13日の週にも1,300億円程度しか手仕舞われず、依然として1兆9,330億円も存在していることが9月19日に明らかとなった。

「裁定買い残」が手仕舞われるとき、それは指数の下押し圧力となり、「解消売り」と呼ばれるが、その逆の動きが「裁定売り残」の解消では期待されるのだ。
「(外国人の)先物ポジション+裁定売り残」。需給は極めて明るい状態にあるといえよう。


(スプリングキャピタル株式会社 代表取締役社長 チーフ・アナリスト 井上 哲男)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。