VIX売りはもう遅い?いやいや、これからがVIX売りの本領発揮だ!

2020年3月16日、米国のVIX指数が80ポイントを越えて取引されたのは記憶に新しいと思います。
しかし現在はボラティリティも落ち着いてしまい、VIX指数は30ポイント前後で推移するところまで下がってきています。

あー、VIXを売っておけば良かった…

そう思っている方も多いのではないでしょうか?
しかし具体的にどうすればVIX指数を取引することが出来たのでしょうか?

VIX指数を取引しようとする場合、VIX先物を使うのが一般的かと思います。
しかし厄介なのは、先物には取引期日が存在し、どの限月を取引するのかで収益が大きく変わってきます。※1

そこで今回、3月16日におけるVIX先物のフォワードカーブと、5月8日におけるフォワードカーブを比較し、もし3月16日にVIX先物を売り建てていれば、どれだけの収益が見込めたのか検証し、最後に今後の戦略をご提案したいと思います。

下図をご覧ください。

青色の点線は3月16日におけるフォワードカーブ(当時取引が出来たのは、2020年3月限~2020年11月限)、青の実線は5月8日におけるフォワードカーブ(取引が出来るのは、2020年5月限~2021年1月限)、赤の点線は私が予想する1カ月後のフォワードカーブの形になります。

3月16日に80ポイントだったからと言って、今は30ポイントだから、もし当時売っていれば、50ポイント相当をゲットできたかというと、そうではないですよね?

先物市場には取引期日がありますから、保有している売り建玉をずっと保有したければ、ロールオーバーをしなくてはなりません。
そうすると、図のようなバックワーデーション型(期近>期先)のカーブの時に、ショートロールしてしまうと、それだけで損失が出てしまいます。高い期近を買い戻して、安い期先を売ることになるためです。

話が少し脱線してしまいましたが、要は価格が半値以下になったからと言って、その値幅をすべて取ることは、ほぼ不可能だったということになります。

そこで提案したいのは、難しいロールオーバーのことなんか考えずに、1カ月~2カ月程度のスパンで下落を取りに行くなら、第3限月あたりを取引するのが良いということです。

例えば、3月16日に第3限月であった20年5月限をショートしていれば、5月8日現在で15.55ポイント、率にして約35%程度、利益を享受できたことになります。

第1限月は、「今日明日中に必ずボラティリティは下がる(上がる)」という強い自信がある時以外は、手を出さない方が良いでしょう。

では、今後の戦略ですが、上図の赤の点線を再度ご覧ください。
これはあくまでも私見になるのですが、相場は既に落ち着いたと考えていますので、近いうちにコンタンゴ(期近<期先)の形状に戻っていくと予想しています。
従って、赤の点線のような形状になるのですが、ここでもリスク回避のために、第1限月ではなく第3限月を取引していただきたいと思います。

そうすると8月限を取引することになるのですが、ここでは5月8日の水準から約3ポイントの下落、率にして約10%程度の下落を予想しています。

なんだ、それだけか…
と思ったかもしれませんが、ここで注目してもらいたいのは、フォワードカーブの形状がバックワーデーション型からコンタンゴ型に変化しているということです。
つまり、売り建玉を持てば持つほど、カーブの左側に滑り落ちてくるように、日々価格が下がっていくことになります。

もし8月になっても、予想のカーブと同様のカーブだったと仮定するならば、8月限は更に下落しており、今の水準と比べて約10ポイント、率にして約33%の下落となっていることでしょう。

最後にまとめると、VIX先物のショートポジションは、3月→5月においては「価格自体の大きな下落による利益+バックワーデーション形状からの日々の損失」でしたが、これからの数カ月は「価格自体の小幅下落による利益+コンタンゴ形状からの日々の利益」というシナリオになると予想しています。従って、まだVIX売り戦略は有効と言えるかもしれません。


(eワラント証券 マーケティング部ヴァイスプレジデント 吉野 真太郎)

※1 CFDであれば取引期日はありません。しかし、CFDも結局は先物取引をベースにヘッジ取引がなされているため、フォワードカーブから発生するロールオーバー時のコストは全てCFDの価格に内包されているのが一般的です。

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。