セル・イン・メイは投資のチャンス?

2021年9月下旬、「秋は投資の季節」と題して、10月、11月が中勢6カ月投資で高パフォーマンスになっているとお伝えしましたが、残念ながら日経平均は終値ベースで2021年9月14日の30,670.10円を高値に、その後下降トレンドとなってしまいました。新型コロナウイルスの感染再拡大に加えて、資源価格高騰によるインフレ加速とコストアップ、さらにロシアのウクライナ侵攻と、市場環境は悪化の一途を辿りました。日経平均は終値ベースで2022年3月9日に24,717.53円の安値を付けて、一旦切り返す動きを見せましたが、戻りも限定的で、足元では再び下値リスクが高まっています。

さて、そんな不安定な状況ではありますが、5月といえば米国の相場格言で「Sell in May and go away(5月に売って、相場から離れろ)」、それに続けて「But remember to come back in September(でも、9月になったら戻ってくるのを忘れるな)」、ないしは「don’t come back until St Leger day.(レジャー・デイまで戻って来るな)」と言われています(※レジャー・デイは9月の第2土曜日)。

年初からの上昇が4月から5月にかけてピークアウトすることが多かったことから、こうした格言が生まれたとみられます。背景には米国で5月決算のヘッジファンドが売り抜けるからとか、税金の還付が5月で終わるためとか、需給面での影響がよく指摘されています。また、日本でも米国株市場との連動性の高さに加え、期末配当の再投資や新年度の長期資金の運用開始、さらにはゴールデンウィーク前後にピークを迎える企業決算への期待の高まりなどがありそうです。例えば、1970年以降の日経平均の中勢6か月投資で考えると、4月、5月のパフォーマンスが冴えません。これを見る限りでは「セル・イン・メイ」は機能しているとみることができそうです。一方で、9月から11月にかけては高パフォーマンスとなっていて、「カムバック・イン・セプテンバー」も頷けます。

ところが、2011年以降の中勢6カ月投資、つまり直近10年間のパフォーマンスを見ると、6月に買うのが年間第1位の高パフォーマンス(※第2位は7月)と、「セル・イン・メイ」どころか「バイ・イン・メイ」となります。東日本大震災以降、アベノミクスやゼロ金利政策を背景に株価は大きく上昇したことから、全体としてブーストがかかっていたこの10年ですが、年末年始に高値を形成し、調整した後、春先に政策期待が高まり、続いて企業業績の拡大が期待され、新年度の資金運用の開始も手伝って、基本的に秋まで上昇相場が続く潮流があったことが背景にあるのかもしれません。

さて、2022年はウクライナ情勢や米金融引き締めへの警戒感から、2021年秋以降から続く下降トレンドから、いまだ抜け出せずにいます。しかし、日本のゴールデンウィーク中に開かれるFOMC(連邦公開市場委員会)で大幅利上げが実施され、資産圧縮がスタートすれば、一旦材料出尽くしとなる可能性があるほか、5月半ばには企業決算も出そろい、原材料価格の高騰やサプライチェーンの問題、半導体不足などをはじめとした懸念の解消とまではいかずとも、少なくとも現状よりは不透明感が払しょくされるものと思われます。当然、過去10年と比較しても足元の相場は大きな変化を迎えているほか、岸田首相の下では残念ながら政治面からの相場サポートが期待しにくいといった点はあります。しかし、ここまで相場の落ち着きを待って様子見をしていた投資家の方は、打診買いの気持ちで5月相場に臨んでみてはいかがでしょうか。近づきつつあるゴールデンウィークは、銘柄研究の絶好のチャンスとなりそうです。


(カイカ証券)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。