2021年の重要イベントを先読み!欧州で政治リスク台頭か?

間もなく終わりを迎える2020年ですが、今年の相場を振り返るうえで外せないのが米国大統領選挙でトランプ大統領を破り、バイデン氏が勝利をしたことです。大統領選挙という大イベントを通過したことで、議会選挙を含めた結果が明らかになる前から株式市場の取引は活発化し、11月の日経平均は3,000円を超える記録的な上昇となりました。イベントを契機に相場展開が大きく変わった代表的な例と考えられます。
来年、2021年にも相場に影響を与えるかもしれない大きなイベントが予定されています。一足先に予習をしておきましょう。


2021年の主な政治・経済イベント日程

来年の主な政治・経済日程は下表の通りです。主要各国の金融政策に関する政策会合の日程は各種経済カレンダーを見ることで比較的容易に把握できますが、政治日程に関しては日程が未確定となっている部分もあるため、今後変更されることがあるかもしれません。特に新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大している影響もあり、これまでにも中止や延期となっているイベントも多数あります。国内外の政治ニュースを注視して、日程の変更などは押えておきたいところです。以下に特に重要と考えられる政治イベントについて概要をまとめました。

  • ジョージア州上院議員選挙(決選投票)(1月5日)
    11月の大統領選挙とあわせて行われた米国上院議員選挙ですが、2つの議席が争われるジョージア州ではいずれも過半数の票を獲得することができなかったため、1月5日に決選投票が行われます。ジョージア州選出の2議席を除くと民主党が48議席に対し、共和党が50議席とわずかにリードをしています(改選前は47対53で共和党が多数)。

    決選投票で共和党が1議席でも確保すれば大統領と下院は民主党、上院は共和党となりいわゆる「ねじれ議会」になり、バイデン政権又は民主党の政策を実現するためのハードルが高くなります。逆に、2議席とも民主党が奪取すれば、上院議員は50対50と同数になりますが、多数決が同数の場合には副大統領(バイデン政権ではカマラ・ハリス氏)が投票権を持つことになりますので、実質的に民主党が上下両院で多数派を握ることになります。必然的にバイデン政権や民主党の政策が実行しやすくなります。

    ただし、民主党の政策は基本的に財政拡張的なものが多く、新型コロナウイルスの感染拡大以降急増している政府の財政赤字がより拡大する可能性が高まりそうです。また、一部の民主党議員はグーグルやフェイスブックなど米国のIT大手の規制強化や分割を主張しています。これまで米株式市場をけん引してきた銘柄群であるだけに、IT大手へ強い制裁が科される可能性が高まれば米株式市場全体への悪影響も想定されそうです。
  • ドイツキリスト教民主同盟(CDU)党首選(1月中旬)、ドイツ総選挙(9月26日)
    2005年よりドイツを率いてきたメルケル首相は2021年の首相任期満了をもって政界を引退することを明言しています。その後継候補はいまだ決まっていませんが、1月に行われる与党CDUの党首選で勝利した人物が次の首相候補の最右翼となりそうです。党首選には、メルケル氏に近いとされるラシェット氏や国民の人気が高い保守派のメルツ氏、外交通として知られるラットゲン氏が立候補しています。特にメルツ氏はメルケル首相と犬猿の仲と言われており、同氏が党首、そして首相に就任した場合にはドイツ政治が大きな転換点を迎えるかもしれません。

    また、与党のCDUが単独で過半数を握る可能性は低いと考えられますので、他の政党の議席数にも注目です。現在CDUと連立を組む「ドイツ社会民主党(SPD)」はメルケル首相の下以外で連立を組むつもりはないとしておりその動向が注目されます。また、世界的に環境保護意識が高まっている中で、環境政党である「緑の党」がどこまで票を伸ばすかにも気になります。さらに、前回(2017年)の総選挙で台風の目となった極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は、その後の地方選挙でも議席数を拡大しています。ロックダウン長期化への不満などの要因で国民感情が右傾化している可能性もあり、前回以上の躍進を見せる可能性も否定できません。
  • 米国債務上限停止措置の期限(7月31日)
    個人的に注目しているイベントです。米国では連邦政府の発行する国債は、法律により発行上限額が定められており、これを超えた資金調達は行うことができないとされています。このような規制を回避するため、トランプ政権下の2019年8月、連邦議会は超党派予算法を成立させ、政府予算に設定される法定歳出上限を2年分引き上げることに加えて、政府債務残高に設定される法定債務上限の適用を2年間停止することを決定していました。2021年7月31日にその期限が到来することになります。

    仮に、この時期までに債務上限の適用を凍結するか、債務上限を引き上げる法案が成立されなければ、政府は国債発行による新規借り入れができなくなることによって資金が枯渇し、政府機関が閉鎖されることに加え、米国債の返済が滞りデフォルト状態に陥る可能性があります。仮に米国債のデフォルト懸念が高まれば、米国債が売られ、債券運用者が米ドルを売却して安全資産として日本円や円債を買う動きを伴うかもしれません。また、オバマ政権、トランプ政権下と米国の国債発行残高は増加の一途をたどっていましたが、新型コロナウイルスによる景気の悪化を受けた経済対策のため、直近ではさらに発行額が増加しています。国債を発行できなくなれば、ただでさえ痛手を受けている経済への悪影響も避けられず、株式市場の下押し圧力にもなりかねません。


2021年も主役は「中央銀行」?

また、2020年は各国の中央銀行が株式相場の中心を担っていた年でもありました。新型コロナウイルスの第一波真っ只中だった3月にFRB(米連邦準備制度理事会)は2008年以来となる利下げを行い、米国は再びゼロ金利に突入しました。日本でも日銀がETFの買入額を増加し、市場へ資金の供給を行っています。これらが奏功し、株式市場は4月に上昇へ転じ、12月には日経平均がバブル崩壊後の最高値を更新するに至りました。

FRBが2023年末までゼロ金利を続けることを明言しているように、新型コロナウイルスの感染が拡大し、雇用環境の悪化やインフレ率の低迷が続く中で中央銀行が引き締めに動くとは考えづらいですが、ワクチンの普及で追加緩和に対する期待が剥落するようであれば株式市場にも影響を及ぼすかもしれません。来年も中央銀行が相場の主役の一人であることは間違いなさそうです。以下は2021年の日米欧の中央銀行の金融政策決定会合の日程です。政治イベントと併せて日程を把握しておきましょう。


(eワラント証券)

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。