7月6日“xデー”通過後の上昇はテクニカル要因が大きい

 事前に、「茶番だ」、「回避されるであろう」という見方が支配的であった米国による対中国製品追加関税の発動は、期日通り7月6日に行われた。
 即日で(昨年の輸入金額ベースで)340億ドルの中国製品に実施、2週間以内に160億ドルの対象製品の拡大が宣言されただけでなく、数日置いて、「対抗措置が講じられた場合は、さらに2,000億ドル、そのうえ3,000億ドル」と、最大でほぼ全ての中国製品に対して追加関税措置を実施する可能性までも示唆したが、株式市場は時を同じくして反発している。

 「噂で売られ、ニュースで買う」の典型パターンであるが、私は今回の上昇は、テクニカル要因による反発の部分が大きいと考えている。 上のグラフは、2010年以降、米国ダウが急落し、その25日移動平均乖離率がマイナス7%をも割り込んだ際に、その後、どのようにダウが推移したかを、今回も含めて表したものである。今回その水準にまでダウが落ち込んだのが2月8日で、その後の推移は太い青線が示しているが、過去4回の平均値である赤い太線と非常に辿っているパスが似ていることがお分かり頂けると思う。

 これによると、青い線で囲った50日から80日程度の期間は、「一旦戻りを試したが再度押し戻される期間」であり、100日を経過すると、赤い線で囲った部分、「緩やかな再上昇期」に入ることをこれまでも繰り返してきたことが分かる。このことは、他面、材料に対する市場の(恐怖)感応度が100日程度で薄れるということを表しており、1つのアノマリー的なテクニカルと言えるかもしれない。

 米国発の1月末からの株式市場急落について、2月の寄稿において、「RSI14日の5日平均+10日平均」と「VIX(恐怖指数)可視化指数」という2つのオリジナルなグラフを紹介した。

 前者について書いたことは、この数値が180%を超えたのが昨年までは3回しかなく、その後、市場は調整局面を迎えてきたこと、今回、その180%超えは、ダウが今年に入って11回目の史上最高値を記録した1月26日に示現し、翌営業日から市場が下落に向かったことであったが、その数値は、“Xデー”前日である7月5日に46%台という、これも2010年以降で3番目に低い水準にまで低下し、そして、底を打っている。(昨日時点では104.5%に再浮上している) 後者の「VIX(恐怖指数)可視化指数」についてもアップデートしたものを載せるが、こちらは、“Xデー”の3日前である7月3日に、補助線(上値・下値到達メド)の92%を下回った91.4%で底打ちが完了している。(昨日時点では105.3%に再浮上している)
 このように見ていくと、今回の株式指数上昇は、材料の織り込み完了といったレベルのことではなく、その背景にテクニカル的な反発示唆があったように思えてならない。

(スプリングキャピタル株式会社 代表取締役社長 チーフ・アナリスト 井上 哲男)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。