2021年のIPOマーケットを振り返る

2021年の新興市場は厳しい1年となりました。マザーズ指数は年初に1200p乗せの好スタートを切り、2月16日には1320pまで上昇しましたが、その後は大きく下げては戻しを繰り返しながらも、年末にかけてはさらに下値を探る動きとなりました。年明けもその流れは止まらず、2020年5月以来の900p割れまで一気に下落。日経JASDAQ平均は9月まで上昇基調が続き、2020年1月高値を上回りましたが、秋以降は調整含みの展開となっています。

新規IPOの4分の3を占める東証マザーズ上場銘柄にとっても、以前のような活気が見られない1年でした。2021年のIPO銘柄数(※TOKYO PRO Marketを除く)は、2020年より32社多い125社となり、増加分32社のうち30社がマザーズ銘柄という状況に。特に12月は32社が上場し、そのうちマザーズ銘柄が26銘柄に上るなど超過密スケジュールとなっていました。

しかし、その一方で年間パフォーマンスは表のように過去5年間の実績を大きく下回る結果に。12月公開銘柄が多かったため、年明け以降のグロース株売り等の影響で全銘柄とは言わないまでも、パフォーマンスがさらに足元で悪化している印象です。とはいえ、初値形成は直近5年で最低ながら、概ね5割上昇しています。公開初日に初値が付かなかった銘柄は12銘柄と好調だった2020年の30銘柄の半分以下となりました。一方、初値で公開価格割れとなった銘柄は20銘柄ありましたが、新型コロナの影響を大きく受けた2020年の23銘柄には届きませんでした。初値から年末値までのパフォーマンスでは2ケタのマイナスとなり2018年に次いで冴えない結果となりました。

(%)

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
初値の平均騰落率 112.4 104.9 74.8 129.9 56.2
初値から各年末終値までの平均騰落率 15.7 -29.7 10.5 15.2 -15.9

※QUICKデータより作成。

好パフォーマンスだった銘柄を公開価格からその後の高値、初値からその後の高値、初値から年末値の期間で見てみますと、公開価格からその後の高値まででは、3月24日公開のシキノハイテック(6614)が約13.4倍となって、初値から高値まででも4倍強となりました。同社は半導体検査装置の開発・製造を手掛けますが、昨年の相場テーマにマッチしたことが大幅高の背景にありそうです。年末値でも8割の上昇となっています。

第2位は11月24日に公開したサイエンスアーツ(4412)ですが、公開価格から高値まで約11倍、初値からでも4倍強となりました。デスクレスワーカーのライブコミュニケーションプラットフォームを手掛ける同社は時流に乗ったビジネスが受けたようです。市場からの吸収金額が小さかったのも上昇の要因かもしれません。

3位は9月30日公開のアスタリスク(6522)でした。公開価格から高値までは8倍強となりました。初値からの上昇率も5.8倍、年末値まででも約2.6倍となっています。業績の高い伸びが評価されたようです。

このように、好パフォーマンス銘柄に共通するのが半導体やIT、クラウドなどに関わる企業、収益成長が大きい企業、市場からの吸収金額が小さい企業などが挙げられそうです。また、初値は過熱感がなくても、時流に乗って大きく上昇するケースも目立っています。バリュー、グロース株の物色の行方など、見通しにくい部分もありますが、IPO銘柄の見直し局面に向けて銘柄を改めて調べてみると、思いがけず良い銘柄に巡り合うことができるかもしれません。

公開価格⇒高値パフォーマンス ベスト3

銘柄名 コード公開価格上場出来高
シキノハイテック66143905,240
サイエンスアーツ44121,71018,690
アスタリスク65223,3306,685

※2021年内につけた高値基準。QUICKデータより作成。


(カイカ証券)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。