SQのある週はeワラント投資の好機か?

SQとはスペシャル・クォーテーションの略で最終清算数値ともいいます。上場株価指数先物取引や上場株価指数オプション取引等の権利行使に利用される清算値です。通常、毎月第二金曜日がSQが算出される日(以下、「SQ日」)となっており、SQ日が近づくと相場が荒れる、といった相場解説がなされることもあります。そこで本稿では過去10年間のSQ日のある週とSQ日のない週の日経平均株価の変動率の違いについて検証しています。検証の結果、SQ日のある週はSQ日のない週に比べて価格変動が大きくなっていたことが分かりました。

SQ日の有無による週間変動率の違い

分析にあたり用いたデータは2007年から2016年までの過去10年間の日経平均株価の週間変動率です。以下では毎月の第二週をSQ日のある週とし、それ以外の週をSQ日のない週と定義し、週間変動率に違いが生じているのかを確認しました。

図1はSQ日のある週とSQ日のない週について、横軸に週間変動率を取り、縦軸にその変動率がどれほど発生したかを示しています。なお、SQ日のある週は全部で120週、SQ日のない週は全部で402週ありました。発生率の分布の形状は0%前後付近を中心とする山のような形状をしています。これは週間で0%前後となる変動率の発生が最も多く、中心から離れた大きな変動率の発生率が低かったことを示しています。

図1の分布はSQ日のある週とSQ日のない週を比較すると似たような分布をしていますが、SQ日のある週の方がやや左側に偏った分布になっている印象があります。ちなみに週間変動率の平均を取るとSQ日のある週は-0.43%、SQ日のない週は0.22%でした。SQ日のある週の方が平均値が低い結果になっていますが、これは統計的に見て違いがあると言える数値なのか、それとも偶然発生した数値なのか確認したいところです。しかし、そもそも発生率の分布の形状が異なっているために平均値に差が出ている可能性もあります。そこでF検定という分布の違いを検証する統計的手法を用いて分布の形状について検証したところ、SQ日のある週とSQ日のない週の週間変動率の分布は統計的に異なっているという結果が得られました。

SQ日のある週は荒れる?

SQ日のある週とSQ日のない週の週間変動率の分布が異なる形状をしていることがわかりましたが、具体的には標準偏差という統計値に差が生じています。標準偏差とはデータの散らばり具合のことで、標準偏差が大きいほど価格変動幅が大きいことになります。SQ日のある週の標準偏差は3.75%、SQ日のない週の標準偏差は3.07%という結果となり、経験則で言う「SQ日のある週は荒れる」は統計的にも言えそうです。

分布の形状に違いがあるので、SQ日のある週はSQ日のない週と比べて週間変動率は平均的に低い傾向があるとは言い切れませんが、価格変動が大きくなる傾向があることは分かりました。価格変動が大きいのであれば大きな収益も期待できそうですが、注意が必要です。図2は発生率を低いほうから積み上げていった累積度数分布図です。図2から分かることとして、過去においてSQ日のある週の方が週間変動率がマイナスとなる割合が6%以上高かったことを示しています。今後も同様の事象となることは保証できませんが、SQ日のある週は注意を払ったほうが良さそうです。

今後のシナリオと投資戦略

「SQ日に相場が荒れる」可能性が高いという前提に立てば、SQ日を週末に控えた週においては相場の急変に備えて保有しているポジションを解消するとか、リスクを承知の上で逆に相場の変動を狙ったポジションを構築することも考えられます。この点、証拠金取引ではないeワラントは相場の急変が生じてもポジションを強制的に清算される強制ロスカットはありませんし、相場観が当たれば大きな収益を狙うこともできるので、荒れ相場こそeワラントの出番と言えるでしょう。

とはいえ、相場の方向性を予想するのは困難です。そこで、相場が上がると利益が期待できるコール型eワラントと、相場が下がると利益が期待できるプット型eワラントを両方とも等金額投資し、どちらでもいいから相場が大きく動けば合計で利益が狙える両建て戦略もSQ日のある週では有効かもしれません。SQ日のある週の月曜日から水曜日にポジションを構築し、木曜日から金曜日に売却します。相場が大きく動けば片方は大幅なプラス、片方は大幅なマイナスですが、合計で数%の利益を狙えるでしょう。ただし、相場が大きく動かない場合はどちらにも損失が発生する点には注意が必要です。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。

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