政府物価高対策で小型原子炉、コメ関連株の注目度高まる

対策本命はエネルギーと食糧

政府は原油価格を始めとする物価の高騰に対し、ガソリン補助金の拡充や生活困窮者支援などを柱とする緊急対策を決定、4月26日午後に岸田首相が記者会見を行った。緊急対策は1.原油価格高騰対策、2.エネルギーや食料の安定供給対策、3.中小企業対策、4.生活困窮者対策の4つの柱で構成され、国費およそ6兆2,000億円が投じられる。内訳は原油価格高騰対策に1兆5,000億円(ガソリン補助金上限を25円から35円に引き上げ)、中小企業対策には1兆3,000億円を充て、資金繰り支援などを行う。生活困窮者支援では低所得の子育て世帯に子供一人当たり5万円を支給する。このほか電力源についてクリーンエネルギーを拡大することや、食料安定供給対策では高騰する輸入食糧から国内生産が主なコメ、さらに国産小麦への切り替えを目指すとされた。エネルギーや食糧価格の高騰による「生活不安」への対処を明確に打ち出した格好だ。物価高に対し財政支出がされることは珍しく、応分の効果が期待できると思われる。とくに原油や天然ガスなどのエネルギーを大量に消費する「発電」ではこれまで以上に変化が表れると想定され、「原発再稼働」や「小型原子炉導入」などにも動きがついてくるかもしれない。原発再稼働がさらに進むとやはり電力株が注目されることになる。とくに注目されるのは休止中の柏崎刈羽原発(新潟県)を擁する「東京電力ホールディングス(9501・プライム)」だ。同社は3月30日に本社の原子力部門の一部を、柏崎刈羽原発がある新潟県柏崎市に移転すると発表しており、すでに再稼働準備に取り組んでいるようだ。株式市場でもしばしば話題となる「小型モジュール炉(SMR)」は、現行の原発より出力が小さく、冷却しやすく、安全性が高いとされることから、このタイミングで活用に向けた動きが本格化する可能性もある。メーカーのひとつである「三菱重工業(7011・プライム)」は4月18日、トラックで運べる超小型原子炉を2030年代にも商用化すると発表している。原子力発電については2011年の福島原発事故以来、アレルギーが残っているのは事実だが、エネルギー価格高騰を目の当たりにして、背に腹は代えられないという意識が芽生えてくるかもしれない。


【小型モジュール炉(SMR)関連銘柄】

三菱重工業(7011・プライム)

IHI(7013・プライム)

日立製作所(6501・プライム)

三菱電機(6503・プライム)

日揮ホールディングス(1963・プライム)


全体相場反発時期をイメージする

「コメ活用促進」に関連する銘柄も少数ある。米穀卸大手の「ヤマタネ(9305・プライム)」、「木徳神糧(2700・スタンダード)」、さらに米穀精米袋と米穀計量包装機械で国内首位の「のむら産業(7131・スタンダード)」がそれだ。コメ関連株は東京市場ではマイナーな存在で日々の売買高が多いわけではなく、株式流通量も少ないことから、資金が集中すると需給関係に歪みが生じ、急伸と急落を繰り返す荒い値動きになることもある。マイナー銘柄の性質を踏まえた上で取り組むことが望まれる。

ヤマタネ(9305・プライム)

木徳神糧(2700・スタンダード)

のむら産業(7131・スタンダード)

足元の株式市場は、ウクライナ緊張の長期化(地政学的リスク、物価高)、米金融引き締め加速懸念(グローバルマネー収縮)、中国コロナ感染拡大(中国景気低迷)のトリプルパンチに見舞われている。加えて、日本企業(3月期決算企業)の決算発表が本格化することから、今期見通しの大枠が掴めるようになるまで投資を手控える動きもある。いずれ「反発の糸口」が見えてくると想定されるが、その時期は5月3-4日に開催される米FOMC(連邦公開市場委員会)で大幅な追加利上げが実施され一旦アク抜けし、中国・上海市で続くロックダウン(都市封鎖)が解除されるとの見方が台頭してくる時(一気に解除されることもある)ではないだろうか。今はいかに安く買うかを考える時かもしれない。


(株式ジャーナリスト 天海 源一郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。