2018年の政治経済イベントを先読み! 金融政策が大きく変わる可能性も – eワラントジャーナル

2018年の政治経済イベントを先読み! 金融政策が大きく変わる可能性も

 今年も残り1ヶ月となりました。少し早いですが、今年を振り返って見ますと、日本で衆議院の解散総選挙が行われたほか、オランダ、イギリス、フランス、ドイツといったEU各国でも国政選挙が実施されました。また、米欧の中央銀行が金融緩和の出口に向かう中、積極的な緩和を続ける日銀が対照的でした。昨年の英国の総選挙や米国大統領選挙ほど強烈なものではなかったにしろ、それぞれのイベント前後では相場が大きく変動することもあり、イベントが相場に与えるインパクトが改めて明らかとなりました。

 2018年にも大きなイベントが多数控えており、それを契機として相場が大きく変動する可能性があります。事前にそのスケジュールと想定されるシナリオや投資戦略を考えておくことは、来年の投資活動において優位に働くでしょう。そこで、本レポートでは2018年に予定されている政治経済イベントの予定とその概略についてまとめました。

2018年のイベントスケジュール

 2018年の主な政治経済イベントと日米欧の金融政策決定会合の日程は下表の通りです。政治日程としては米国の中間選挙に注目が集まりそうです。政策責任者がそれぞれ任期満了を迎える日米の金融政策決定会合では、従来の政策との対比も含めて、その内容をよく見ておいたほうが良さそうです。

 日程や実施が未確定となっている部分もあるため、今後変更されることがあるかもしれません。国内・海外のニュースを注視して、変更内容を抑えておきましょう。

2018年の主な政治経済イベント

1月    
2月 3日 FRBイエレン議長任期満了
  9日 平昌オリンピック開幕(~2月25日)
3月 18日 ロシア大統領選挙
  上旬 中国 全国人民代表大会
4月 8日 日銀黒田総裁任期満了
5月    
6月 8日 G7サミット(ラ・マルベイ、~9日)
  14日 FIFAワールドカップロシア大会開幕(~7月15日)
7月   メキシコ 大統領選挙
8月    
9月   自民党総裁選
10月 1日 東証の売買単位が100株に統一
    ブラジル 大統領選挙
11月 6日 米国 中間選挙
12月    
未定 サウジアラムコ上場?
ドイツ 連邦議会選挙(再選挙)?

2018年の金融政策決定会合日程(日米欧)

1月 22~23日 日銀金融政策決定会合
  25日 ECB理事会
  30~31日 FOMC
3月 8日 ECB理事会
  8~9日 日銀金融政策決定会合
  20~21日 FOMC*
4月 26日 ECB理事会
  26~27日 日銀金融政策決定会合
5月 1~2日 FOMC
6月 12~13日 FOMC*
  14日 ECB理事会
  14~15日 日銀金融政策決定会合
7月 26日 ECB理事会
  30~31日 日銀金融政策決定会合
  31~8月1日 FOMC
9月 13日 ECB理事会
  18~19日 日銀金融政策決定会合
  25~26日 FOMC*
10月 25日 ECB理事会
  30~31日 日銀金融政策決定会合
11月 7~8日 FOMC
12月 13日 ECB理事会
  18~19日 FOMC*
  19~20日 日銀金融政策決定会合

*太字のFOMC終了後には議長会見予定

主要イベントの注目どころ

・2月3日 FRB イエレン議長任期満了
 金融危機対策として引き下げられた米政策金利の正常化や資産買入で膨らんだFRBのバランスシート縮小を推し進めたイエレン議長が4年間の任期を終え、退任します。イエレン氏は任期が残る理事職からも退任し、FRBから完全に去る意向を示しています。後任の議長には、現FRB理事のパウエル氏が内定しています。パウエル氏は理事在任中の5年間、バーナンキ前議長やイエレン議長の政策に対して支持を表明していたことから、大方の予想では現体制の政策を引き継ぐものと考えられています。しかし、労働市場が完全雇用に近い状態になっても低位に留まる米物価やトランプ政権が志向する金融規制緩和など対応しなければならない問題は多数あり、また、イエレン氏の退任でさらに空席が増えるFRB理事の後任が未定となっており、就任早々から政策運営の舵取りは難航しそうです。議長就任前後のパウエル氏の発言や後任理事の選定に関する報道が為替相場が変動させる要因となるかもしれません。

・3月18日 ロシア 大統領選挙
 現職のプーチン大統領の任期満了に伴う大統領選挙が3月に予定されています。プーチン大統領はいまだ出馬を表明してはいませんが、再選は確実視されており、選挙そのものあ波乱要因になるとは考えにくいでしょう。ただし、再選となれば(3選禁止で首相職にあった時期も含め)24年間の長期政権となりますが、主力輸出品である原油の価格低迷以降、経済成長は思うように進んでいません。プーチン大統領はエネルギー輸出依存からの脱却や「デジタル経済」の推進を繰り返し掲げていますが、構造改革に踏み込めるか、再選後の具体的な道筋は見えないままです。プーチン大統領の選挙公約や選挙後の施策によっては相場への影響が考えられます。

・4月8日 日銀 黒田総裁任期満了
 米国と同様に日本でも中央銀行の責任者が任期満了を迎えますが、こちらは後任がまだ決まっていません。11月に行われた衆議院選挙で与党が大勝したことを受けて、安倍首相の経済政策を金融面から支えてきた黒田現総裁の続投がメインシナリオとなりそうです。ただし、黒田総裁が目指す2%の物価上昇率の達成まではまだ遠く、達成に向けた次の手段を打ち出せていないとの批判もあり、新たな総裁を迎える可能性も否定できません。

・7月 メキシコ 大統領選挙
 国境間に壁を建設、NAFTAの再交渉など米トランプ大統領の主張に押し込まれ、現職のペニャニエト大統領の支持率が歴史的な低水準の中で選挙戦を迎えそうな様相です。現政権がレームダック化する中、支持率を高めているのが新興左派政党・国家再生運動(Morena)のロペスオブラドール党首です。同氏は過去2度の出馬経験がありいずれも次点となっています。今回もポピュリズム的な政策で支持を集めており、地元メディアによる世論調査では現在支持率1位に立っているとの報道もあります。同氏が当選した場合、現政権下で決まった石油資源の民間開放を撤回する意向を示すなど、従来路線から大きな転換を迎える可能性があり、メキシコ経済にとって大きな影響を与える可能性があります。一方、与党・制度的革命党(PRI)からは現政権で財務公債相を務めたミード氏が出馬の意向を示しています。苦境に立たされるPRIが政権を維持するためには、NAFTAの再交渉など山積する課題で一定の成果を上げることが重要になりそうです。その他には、中道右派・国民行動党(PAN)を離党し独立系候補として選挙戦に臨む前大統領婦人のマルガリータ・サバラ氏などが立候補を表明しています。

・11月6日 米国 中間選挙
 米国議会では現在上下両院でトランプ大統領が所属する共和党が多数派を占めています。そのため、トランプ政権の掲げる減税や財政出動が進めやすいとの期待感が昨年末の株高(いわゆるトランプ・ラリー)の一因だったと言えるでしょう。しかし、就任後の政権運営を見てみると、共和党指導部とトランプ政権の思惑の違いから、オバマケアの撤廃や減税などの法案を成立させることができないでいます。中間選挙で民主党に逆転を許せば、更にトランプ大統領の政策を進めることが困難になります。トランプ・ラリーの巻き戻しが起こるかもしれません。

・(未定)サウジアラムコ上場?
 サウジアラビアの巨大国有石油会社 サウジアラムコが2018年中の上場を目指しています。株式公開により想定される同社の時価総額は約2兆ドルとも言われており、実現すれば史上最大のIPOとなります。サウジアラビアは保有するアラムコ株の最大5%を売却する計画を進めており、現在上場先として各国の証券取引所が誘致合戦を繰り広げています。これだけ大型の上場となれば、株式の需給に大きな影響を与えるため注意が必要です。例えば、アラムコ株を購入するために保有銘柄を売却して購入資金に充てる行動を多くの投資家が取れば、売られる銘柄の株価は大きく下落してしまいます。また、アラムコの上場に向けて、サウジアラビアは原油価格の維持に努めていますが、上場で十分な資金を調達できればその方針を放棄する可能性があります。現在、サウジアラビア主導の下でOPECは原油の協調減産を行っていますが、この合意が撤回された際には、原油の需給関係が崩れ、原油価格が再び下落トレンドに突入するかもしれません。

・(未定)ドイツ 連邦議会選挙(再選挙)?

 今年10月に行われた連邦議会選挙ではメルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が辛くも最大議席を確保しましたが、大きく議席を減らしました。これを受けてメルケル首相は自由民主党(FDP)や緑の党との連立を模索してきましたが、意見の隔たりは大きく、連立交渉の決裂が明らかとなりました。メルケル首相は少数与党として政権運営を進める考えには否定的とされており、大統領を通じて解散・再選挙を行う可能性が出てきています。とはいえ、再選挙を行ったところで議席数を大きく増やすとは考えづらく、EUの中心であるドイツの政治的空白が長引くことになりかねず、ユーロ下落につながるかもしれません。ここへきて前回連立を組んだ社会民主党(SPD)が態度を軟化させ、大連立の可能性が高まってきていますが、仮に破談となれば一気に再選挙へ向かうということもあるかもしれません。

(eワラント証券 投資情報室次長 多田 幸大)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。

最新の更新を
プッシュ通知で購読しよう