「全体相場“悲観の揺り戻し”となる可能性が高いか?」

「ここまで国内>海外の動きが表れた」

4月27日夕方に更新された前回記事で取り上げた銘柄は、以下の動きとなった。日経平均は4月27日始値26,313円14銭から、その後5月12日ザラ場安値25,688円11銭があり、その後下げ渋る動きをしていた。(4月27日始値~5月27日終値までの高値)

【小型モジュール炉(SMR)関連銘柄】
・三菱重工業(7011・プライム)4,308円→4,999円(5/27)
・IHI(7013・プライム)2,897円→3,685円(5/20)
・日立製作所(6501・プライム)5,790円→6,740円(5/27)
・三菱電機(6503・プライム)1,313円→1,448円(5/16)
・日揮ホールディングス(1963・プライム)1,416円→1,894円(5/16)

【コメ関連株】
・ヤマタネ(9305・プライム)1,647円→1,707円(5/9)
・木徳神糧(2700・スタンダード)4,265円→4,900円(5/18)
・のむら産業(7131・スタンダード)885円→908円(5/9)

 米国金融引き締めは依然として相場の重石となり、常に米インフレ指標が気にされている。このほか、中国の都市封鎖(ロックダウン)も中国景気低迷につながると嫌気された。もちろん半導体不足(サプライチェーン問題)は長く企業の生産の障害となり、ロシアのウクライナ侵攻も停戦協議はまったく進んでいない。上の銘柄群はその中にあって総じて逆行高の動きを見せたと言えるだろう。個別銘柄の株価変動もひとつの要因だけではないが、この期間、「小型モジュール炉(SMR)」(=経済安保)、「コメ関連株」(=食糧高騰)など国内要因に目が向いていたと判断できそうだ。海外要因による不安感が台頭する中であっても、国内要因では好感される銘柄が充分にあったということになる。

 目を転じると4月26日に岸田首相が、6月10日から団体ツアーに限り、98の国と地域からの観光客の受け入れを再開すると発表して以降、いわゆる「インバウンド消費関連株」は一斉高になっている。もちろんこれも「国内要因」だ。コロナ禍によって外国人の入国が強く制限され、インバウンド消費額は2019年の4兆8,135 億円から2020年には7,446 億円(観光庁「訪日外国人消費動向調査」より)まで落ち込んでいた。兆円単位の消費が失われたショックは大きく、関連する銘柄は売り込まれるものが多かったが、ここからは「さらなる反動高」の動きを念頭に判断することになりそうだ。以下のような銘柄が中心になるのではないだろうか。

オリエンタルランド(4661・プライム)

・三越伊勢丹ホールディングス(3099・プライム)

・日本空港ビルデング(9706・プライム) 

・共立メンテナンス(9616・プライム)

・寿スピリッツ(2222・プライム)

「ついに半導体不足が解消される!?」

 時間の経過とともに、他の問題にも解決の糸口が見え始めている。ソニーグループが5月26-27日に開いた投資家向けの事業説明会で、ゲーム子会社「ソニー・インタラクティブエンタテインメント」のライアン社長兼最高経営責任者(CEO)が、家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)」の生産について「これまで達成したことがない水準まで生産を増やしていく」と発言した。2020年に発売した最新機種「PS5」は、世界的な半導体不足の影響で計画を下回る生産状況だった。しかし、部品調達にメドがたってきたことで、従来機種を超えるペースでの生産増に取り組むとのことだ。2022年度のPS5販売計画は前年度比57%増の1,800万台とし、まだ半導体不足や物流網による制約はあるものの「状況は改善している」として、段階的にPS5の供給量を増やし、発売4年目となる2023年度までに累計販売台数で前機種「PS4」の4年目を上回る方針だ。

 半導体不足の端緒は米中経済摩擦を経た2020年までさかのぼり、同年末に起きた国内半導体工場の事故による操業停止も拍車をかけた。その後、コロナ禍からの世界的な経済活動回復によって需要が急増、直後は供給量回復などを期待した楽観的な見方が多かったが、実際には深刻な半導体不足に陥り、必要量を確保できなかった企業は減産や工場操業停止に追い込まれた。この先、仮にソニーグループと同様の動きが見られると、株式市場の懸念の一つである半導体不足が解消に向かうと投資家が判断する可能性がある。半導体不足を悪材料としてきた大手メーカーの株価反発につながるかもしれず、注視しておきたい。改善の様子は日経平均やTOPIXではなく、以下のような個別銘柄の株価にいち早く表れるものと見ている。

ソニーグループ(6758・プライム)

任天堂(7974・プライム)

トヨタ自動車(7203・プライム)

日産自動車(7201・プライム)

DMG森精機(6141・プライム)

株式ジャーナリスト 天海源一郎

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。