2月暴落で、バブルの芽は摘まれた!中・長期的には好材料

まいど、相場の福の神こと、藤本誠之(ふじもと のぶゆき)です。連載コラムでは、株式、eワラントにまつわる様々な話題をご紹介させていただきます。

第8回は、「2月暴落で、バブルの芽は摘まれた!中・長期的には好材料」です。

2018年の東京株式市場は、大発会から急騰したが、2月に入って急落してしまいました。この最大の理由は、NY株式市場が大きく崩れたからです。NY株式市場は、米国の景気好調・トランプ減税を理由に、大きく上昇NYダウ、ナスダック指数、S&P500指数など主要な株価指数は史上最高値を更新し続けてきました。

しかし、2月に発表された米・雇用統計で景気好調な数値が発表されたことから、米長期金利が急上昇、年3回の金利引き上げ見通しが4回になるかもしれないとの懸念から、米国の株価が下落しました。この下落自体はさほど大きなモノではなかったですが、下落したことから、株価の変動率が急上昇し、スパイラル的に売りが出て、大幅下落となってしまいました。

なぜなら、それまで米国株式は堅調相場が続いており、大きな上げ下げがなく歴史的な低ボラティリティ(変動率)となっていたからです。株式の上昇相場が続き、ボラティリティ(変動率)も低くなれば、様々な金融資産の中での株式の相対的なリスクが低下し、年金資産などの巨額の運用資金において、株式の比重を高めることが理に適うこととなっていたからです。

また、ボラティリティ(変動率)をオプションで売る投資家が、多くなっていました。例えば、NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN(2049)というETN【ETN(上場投資証券 または、指標連動証券)は、Exchange Traded Noteの略称で、ETF(上場投信)と同様に取引所に上場している金融商品であり、取引所での売買が可能です。】がありますが、これはVIX指数先物の逆の動きとなるように設計されたETNです。

VIX指数とは、「ボラティリティ・インデックス(Volatility Index)」の略称です。米国のCBOE(シカゴ・オプション取引所)が、S&P500を対象とするオプション取引の値動きを元に算出・公表しています。VIX指数は投資家の恐怖心理を示すパラメータとして有名です。通常、VIX指数の数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明さを感じていると考えられています。このような背景から、VIX指数は別名「恐怖指数」とも呼ばれています。

歴史的な米国株式市場のボラティリティの低下を受け、VIX指数も軟調相場が続いたためNEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN (2049)も2016年2月8日安値4,485円から2018年1月12日高値40,150円まで、約9倍になる堅調相場が続いていました。残高は300億円超もあったようです。日本向けの商品でこの金額なので、米国・欧州では、数千億円以上の規模で同様な商品があったようです。

しかし、NY株の下落により、ボラティリティが急上昇したことからVIX指数も急上昇してしまいました。これにより、VIX指数を空売りする設計の商品に大きな損失が生じ、早期償還となる商品が相次いだことから、いままで売っていたオプションを買い戻す動きが増え、これにより更にボラティリティが急上昇することになったのです。

先ほどのNEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN(2049)も、1月12日高値40,150円から2月5日終値29,400円まで下げていました。大きな下げではありますが、ここまではVIX指数の上昇による通常の値動きでした。しかし、2月7日終値1,146円と異常な値下がりとなっています。これは、VIX指数の大幅上昇により、1,144円で早期償還することが決まってしまったからです。

チャート1:NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN(2049)週足3年チャート
この影響を受け、日本の株式市場も下落してしまったのです。

チャート2:日経平均株価 日足チャート6か月
日本の企業業績は絶好調です。ホンダ・トヨタ自動車がトランプ減税の恩恵もあり大幅な業績の上方修正を行い、総合商社も資源価格の上昇を背景の業績好調だったことから、2月9日現在で予想EPSが1,634.8円となり、史上最高値を更新しています。PERも13.08倍とかなり割安な状態となっています。

チャート3:日経平均株価と予想EPS(アベノミクス以降)
日経平均株価 2,1382.62円 = EPS 1,634.8円 × PER 13.08倍
アベノミクス以降の予想PERの最低値は、Brexit(ブレグジット)の時の12.62倍です。平均値は15.5倍です。2月9日現在の13.08倍はかなり割安な水準です。
ですから、2月の急落は、EPSは増加したにも関わらず、PERが急落してしまったことによるものです。PER(夢)は大きくなったり、しぼんだりするものなので、今回は、株価を下落させたのですが、EPS(現実)が増加している中では、いずれ戻ることが想定されます。

NY株は、史上最高値をずっと更新しており、トランプ減税・企業業績の好調さなどから直ちにはバブルとは言えないものの、バブルの芽となりうる値動きでした。しかし、今回の急落により、このバブルの芽は摘まれました。元々に米国景気が好調を維持しています。今回の急落によってバブルの芽は摘まれており、中・長期的に考えれば好材料とも考えらます。

チャート4:日経平均株価と予想PER水準(アベノミクス以降)
しかし、これだけの大きな下げ相場の後なので、リハビリが重要です。3月くらいまでは安値圏での保ちあい相場となりそうですが、新年度入りの4月以降は上昇相場が期待できそうです。上手く行けば、日経平均株価で25,000円くらいまでは十分に可能性がありそうです。

(財産ネット株式会社 企業調査部長 藤本誠之(ふじもと のぶゆき))

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。

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