OPECが減産に合意 原油価格は反転するのか?

9月28日にアルジェリアで開催された臨時総会で、OPECは生産量に上限を設ける、事実上の減産で合意しました。本会合での減産はほとんどの市場関係者に想定されていないかったものであったため、合意を受けてNY取引所の原油先物価格は同日5%以上の値上がりをし、10月6日には3ヶ月ぶりに1バレルあたり50ドルを超える値をつけました。今後は11月のOPEC定例総会に向けて正式な合意を取り付けられるかが大きな注目を集めそうです。

本格的に原油価格が反転ということになれば、リスク選考のムードが進み、他の資産にも大きな影響を及ぼすため、株式やFXをメインとする投資家にとっても、原油価格の動向を押さえておくことは意味あるものといえるでしょう。

OPEC臨時総会の合意内容を振り返る

OPECは9月28日にアルジェリアで開催された臨時総会で、OPEC加盟国全体の生産量の上限を1日あたり3250万バレル~3300万バレルに定めると合意しました。8月のOPECの生産実績は3324万バレル程度ですので、実質的に最大で1日あたり70万バレル程度の減産を合意したことになります。

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2014年半ばまで1バレル100ドル前後で推移していた原油価格は、中国経済の減速をはじめとした世界経済の先行き不透明感に伴う需要低迷とシェールオイルの増産による供給量の増加の影響を受けて急速に下落し、2016年前半には30ドルを割り込むなど低迷が続いています。その後は米国のシェール関連企業が採算割れの影響から一部撤退、生産調整が行われたこともあり、40ドル前後で推移をしていましたが、依然産油国にとっては厳しい状況が続いていました。

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2016年に入ってからはこの状況の打開するため、OPECは増産凍結を軸とした生産量調整の道を模索してきましたが、これまでは合意できずに終わっています。背景にあるのは、経済制裁が解除されたことを受けて原油の増産を目指すイランと、イランを含めた全加盟国協調しての生産量調整を目指すサウジアラビアとの対立でした。

それが今回なぜ合意に達したのかについては、いまだはっきりとしたことはわかりません。当然、OPECとしても減産は受け入れがたいものであり、特に原油安による財政難が続く中にあっては原油売却収入の減少は危機的状況につながりかねません。にもかかわらず、今回の減産に合意したことは、それだけ過剰供給による原油安の解消が進まないことに対して強い危機感をOPEC加盟国が持っていることを表しています。また、イランとしても経済制裁前の生産水準近くまで生産量が回復してきているため、妥協する余地があったのかもしれません。

原油価格の今後を左右する要因とシナリオ別eワラント

では、今後の原油価格はどのような動きになるのでしょうか。最も大きなカギになりそうなのは、11月の定例総会で合意を取り付けることができるのか、そしてその内容はどうなるのか、ということでしょう。特に、加盟各国の生産量の上限を設定できるか否か、という点については今回の合意が正しく履行されるかどうかを判断する上で大きな材料となるかもしれません。

仮に合意されたとしても、各国が遵守するかどうかは引き続き注視しておく必要があるでしょう。特に、イランは増産を志向して積極的な投資を行っている最中であり、ここで突然に増産凍結の決断を下せるのかは疑問が残ります。

また、今回の決定を受けて、OPEC加盟国以外の産油国がどのような行動を取るかにも注意が必要です。既に世界最大のエネルギー生産国であるロシアがOPECと協調する用意があることを明らかにしたように、OPEC以外の産油国が同調して生産量の調整に踏み切る場合には、中長期的な原油価格の上昇につながるものと見られます。しかし、仮にOPECの減産が正式合意され、原油価格が上昇する場合には、生産量を調整していた米国のシェール関連企業が増産に転じる可能性は十分にあり、原油価格を押し下げる要因となりそうです。米石油サービス会社のベーカー・ヒューズ社によると、既に米国の石油リグ稼動数は5週連続で増加を始めており、現実味のあるストーリーと言えるかもしれません。

さらに、需要の面から見ても注意が必要です。世界第2位の石油消費大国である中国の経済成長の鈍化はいまだ続いており、インドをはじめとした新興国の石油需要の伸びもまだそれを補うまでにはいたっていません。今後更なる中国経済の停滞や、新興国経済の成長鈍化が明らかとなった場合には、需給バランスが大きく損なわれ、原油価格の下落につながる可能性があります。