IPO銘柄総決算2022年上半期

東証の市場再編に伴って生まれた東証グロース市場指数。こちらを見ても、グロース市場が長らく調整にさらされていたことが明白です。もともと大筋としては、金融緩和を背景として買われてきたのがグロース株と考えれば、調整は仕方のないことだったのかもしれません。しかし、6月以降は米長期金利の上昇に一服感が出てくるなかで、グロース株に見直し買いの動きがみられるようになり、ようやく底入れの兆しが表れてきました。7月26~27日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されますが、今回のFOMCでは大きなサプライズは起こりにくいと想定している投資家も多いとみられ、無難にここを通過し、大型テック企業の決算も軒並み問題なければ、グロース銘柄にとっては引き続き見直しの動きが強まる可能性もありそうです。さて、そんな中、今回は2022年前半のIPOマーケットについて振り返ってみたいと思います(※6月30日終値までのデータで集計)。

公開会社数は、全体で37社で、2021年(53社)の公開会社数から大きく減少しています。特にグロース銘柄が10社減少しています(4月に東証は新市場への移行を実施したことで、従来のマザーズはグロースに、JASDAQと2部はスタンダードに、1部はプライムに変わったため、若干比較しにくいのですが)。上場中止を発表した企業は、その後再上場を果たした1社を除いて、8社にのぼり、2021年(同2社)から大きく増加していて、市場環境の悪さを物語っています。次にパフォーマンスですが、公開価格から初値までが平均47.4%の上昇、公開価格からその後の高値までは平均97.8%と約2倍の上昇になりました。初値から6月30日終値比較では平均18.0%の下落となりました。上場初日に高値をつけた後、良いところがない銘柄もかなり多く、こういった点からも改めてグロース株への物色が限定的だったことがわかります。

個別のパフォーマンスも見ておきます。公開価格から初値までの上昇率トップは、サークレイス<5029>となっています。公開価格から実に3.2倍となりました。公開価格からその後の高値までの上昇率トップは、約6倍となったANYCOLOR<5032>です。初値からその後の高値までの上昇率トップは、約2.7倍となったエッジテクノロジー<4268>。初値から6月30日終値までの上昇率トップは、60.2%の上昇となったマイクロ波化学<9227>です。

引き続きIT系が初値形成の観点では人気となりやすいですが、その後は換金売りに押されるケースが目立ちます。そんな中でも、トップラインの伸びが高く、利益がついてきている銘柄や特徴あるビジネスを展開している銘柄が総じて好調だったことから、銘柄選別の様相が強まっていると言えそうです。株式市場にこれまでの勢いがない分、IPO銘柄であれば何でも上がるという熱狂的な状態では既になくなっており、冷静に投資家は認識を改める必要がありそうです。下半期にIPO銘柄のセカンダリー物色に参戦する場合、そうした視点で銘柄選びをしていくと良いかもしれません。

(カイカ証券)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、カイカ証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。

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