株式市場に黄色信号!インフレ圧力の結果、世界のお金が減り始めた!?

昨年11月のFOMCにてFRBは、債券購入プログラムのテーパリング(段階的縮小)を開始すると発表しました。

その時点では、約8カ月かけてテーパリングを終える計算でしたが、思いの外、物価上昇の力は強く、今月3月末にはテーパリングを終了し、次回FOMCにて利上げを開始するというのが市場の大方の予想となっています。

足元ロシアとウクライナとの間に起こっている戦争の影響で、原油価格が急騰していることもあり、このインフレ圧力が止まる兆しもなく、インフレ抑制の流れは今後も続くものと予想されます。

下の図1をご覧ください。
こちらは、2014年7月末における日米欧の各中央銀行が公表するマネタリーベースの金額を100として、それ以降のマネタリーベースの推移を月次ベースで表したものになります。

昨年終わりごろから日米欧ともにマネタリーベースが減少に転じ始めているのが分かります。
今後もインフレ抑制に歯止めがかからないようであれば、各中央銀行は膨張したマネーの量を減らし続けてくることは必至と言えます。

そうなると厳しいと予想されるのが株式市場です。

図2をご覧ください。
こちらは、2014年7月末からの日米欧の各中央銀行が公表するマネタリーベースの金額を日本円建てに換算し、その各値を合計した金額と同期間のS&P500の推移を、2014年7月末の値を基準に月次データを用いて標準化し、グラフにしたものになります。

両指数とも、ほぼ連動して上昇し続けており、上昇率まで同程度となっています。
これはもはや世界のマネー供給量と株価指数との間に強い相関関係があると言っても過言ではないと推測できます。

そこで両指数の関係性をグラフにしたのが下の図3になります。
横軸にマネタリーベースの合計値、縦軸にS&P500を定義し、実際の両指数の値の組み合わせを表したものが図中の青マークになります。
では赤マークはというと、実際のマネタリーベースの合計値の値から、S&P500の値を予測できないか?という前提に立って、両指数のデータを基に回帰分析を行い、そこから導き出された回帰式を使って、S&P500の予測値を計算した結果になります。

青マークと赤マークとの間に、ほとんどずれがないことが見てとれます。
実際に、導かれた回帰式の実際のデータとの当てはまり具合を表す決定係数は0.95となっており、統計学的に言っても十分に説明力の高い分析結果となっています。

導き出された回帰式は、以下の通りです。

この式を使って、今後のS&P500の値をシミュレーションした結果が次の表1になります。
表中の変化率については、3/7のS&P500の終値である4201.09を基準に計算しています。

足元のマネタリーベースの金額が約2,120兆円ですから、前述の回帰式を前提に考えるならば、足元の価格は約5%程度、割安な水準にあると言えます。

問題は今後、日米欧がマネー供給量の縮小を続けた場合です。

まずは米国に焦点を当ててみましょう。
2014年から始まった前回のテーパリングの事例を参考にすると、2014年10月末時点で約4兆ドルあったマネタリーベースを、FRBは2年後の2016年10月末までに、約3.5兆ドルまで縮小させました。
つまり、足元のドル円相場で計算するならば、約60兆円近くマネタリーベースが減ることになります。

この事例を今回のケースに当てはめてみると、足元のマネタリーベースが約2,120兆円でしたから、そこからこの減少するであろう60兆円を差し引くと、2,060兆円となり、この数字から予想されるS&P500の価格は4,283となります。つまり、この程度のマネー縮小であれば株価には、さほど影響がないと言えます。

しかしこれはあくまでも、米国のテーパリングだけを前提にした試算です。

日米欧が同じペースでテーパリングを始めたならば、マネタリーベースの減少スピードは当然3倍になります。
図1からも欧州、日本のマネタリーベースが減り始めてきているのが分かります。
これは米国のように公にテーパリングをうたってはいないものの、隠れテーパリングをし始めていると捉えるべきかもしれません。

また、今回の分析は、円建てのマネタリーベースを使って計算しているため、為替相場によっても大きく左右されるでしょう。例えば、日本円が米ドル、ユーロに対して10%円高になれば、それだけで、欧州、米国のマネタリーベースの総額を10%減少させる要因になります。

仮に、今後日米欧ともに、50兆円程度マネタリーベースを減らし、且つリスクオフ相場になり、対円相場が米ドル、ユーロに対して10%円高に振れたと仮定するならば、現在の2,175兆円が1,820兆円程度まで減少することになるでしょう。
そうなれば、S&P500は、3,796まで下落することが予想され、足元の水準から下落率にして約10%になります。

従って、今後はバイアンドホールドを前提で株式市場を見るのではなく、プット型eワラントなどのリスクヘッジ商品を使いながら株式市場と対峙していくことが大切になります。

手軽なリスクヘッジ商品としてのeワラントをぜひご活用ください。


(カイカ証券 吉野 真太郎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。