需給関係を中心に年末相場動向を考えてみた

パウエルFRBはついにホームランを放った

2019年を振り返る時間帯に入っている。ここまで東京市場のみならず世界株の動向にもっとも影響を及ぼしたのは米中貿易摩擦だと思う。ほとんどすべての投資家の意見が一致するだろう。

米中両国政府が通商協議を継続する間、時に対立が深まり、その度にトランプ米大統領のツイッターによる「中国からの輸入品の関税を引き上げる」という一報がもたらされ(これに中国も報復関税を課すと報じる)、株式市場はネガティブ反応を示した。

逆に「協議がうまくいっている」と報じられるとポジティブに反応する・・・このようなシーンが何度も見られた。主に中国の景気減速や米国による一部中国企業締め出しを嫌気し、世界中の「中国関連株」とされる銘柄は、業績悪化懸念にさらされてきた。

ただ、この流れも、足元は大きく緩和されている。第一段階となる「米中合意が近い」とされていることが要因だ。越年する可能性もあるとされているが、少しくらいの協議延長は問題視されないだろう。 要は「決裂」以外は決定的な悪材料とならないのだ。

他方、米FRBは7月、9月、10月と計3度に渡る「予防的利下げ」を実施した。米中貿易摩擦に伴う不確実性に対処したものだ。とくに米株の動きにその効果が表れている。FRBの三度目の利下げ実施日は米時間10月30日だが、その後S&P500種指数が史上最高値を更新したのは同11月4日だ。米株の上昇は世界株の追い風となり、東京市場でも11月5日に日経平均が2万3,000円台に乗せた。

売り方心理を深く考えてみる

東京市場では外部環境の落ち着きに伴い、「需給関係」が相場の動向を左右するようになっている。需給関係とは買いと売りの綱引きで、より規模が大きい側に相場が動いていくが、今は表面上は同じでも内実は異なるものになっているようだ。

買いは買いでも「売り方の買い戻し」、逆に売りは売りでも「買い方の利食い売り」。株価が下がることで利益を得る取引は、株価が思うように下がらないことで、ポジション整理の買い戻しを余儀なくされる。株価が上がることで利益を得る取引は、応分に株価が上昇したことで一旦利益確定売りとなる。

仮需と実需がごちゃまぜになりながら、日経平均は「急伸後の保ち合い」を演じていると表現していいだろう。 この現象からは「売り方の買い戻し」の方がやや強いパワーがあると感じられる(少なくとも下げていないため)。

今のような保ち合いがさらに継続するとどうなるだろうか?売り方はさらに買い戻しのスピードを早め、そのことで先高感を感じ始める買い方は利食い売りをストップさせることになるかもしれない(通常、売り方の手仕舞いの方が速い)。もちろん、外部環境の急変化によって現状がブレイクされることもあるが、その場合も必ずネガティブに働くとは限らない。決めつけは禁物だろう。9月以降相場のけん引役となってきた「外需株」や「バリュー株」には一段高のチャンスがあると考えている。

富士通(6702・東証1部)

日本電産(6594・東証1部)

村田製作所(6981・東証1部)

東京エレクトロン(8035・東証1部)

川崎汽船(9107・東証1部)


(株式ジャーナリスト 天海 源一郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。