2017年の日本株はマイナスの変動率が発生か?

山高ければ谷深し?

米国大統領選挙後の大幅な株高や急激なドル高進行を事前に予想できていた投資家は少なかったかもしれませんが、あまりにも急激な株高やドル高を見るにつけ、有名な「山高ければ谷深し」という投資格言を想起されている方もいらっしゃるかもしれません。この格言は相場の暴騰があればその後の下げも大きくなるというものですが、似たような意味の相場用語として「リターン・リバーサル」というものもあります。相場が上がればいずれは下落し、相場が下がればいずれは上昇するということです。米国大統領選挙でのトランプ氏が勝利してからの株価の上昇が大きいほど、いずれ発生する下落は大きいものになるかもしれません。

統計的に考えてみる

変動率の大小こそあれ、プラスの変動率(価格の上昇)が発生することがあればマイナスの変動率(価格の下落)が発生することもあるのが相場です。相場の変動率を統計的に見てみるとある特徴があることが分かります。下の図は日経平均株価の年間変動率について、大きさごとに分布図にしたものです。図の数値は年を表しています。例えば、2015年の日経平均の年間変動率は+9.1%でしたので、0%以上10%未満の上に配置してあります。

この分布図を見ると、年間変動率は0%以上10%未満を中心に左右に分布していることが分かります。つまり、日経平均株価の年間変動率は0%以上10%未満の範囲に収まる可能性がもっとも高そうであるということです。さらに、年間変動率の絶対値が大きくなるほど発生する確率は低そうだ、ということも分かります。例えば年間変動率が+50%以上となったのは1972年と2013年の2回しかありませんし、-40%未満となったのは2008年の1回しか発生していません。

一般的に株価の変動率が発生する確率は中心がとがった上図の山のような分布に従うものと考えられます。サイコロを振ったときに出る目の確率はどの目も同じですが、株価の場合は出てくる目、つまり変動率の発生確率はその変動率の大きさによって異なります。真ん中付近の変動率がもっとも多く出てきそうですし、例えば+50%の変動率や-40%の変動率の発生確率は低そうです。まだ確定していませんが、仮に2016年の年間変動率がプラスで確定すると、日経平均株価は2012年から連続して年間変動率がプラスということになります(上図のオレンジ色の年)。統計的に考えれば、「ある確率分布に従うはずの変動率の発生がプラスに偏っている。そろそろマイナスが出てきてもおかしくはない。」と考えられそうです。ちなみに1978年から1989年まで(上図の青色の年)はなんと12年間もプラスの年間変動率が続きましたが、その後は3年連続でマイナスの年間変動率が続きました(上図の赤色の年)。いわゆるバブルの崩壊です。

2017年に15,000円台があっても不思議ではない?

仮に2016年末の日経平均株価が19,000円で、2017年の年間変動率がマイナスになることを前提とすると、統計的に10%程度の下落はありえますし、発生確率は下がりますが20%程度の下落もありえます。仮に10%の下落が発生すれば2017年末には17,100円となり、20%の下落が発生すれば2017年末には15,200円となります。もちろん、下落せずに1978年から1989年までのように上昇相場が続く可能性もあります。

下落に備える投資戦略としては、現物株式やETF、投資信託の買い持ち戦略を見直していったん現金化することや、プット型eワラントを下落に備えた保険として購入しておくことが考えられます。例えば日経平均株価に連動するETFを10単位保有している場合に、日経平均株価を原資産とするプット型eワラントで下落に備えた保険をかけるとします。いくら購入すればよいかというと、当該eワラントの1ワラント当たりの原資産数が0.002であれば、500ワラントが日経平均株価1単位分になります。日経平均株価10単位には当該eワラントは5,000ワラント(=10単位÷0.002)が該当します。日経平均株価17,000円以下となる部分に保険をかけたければ権利行使価格が17,000円となっている日経平均株価のプット型eワラントを購入します。保険は満期日まで、eワラントの購入代金が保険料となります。

また、短期的なイベント時だけ投資するという戦略も有効でしょう。相場の急変がありそうな欧州各国の選挙開票日や各国中央銀行の金融政策発表日の前にコール型eワラントとプット型eワラントを両方購入する両建て戦略で数%の利益を狙います。これはeワラントの最大損失は投資元本までとなっている特徴を活かした戦略です。相場の大変動が発生した場合に、片方の急騰が片方の下落を相殺することになるので相場の方向性を予想しなくて済むというメリットがあります。この場合、権利行使価格が相場水準に近く、満期日までの期間がなるべく短い銘柄を選択しましょう。相場に大変動がなければ両方とも下落することなりますのでこの点には注意が必要です。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。

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