eワラントへの投資と相関

ご提案:

 今回のコメントでご提案申し上げたいことは、各金融商品どうしの相関をeワラントへ投資をされるときのヒントにされては?ということです。
 相関については皆様も「肌感覚」で理解されているのではないでしょうか?例えば、「円高が進行したため、輸出関連株を中心に売りが殺到し、日経平均は反落しました」といったニュースを耳にされたことがあると思います。これはまさに相関を示す顕著な例の一つです。ですから、為替の動きを横目で見ながら日経平均のeワラントへ投資されるお客様も少なくないようです。
 ちなみに、正相関とは二つの異なった金融商品について、片方が上昇(又は下降)するときは、もう片方も上昇(又は下降)することを言います。逆相関とは、それぞれ反対の動きをとることを意味します。
 為替と株式だけではなく、他の金融商品間でも相関はあるはずです。もしかすると、それらの相関は投資の大きなヒントになるかもしれません。

相場と相関についての過去の事例
 まずは過去の相場を教科書に、相場と相関についてお伝えしたいと思います。(結論を急がれる方は、ここを飛ばして「現在の相場と相関」からご覧ください。)

 先月のいわゆる「VIXショック」は、米国株価指数S&P 500に関連する動きがその一因であったと報道されております。その「VIXショック」の起こったきっかけを大雑把に申し上げますと、米国の株価指数のひとつであるS&P 500のボラティリティ(変動率)(これ自体が「S&P 500 VIX」として取引の対象となっています)が上昇しないこと(逆相関)に賭けた仕組みの金融商品が、その思惑に反してS&P 500株価指数の急落に追随してS&P 500 VIX(株価指数の変動率指数)も上昇(正相関)したため、損失の拡大を防ぐためにS&P 500先物を大量に売却せざるを得なくなったという流れでした。「ボラティリティ(変動率)」って売買できるものなんですね。
 別の角度から見ますと、これはプットオプションの売り手(同時にボラティリティ(変動率)の売り手でもあります)がとる典型的な行動パターンでした。もったいないことに、この崩壊に至る前までの約1年半(図1:A区間)もの間、彼らの思惑はズバリ的中していました。「そうなる前に利食えばよかったのに・・・」私もそう思います。しかし、この金融商品(例:VIX インバース(逆相関)ETN)は上場投資証券であるため、投資家への断りなしに手仕舞いすることはできません。結果として、この仕組みは破綻し、年初につけたピークから30分の1以下の価値での強制(早期)償還が確定しています。
似たような事例は過去にもいくつかあります。いずれも大相場となりました。

1987年 ブラックマンデー:

ブラックマンデーはポートフォリオ・インシュアランス(投資対象の価格が下がると売却を始める、プット・オプションの売り手のヘッジ行動に近い)がきっかけだったといわれています。

1998年 新興国危機:

新興国危機の際、米ドル円は130円台からわずか2営業日で110円台に突入しています。当時、対円での米ドルレートに新興国の影響は少ない(相関が小さい)と信じられていた背景があります。また、米ドルが下落すると、トリガー(引き金)が引かれるオプションが下落のドミノを大きく加速させたことは間違いありません。米ドルが下落してトリガー(引き金)水準に達したとたん、同オプションの売り手がもともとの取引数量の何倍ものドルの売り手として突然現れ、市場に追い討ちをかける結果となりました。

2008年 リーマンショック:

リーマンショックはクレジット・デリバティブの崩壊がきっかけでした。お互いに相関の少ない企業群をひとつの束にして、その倒産(しないであろう)確率に賭けた仕組み(オプションの売却)がメルトダウンしたためです。株価の下落によりそれら企業群の倒産確率が高まったことが原因でこの仕組みは破綻、さらに信用価値が下落したと烙印を押された同企業群の株価が暴落するというドミノに繋がりました。対象企業群を広範にする事で相関のリスクを避けたはずが、相関の変化によって大きな打撃を受けたケースです。

 以上、いずれも相関の変化を放置したり、大量にオプションを売却(ボラティリティの売却)してしまったこと(類似する動きも含みます)が損失の主な原因でした。奇妙な一致ですが、約10年間隔でこういった「イベント」が発生していると指摘する向きもあります。

現在の相場と相関
 現在、相場は依然として不穏な動きを見せています。私どもは、上述の失敗例を反面教師として頭の片隅にとらえつつ、各金融商品間の相関を投資のヒントとしてご活用頂くことを提案いたします。

 図2では、米ドル円と10年米国国債価格との相関を検証しています。昨年12月中旬あたりから、ドル円は債券価格の下落(金利は上昇)にあわせて下落、高い正相関を示しています。市場は米国の金利が上がっても、魅力に感じないと判断しているのかもしれません。
もしかすると「米国売り」の相場展開も:
 「もし」米ドル円が10年米国国債価格と米国株価指数の両方に正相関(10年米国国債と米国株価指数の下落を伴って米ドル円も下落)するとすれば、これは「米国売り」を意味します。トランプ大統領主導による米国の保護主義は新年入り以降も様々にリストアップされており、彼がドル安で強引に米国の輸出競争力の増強を図ってくる可能性もあるでしょう。現株ではなかなか売りから入ることができません(信用取引や先物取引がありますが、審査や追証を嫌う方も多いようです)が、eワラントは相場の上昇・下落にかかわらずエントリーすることができます。収益機会は近い将来にありそうです。

「わからない・自信がない、けど相場は追いかけたい」:
 eワラントはプット(下落方向)・コール(上昇方法)の両建て戦略(ストラドルの買いといいます)で急激な相場の動きに備えることが可能です。本来、ボラティリティの上昇を見込んで取組む戦略(手仕舞うときも両方同時に行う)ですが、この戦略は、米ドル円の下落トレンドが明確になったなら、プットは保有/コールは売却して様子を見てもよいでしょう。(米ドル円が上昇した場合はこの逆)

この戦略でご留意頂きたい点:

  1. プット・コールともに同じ満期日、同じ行使価格、同じ取引単位であることを確認してください。
  2. 満期日までの期間がやや長めのeワラントを選んでください。
  3. プット・コールともに同じ投資金額で購入することがストラドルの買いの「基本」です。
  4. プット・コール両方を同時に購入するため、投資金額はかさみます。

追記:
 eワラントは、売却から取引を開始することはできません。eワラントに投資するお客様には、eワラント(オプション)をご購入頂くことが相場へのエントリーとなります。最大のリスクはご購入頂いたeワラントの価値がゼロになることであり、それ以上の損失は発生しません。

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。