驚くべきダウ大台替えのスピード

 世界的な株式の上昇が継続している。
 昨年、それまで主要株式市場で唯一年次でマイナスのパフォーマンスであったロシアRTSが、年の最終売買日にプラスに転じ、年をまたいで14連騰を記録したのには驚いたが、上海総合指数も11連騰(その後、1日だけ反落した後に、先週末まで4連騰)、10年以上ぶりに史上最高値を更新した香港ハンセンに至っては、先週末までの19営業日で1日しか下落していないという状態であり、今年も、「××連騰」、「××年ぶり」という文字が報道に並んでいる。

 この世界的な株式市場の上昇をけん引しているのが米国市場の堅調さであることに疑う余地はないが、その米国市場も、主要3指数が、それぞれ大台替え(節目抜き)を意識しては次々とクリアする展開が続いている。

 先週、キング牧師の生誕記念日で現物市場が休場であった日、先物市場は東部時間の午後1時まで売買が行われ、ダウ(mini)の先物は、時間外取引で2万6,000ドルまで、あと24ドルという水準に迫った。材料に乏しいなかでのこの上昇には違和感を覚えるほどであったが、結局、ダウはその翌々日の1/17に終値ベースで2万6,000ドル台のせを達成している。2万5,000ドル台にのせたのが今年の1/4のことであるから、実に8営業日でのスピード達成となった。

 その前に、2万4,000ドルの節目抜けを達成したのが昨年11/30のこと。1/4までの営業日数23日というのは、実はそれまでのダウの歴史の中で1,000ドル節目抜けの最短記録である。というよりも、過去に1,000ドルの大台替えを25営業日以内に達成したのは、いずれも24営業日で達成した、1万1,000ドルのせと、2万1,000ドルのせの2回しかない。これは、1,000ドル単位ではなく、1万ドルという大台をクリアした余勢を駆って、そのまま上昇したということを表している。

 それでは、そこからの1,000ドル上昇にどのくらいの月日を費やしたかというと、1万2,000ドルにのせるのに、実に7年5ヶ月、2万2,000ドルにのせるのには5ヶ月(昨年9月に達成)かかっている。それが、今回は、8営業日であったということに、スピードの異様さが感じられる。無論、同じ1,000ドルでもパーセンテージは違うが、「大台替え、節目抜け」という意味で意識されるということに変わりはない。

 このスピードの妥当性を測るとしたら、それはバリュエーションしかない。

 FACTSET社が発表している全米PERの数値を紹介すると、昨年11/30時点で21.07倍、1/4時点で21.63倍であるが、先週金曜日時点でのそれは21.82倍であり、11/30から1.03倍程度しか上昇しておらず、ダウの上昇率(2万4,272ドル→ 2万6,071ドル)1.07倍よりも明らかに小さいことが分かる。つまり、企業業績の伸びによってPERの割高感は示現していないということになる。

 続いて、この全米PERと日経平均PERのギャップから、日経平均の上値メドを推測すると、アベノミクス相場が始まってから、概ね全米PER-日経平均PERのギャップは、3.5倍(年)から5倍(年)で推移してきたが、昨年は6(倍)年程度を中心値とした推移が続いている。そのため、現状、日経平均のPER水準として、15.5年から15.8年程度には割高感がないということである。

 3月決算企業による年次の決算発表は、(45日ルールにより)原則として5/15までに行われる。これにより18年度の最終利益が7%増益と仮定した場合、このPERをあてはめた日経平均の水準は2万5,246円から2万5,734円、8%増益であれば、2万5,482円から2万5,975円となる。2万5,000円のカウントダウンは確実に始まっている。

(スプリングキャピタル株式会社 代表取締役社長 チーフ・アナリスト 井上 哲男)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。