フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
<今週の東京株式市場見通し>
今週(7/11~7/15)の東京株式市場は神経質な展開か。日経平均株価の予想レンジは25,800~27,400円。イベントが多く、振れ幅の激しい展開が想定される。
週初は米6月雇用統計の結果を反映することになる。雇用者数が予想を大幅に下回るようなことがなく、平均賃金の伸びが予想並みにとどまれば、景気後退懸念とインフレ懸念が同時に緩和することになり、その場合には相場はリバウンド基調を強めることになりそうだ。
今週の最大の注目は米6月消費者物価指数(CPI)だ。財・モノに関しては6月ISM製造業景気指数の入荷遅延や価格の項目の低下、ニューヨーク連銀のサプライチェーン圧力指数のピークアウト感から、インフレ沈静化の兆しが見られてきている。モノから移行してきた新たなインフレ主要因とされるサービス分野についてはまだインフレ沈静化の兆しが見られておらず、油断はならないが、6月CPIが予想並みにとどまれば、足元で改善してきている投資家心理が一段と改善し、相場の押し上げに寄与しそうだ。
そのほか、週末に集中する米中の6月鉱工業生産や小売売上高などの経済指標も注目される。中国では財政省が地方政府に対して今年下半期に1兆5,000億元(約30兆円)相当の特別債発行を許可する方針と伝わるなど、景気浮揚策に関する報道が相次いでいる。ただ、一方で新型コロナ感染が再拡大しており、行動制限の再強化への懸念もくすぶっている。そのため、経済指標の結果次第で中国景況感の回復期待が強まるのか否かが左右され、注目度は高い。
日本時間で結果を反映するのは来週となるが、景気後退懸念が加速している米国での週末に発表される経済指標も非常に注目される。上述した指標に加えて、5月、6月と連続で予想を下回ったニューヨーク連銀製造業景気指数の7月分は企業センチメントを図る指標として注目されよう。また、6月に過去最低を記録しているミシガン大学消費者マインド指数の7月分は消費者センチメントを占うと同時に、7月FOMCでの0.75ptの利上げに至った要因の一つでもある期待インフレ率の動向に注目だ。これらの指標結果を見極めたいとの思惑から、週末にかけては模様眺めムードが強まる可能性があろう。
また、週後半14日にはJPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーの4-6月期決算が発表される。個人や企業を巡るセンチメントが悪化しているなか、経営陣の先行きに対するコメントはかなり注目される。特にJPモルガンの最高経営責任者(CEO)ジェイミー・ダイモン氏は6月1日に、経済の先行きについて「嵐が来るかもしれない」などと発言し、話題になった。今回の決算でのコメントもさることながら、貸倒引当金の積み立て額なども注目されよう。両社の決算結果は日本時間で週末15日に反映されるため、内容次第では週末に大きく様相が変わる可能性に留意したい。
国内では10日に参議院議員選挙の投開票が実施済み。自民、公明の与党が改選過半数の議席を超えていれば、この先3年間は国政選挙がないため、長期安定政権の誕生に繋がる。英国ではジョンソン首相が辞任を表明しており、政治の安定性は海外投資家から評価される可能性がある。また、参院選後には新たな補正予算の編成が期待されてもおり、政策期待が内需系銘柄の押し上げに寄与することも見込まれよう。
なお、今週は11日に5月機械受注、6月工作機械受注、12日に6月企業物価指数、米10年国債入札、13日に中国6月貿易収支、米6月CPI、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、米6月財政収支、バイデン大統領、中東各国を歴訪(〜16日)、14日に米6月生産者物価指数(PPI)、15日に中国4-6月期GDP、中国6月鉱工業生産、中国6月小売売上高、中国6月固定資産投資、米7月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米7月ミシガン大学消費者マインド指数、米6月小売売上高、米6月鉱工業生産、 G20財務相・中央銀行総裁会議(~16日) などが予定されている。
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<今週の注目銘柄>
シェブロン(CVX)コール56回
権利行使価格170米ドル(原資産:143.52米ドル)デルタ:0.25
景気後退懸念が加速するなか、資源価格が全般大きく下落し、需給逼迫から高止まりしていたWTI原油先物価格も一時1ドル=100バレルを割り込むなど大幅に下落した。しかし、他のコモディティと異なり、原油市場は深刻な供給不足が解消されていない。ノルウェーの石油業界でのストライキのほか、ロシアの裁判所が黒海にあるCPCターミナルからの原油荷積みを禁止するよう命じるなど、問題を更に深刻化させかねない報道も相次いでいる。原油価格が再び上昇に転じる可能性はあり、関連株には見直し余地があると考える。
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野村総合研究所(4307)コール65回
権利行使価格3,850円(原資産: 3,810 円)デルタ:0.53
6月調査の日銀短観では企業の設備投資意欲の強さが窺え、とりわけ、ソフトウェア・IT投資の強さが確認された。外部環境の不透明感が強いなかでも業務効率化への需要は底堅く、むしろ、コストカットによる経営体質の強化を目的に強まる傾向があるようだ。こうしたなか、デジタル・トランスフォーメーション(DX)関連のIT企業の株価が復調傾向にあり、DX筆頭格ともいえる同社株についても先行きに期待したい。
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ユニ・チャーム(8113)コール127回
権利行使価格5,100円(原資産: 4,798 円)デルタ:0.41
22年12期は第2四半期(4-6月)までは原材料費高騰の影響が重石となるだろうが、第3四半期以降は足元のコモディティ価格下落を背景に、原材料費高騰の悪影響が一巡。加えて、新製品投入に伴う原価改善や値上げ施策による収益体質の強化が顕在化すると予想される。
(提供:株式会社フィスコ)
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