COP26に向けて

五輪が開催された今年の東京も酷暑である。出場選手の体調にも悪影響は大きかったようで、テニス男子シングルスの世界ランキング首位のノヴァク・ジョコヴィッチ選手(セルビア)は試合時刻を夕方に遅らせるべきだと主張し、同2位のダニル・メドベージェフ選手(ロシア)は試合中、「死んだら誰が責任を取るんだ」と審判に訴えたという。スマートフォンに「外での運動は控えましょう」という環境省が出している熱中症警戒アラートが届くなか、アスリートに最高のパフォーマンスを期待するというおかしな状態だった。パンデミックが、五輪に対する商業主義との批判や、時期や開催地、スポンサーについての議論をより進めることになったのではないだろうか。

個人的には10月体育の日あたりの秋晴れの美しい日本を、感染の心配もない状態で選手の方々にも一般の観戦客の方々にも見てもらいたかったなあと思う。そして燃料電池車やVR技術のお披露目もして展示会のような五輪になるはずだったのになあと単純に残念に思っている。

ところでこの暑さだが、1965年前後には東京の年間猛暑日数は平均0.6日だった。それが2010年以降7.5日となり、2020年には12日に増加。2020年の真夏日は54日で、2カ月近くも「真夏」が続いていたことになる。夏の中の一番暑いところ、真っ盛りの一時期を「真夏」と呼ぶはずだったと思うのだが。
国際的な二酸化炭素排出権シナリオの一番悪いケースだと21世紀末には日本の年平均気温は4度前後上昇する想定だ。それでは夏中「外での運動は控えましょう」どころか外出すら危険になるのではないか。

日本は2050年までに二酸化炭素排出を実質ゼロにするという長期目標を掲げている。これに伴って6月には「グリーン成長戦略」を策定。11月の第26回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)に向けて具体化していく必要がある。

しかし、経済活動の発展と環境対応は企業にとってコストアップにつながるなど相いれない部分が大きいと考えられてきた。
それが、欧州中心に自国の経済政策として「環境対応」を推し進める姿勢が目立ってきた。自動車分野などで顕著だ。

また、最近変わったと思うのは消費者、特に若い人の意識だ。UBSの調査によると、多くの人々、特に20代の若年層は、環境に配慮した製品やサービスの購入に対して通常よりも高い価格を支払うと回答している。全体では、回答者65%が、環境上持続可能な製品に対して平均 7.7%の上乗せ価格を支払うと回答。また、若年層の70%は12.6%の上乗せ価格を支払うという結果が出ている。この暑さで実感し、豪雨災害などを目にしてのことかもしれない。

投資テーマとしては、エネルギー、水素、アンモニアなどが筆頭だ。「グリーン成長戦略」であげられた成長が期待される重点14分野で市場の期待が高いのは洋上風力。そして最近よく聞くようになったのがメタネーション技術だ。メタネーションとは、水素と二酸化炭素を原料として天然ガスの主成分メタンを合成することで、将来の都市ガスの脱炭素化に向けた有望な技術の1つと位置付けられているそうだ。
資源循環、リサイクル、バイオプラスティック、そして送電網、蓄電池と関連産業は多岐にわたる。
11月のCOP26に向けての進展に期待したい。


(フリーアナウンサー/証券アナリスト かのうちあやこ)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。