COVID19 VS アップル、マイクロソフト

先月の寄稿において、今回のグレートローテーション(債券→株式)が債券ファンドの資金流入、引き上げによって起きたことを記したが、ここ1カ月の間に、新型コロナウイルス(COVID-19)という厄介な材料が浮上し、原油は下落、金は高騰、そして、米国債券市場において再度金利が低下する動きとなった。

これについて、先週、FRBパウエル議長の法律で定められた議会証言の日に、セントルイス連銀のブラード総裁が、「過去のSARSやエボラ出血熱などの感染症が流行した際に、米国債利回りに“明らかな”影響が出た。この影響は流行が終息するまで継続したが、現在の2年債利回りの低下傾向は同じである」という主旨の発言を行った。また、ファンド資金の動向を調査しているいくつかの証券会社のレポートが、「2月に入り、過去最大レベルに匹敵する、週次で200億ドル以上の資金が、債券ファンド(グローバル債券)へ流入している」ことを伝えた。それでも、米国株式市場は2月12日に3指数揃って史上最高値を更新し、S&P500とNASDAQ総合指数については、先週末の2月14日にも再度それを更新するなど、極めて堅強な状態を崩していない。

他のアセットクラスがCOVID-19の材料に反応するなか、米国株式市場だけが無反応な状態が奇異に映るかもしれないが、実は、米国株式市場は過去にも「“感染症材料”には揺るがない」という強い状態を堅持した歴史がある。

そして、今回、この状態を下支えしているのが、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)にマイクロソフトを加えた、“旧GAFMA”の銘柄群であり、アルファベットもそれにひと役買っている。

図1は、2018年8月末を100として、これらの銘柄群の株価とNASDAQ総合指数の動きを示したものだ。アップルの株価の堅調さが伝えられているが、今年に入ってマイクロソフトが極めて高い上昇を示していることが分かる。

因みに、2月14日時点での、アップルとマイクロソフトの今年に入ってからの上昇率は10.7%、17.5%であり、この2銘柄でダウを399ドルとほぼ400ドル程度押し上げた計算となる。これは、今年に入ってからのダウの上昇幅859.64ドルの約46%が、この2銘柄の寄与であることを表している。

それでは、この2銘柄の相対パフォーマンスはどうだろうか。図2はダウ、マイクロソフトに対するアップルの株価の累計パフォーマンスを示しているが、アップルはダウに対して今年に入っても堅調にオーバーパフォーム状態を拡大させているものの、マイクロソフトに対しては大きくアンダパフォームしていることが分かる。

つまり、ダウへの寄与でも、2社のうちマイクロソフトのそれが大きいということだ。

さて、そのアップルであるが、プレジデント・デーで休場であった2月17日に、ついに、「COVID-19により、1~3月期の売り上げが予想に届かない結果になる」と初めて新型ウイルスの影響についてコメントした。

これにより、これまで多くの人が疑問を抱きながらも信じてきた、エコノミスト、アナリストによる「20年1~3月期に製造業を中心に増益に転じる」というシナリオに変調をきたすことが十分に考えられる。そのため、これからの1~2週間、これまで市場を牽引してきたこれらの銘柄の動きに注目したい。


(スプリングキャピタル株式会社 代表取締役社長 チーフ・アナリスト 井上 哲男)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。