CEATEC~人はどうやって情報を得るのか~

アジア最大級のIT技術とエレクトロニクスの国際展示会「CEATEC 2020 ONLINE」が10月20日から23日の4日間にわたって開催された。例年千葉市の幕張メッセで開かれていたが、今年は新型コロナウイルスの影響で完全オンラインでの開催となった。

まず個人的な全体の感想を書いてみたい。毎年とても楽しみにしている展示会で、さらに今年は事前の記者説明会を受けてどんな「オンライン」形式になるのかも興味をもって臨んだ。入ってみると、アナログ世代なためか、どうしたらいいのかわからない。エントランス画面に「ニューノーマルエリア」「企業エリア」「Co-Creation PARK」の3つの展示エリアと、「コンファレンスエリア」「公式イベントエリア」のバナーがある。

今回の目玉と謳われていた「ニューノーマルエリア」から見るべきだよな、と入ってみると、さらに3つの分野に分かれている。「ニューノーマルソリューションズ」「ニューノーマル社会を支える要素技術・デバイス」「ニューノーマル時代のデジタルまちづくり」。その下に参加企業が示されている。「ニューノーマルソリューションズ」から入ってみると、そこからさらに「医療・ヘルスケア」「エンターテイメント」「働き方/ライフスタイル」「流通/小売り」と別れる。どうだろうか、ここまでお読みいただいて、すでにちょっと面倒くさくなっていないだろうか。ここまで選びながら入ってきたが、まだいったい何が見られるのか全くわからない。

企業エリアには出展企業のロゴが並ぶ。このロゴの大きさは出展社のグレードを表すそうで、これは展示会のブースの大きさのようなものだろう。マウスを上に合わせるとキャッチコピーのようなものが出てくる。そしてクリックすればその企業ブースに入れる。例えばNEDOのブースに入ると、そこからさらに興味のある分野を選ぶ。「NEDOブースの紹介映像/コロナ禍後の社会変化と期待されるイノベーション像」を選んでみよう。するとテキストによる説明と、下の方に動画が埋め込んであり、また、プレゼンテーション動画もある。どっちから見るべきだろう。

と、長々と書いてきたが、これでお分かりいただけただろう。目的のところに到達するまでの工程が長いのである。

さて、私は例年どうやって見ていたのだろうか。事前に今年の目玉はどこ、などの情報はある程度得ている。それを大きな会場の地図を広げてだいたいの目星をつけるが、そこに行くまでの間に、ブースをながめつつ歩いていく。そこで、なんだか人が集まってるなあ、と人気のブースがあれば入ってみる。目に入ってきた気になるものを近寄ってみる。そこで話を聞いてみる。人間は、なんとなく入れている情報がどれほど多いかということだ。これ、と決めて取りに行く情報は意外と少ないのだ。目的がはっきり決まっていて、A企業のB商品、Cの開発について知りたいという人は検索もできるので非常に速く目的に到達する。しかし、展示会ならではの偶然の発見は少なくなりそうだ。また、チャットで質問できるようにもされていたが、「すみません・・・これ何に使えるんですか?」なんて質問をするのは気が引けた。

しかし、素晴らしいことは、これが12月末までオンデマンド配信されることだ。現に会期が終わった今も確認しながら書いている。普通なら時間切れで見るのをあきらめていたあの広い会場の隅々まで見て回ることもできるのだ。登録は必要だが、興味があればこれからでもご覧になってほしい。https://www.ceatec.com/ja/
さらに資料のダウンロードも用意されているので、重いものを抱えて帰らなくても詳しい資料が手に入り、後日見返すにも便利だ。

さて、以前は「家電見本市」と言ったこの「CEATEC」だが、電機メーカーの復活、復帰が気になった。6年ぶりの出展となった東芝は「マイクロRNA検出技術」でCEATEC AWARD経済産業大臣賞を受賞した。東芝ブースに入って、中央あたりの「疾病リスク予測AI/血液でがんの早期発見/体に低負担のがん治療」という項目で紹介映像を見ること、プレゼンを視聴することができる。私が気になったのは「量子コンピュータ関連技術」「量子暗号通信」。難しいが、今後カギになりそうな分野を学べる。「東芝ブランドビデオ 我々の出発はベンチャーだった」という5分ほどの動画はここ数年のことを思うと感慨深い。

また、昨年6年ぶりにメディカル分野に限って出展、今回完全復帰となったソニーのブースは力の入ったものに感じた。リアリティ(Reality)、リアルタイム(Real time)、リモート(Remote)を追求する「3Rテクノロジー」を掲げ、耳の中にシアターを再現する技術や、知能を与えられたイメージセンサーなどを動画で紹介している。技術的なものより、実際に使った人や開発した人が登場するところに特徴がある。

CEATEC AWARD総務大臣賞を受賞したスーパーコンピュータ「富岳」を見に、富士通ブースも訪れた。世界No.1の性能と電力効率を両立し、使うためのコンピューティングを両立させている点が高く評価されての受賞だそうだが、こちらもわかりやすい動画で、実際に使っている人々の声が紹介される。富岳はこのコロナ禍で準備期間もなくいきなり稼働して、ウイルスの飛沫感染のシミュレーションなどに使われている。
今回出展されている技術の中には、夢というより、コロナ禍で少し早く始まってしまった未来といったものがあったように思う。
そのほか、見やすかったのはTDKのプレゼンテーション。いつも並んで見られなかったARグラスは普通の眼鏡と変わらぬまで小さくできる超小型レーザーモジュールが注目だ。
村田製作所はブースの見やすさの工夫が光った。

まだ見ていないところがたくさんあるので(動画をあちこち見ているととても時間がかかる)、これからまだオンライン会場をぶらぶらするつもりだ。なんだか文句ばかり言っていたが、ちゃっかりオンラインの恩恵にあずかっているのだ。
これからの展示会はハイブリッド開催になるのだろうか。両者のいいとこ取りができると良いなあと欲張った感想で終わりたい。


(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。