高止まりしていたスキュー指数が急落!?この事実が意味することとは!?

新型コロナウィルスの問題が発生して丸2年が経ちました。

ワクチンが開発された上に、発症後のウィルス増殖を抑える治療薬までも承認されようとしている今日ですが、未だ従来の日常を取り戻せていないというのが現実です。

それが要因なのか、株式市場はここにきて不穏な動きを示し始めています。

日経平均株価も大発会の始値の29,098.41円から、26,044.52円まで一時10%以上急落する局面が1月にありました。

もちろん、新型コロナウィルスの経済への影響以外にも、米国を発端とした世界的なインフレ懸念による金融緩和政策の引き締めへの流れ、というのも深く影響しているものと思われます。

そのような状況の中、昨年6月17日に 「スキュー指数が高値を更新!この事実が意味することは!?」 と題してコラムを書かせていただいたのを覚えていらっしゃいますでしょうか?

コロナショックが起きて以降、スキュー指数は上昇をし続け、昨年6月11日に159.28ポイントを記録した、ということで警鐘を鳴らせていただいておりました。最終的には、6月25日に170.55ポイントの史上最高値を更新するに至りました。

しかし、そのスキュー指数が足元で急落しているのをご存じでしょうか?

2月8日時点で126.25ポイントまで下落しております。

以前、スキュー指数に絡んだコラムを掲載させていただいた際にも触れましたが、スキュー指数は110ポイント~140ポイントの範囲で推移するのが通常相場と言えます。
従って、現在の水準はその範囲に入っており、高値水準で高止まりしていた昨年の夏~秋頃の状況からは一変したと言えるでしょう。

そこで今日は、「その背景は一体何なのか?そこから予想される今後の相場展開は?」 というテーマでコラムを書きましたので、ご一読いただければと思います。


スキュー指数とは?

まずは前回の記事をお読みいただいていない方向けに、「スキュー指数」についておさらいをしたいと思います。

スキュー指数とは、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が、S&P500指数を対象とするオプション取引から、毎日独自のルールで計算されたスキューを指数化し、スキュー指数として日々公表しているものになります。

では、スキュー(skew)とはそもそも何なのか?日本語の直訳では、「歪み(ゆがみ)」と言ったりします。
オプション市場を語る上で、何と言っても欠かせないのが、ボラティリティになりますが、そのボラティリティを語る上で欠かせないのが、ボラティリティスキューになります。


ボラティリティスキューとは?

オプション価格の計算に欠かせないのが、ボラティリティの値になりますが、その値は原資産が同じであれば全て同じ値なのでしょうか?

答えは、ノーです。

権利行使価格、満期日によってオプション価格に織り込まれているボラティリティの値は異なっているのが通常です。
満期日に関しては、今回の議論の対象外として、権利行使価格ごとにボラティリティが異なるとは、どういうことなのでしょうか?
それを簡単に表したイメージ図が下図になります。

権利行使価格ごとに、ボラティリティが異なるのがお分かりでしょうか?
これを(ボラティリティ)スキューと呼びます。
一般的に、現値よりも下側の権利行使価格(ダウンサイド)ではボラティリティが高く値付けされています。実際に相場が下落した際には、ボラティリティが高くなっていることが予想されるためです。
一方、現値よりも上側の権利行使価格(アップサイド)では、そこまでボラティリティは高くありません。相場が上昇する場合、一般的には、緩やかに上昇していくことが見込まれるためです。

つまり、スキューは、ダウンサイドのボラティリティがアップサイドのボラティリティに比べてどれくらい高いか?を表した数値だと定義できるでしょう。
スキューが高いということは、ダウンサイドのボラティリティが上昇していることを意味し、言い換えるならば、市場では将来の相場下落に備え、アウトオブザマネーのプットオプションへの需要が高まっているとも言えるでしょう。


スキュー指数の過去の動きを検証

下の図1をご覧ください。
2000年からの約20年間のスキュー指数とVIX指数の推移を表したものになります。
冒頭に申し上げたように、110ポイント~140ポイントの範囲で推移するのが通常であることが図からお分かりになるかと思います。
逆に、140ポイントを上回ることがあるようならば、「ダウンサイドのプットオプションが買われている=株価の下落を予想する投資家が増えている。」 と考えられ、株価下落の先行指標と捉えることができました。

しかしその法則についてコロナショック以降、様相が変わってきておりました。
140ポイントを超えるどころか、一時170ポイント台をつけるなど、スキュー指数の記録的な高止まり状態が続いたのです。言い換えるならば、「相場の下落を予想して、ダウンサイドのプットオプションが買われているのに、相場がなかなか落ちてこない。」 という状態が続いていたということになります。

これは、「コロナショックが株価へ与える影響を非常に読みづらかったため。」 と言えるでしょう。

スキュー指数が急落?

それでは本題に入っていきたいのですが、前述の図1からも分かるように、そのスキュー指数が126ポイント台まで下落してきているのです。
直近の2020年1月以降のスキュー指数、S&P500、VIX指数の値動きを表したものが図2になります。

スキュー指数は2021年6月頃からじわじわと上昇し続け、高止まりしました。
しかしその間、株価は下落しておりません。
これは、「コロナウィルスが世界的にくすぶっているにも関わらず株価が好調⇒VIX指数の下落⇒ボラティリティの水準自体が低い⇒普段は高い保険料となっているダウンサイドのプットオプションを割安に買うことができる」 というロジックが成り立ち、その結果多くの投資家がダウンサイドのプットオプションを買うことに繋がったことを意味します。

その流れが今年の年始早々からの急落を受け、一変しました。
株価の急落を受け、VIXが上昇。それに伴って、ダウンサイドのボラティリティも上昇するはずなのですが、アットザマネー付近のボラティリティに比べて上昇しませんでした。
言い換えるならば、相場の急落を受けて、プットオプションを順張りで買い向かう投資家があまりいなかったということです。

それは何故なのか?
以下の推測が成り立ちえます。

  • スキュー指数が高止まりして以降、下がる下がると言われながらも、中々下落しなかった市場の動きに影響され、「どうせまた直ぐに株価は戻るのではないか?」という発想になり、今までダウンサイドを買っていた投資家が解消売りをした。
  • スキューが下がったとはいえ、ボラティリティの値が全体的に上がったことには違いなく、今まで割安な水準だったダウンサイドプットなら保有したかったが、高くなってしまったならば、敢えて順張りスタンスで買いにいかない、と考える投資家が多かった。


今後の相場展開は?

以上のように、市場のセンチメントとしては、年始からの急落が今後も続くとは考えていないようです。
そう考えるならば、まだ昨年末水準に戻りきっていないうちは、買い場の好機と捉えるべきでしょう。
ただし、米国を中心とした金融引き締め政策の流れもありますので、長期保有するのではなく、短期保有で良いかもしれません。
短期でレバレッジの聞いた投資となれば、eワラントの出番です。
日経平均に連動するeワラントで言うならば、足元では日経平均は27,000円台前半で取引されている28,000円~29,000円を権利行使価格としたコール型eワラントがお薦めです。

この機会に、eワラントへの投資をしてみてはいかがでしょうか?


(カイカ証券 吉野 真太郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。