フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
<今週の東京株式市場見通し>
今週(8/15~8/19)の東京株式市場はもみ合いか。日経平均株価の予想レンジは28,000~28,750円。売り手不在のなか、週末の米国版SQ(特別清算指数)を通過するまでは、底堅い地合いが続きそうだ。
今週は米中の小売売上高や鉱工業生産など注目度の高い指標が多い。中国では行動制限の長期化で景況感の回復が想定以上に遅い状況が続いており、指標結果が冴えないものになる可能性がある。米国でも、所得の伸びがインフレに追い付かないことで実質所得の減少が続いており、けん引役となってきた個人消費の失速で小売売上高が予想を下回る可能性があろう。4-6月期の決算発表が一巡したばかりだが、景況感の悪化は7-9月期決算への警戒材料となり、需給主導の上げ相場が終わり次第、次第に相場の重石となりそうだ。
また、米国ではウォルマートやターゲットなどの決算が予定されている。既に業績予想を下方修正しており、期待値は低いが、在庫の処分ペースなどが注目され、景況感の悪化を一段と強める恐れもあるため注意したい。
ほか、17日に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が注目される。米7月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)は共に予想を下回り、市場ではインフレピークアウト期待が高まっている。しかし、指標の減速要因の大半はエネルギー価格であり、食品価格などはむしろ上昇ペースが加速。住居費などの下方硬直性のある分野のインフレもほとんど減速していない。
一時1バレル=90ドルを大きく割り込んでいたNY原油先物価格は足元で90ドル半ばまで回復。代表的な商品市況の総合指数であるCRB指数は7月14日をボトムに下値切り上げの上昇トレンドに転換している。こうした背景から、7月のインフレ指標は大きく減速したものの、8月分以降は高止まりが想定される。また、7月雇用統計では平均賃金の伸びは予想に反してむしろ加速した。「インフレピークアウト→利下げ減速」までを織り込むのは時期尚早といえよう。
米連邦準備制度理事会(FRB)の高官からもけん制発言が相次いでいる。インフレ指標の発表後、米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「インフレとの闘いで勝利を宣言するには遥かに程遠い」と指摘。「政策金利は更に引き上げられた後、インフレが2%に低下するまで維持される」とも発言し、来年の利下げを織り込む市場を強くけん制した。市場とFRBが想定する今年末の政策金利予想にもかなり開きがあり、いずれ、市場の楽観は修正される可能性がある。17日のFOMC議事要旨で、こうした乖離が修正される可能性もあるだろう。
ここしばらく落ち着いた動きだった米10年債利回りは、11日、2.89%(+0.1pt)と大幅に上昇した。これに伴い、期待インフレ率の指標とされる10年物の米ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)を差し引いた実質金利は8月に入ってからの上昇基調をやや加速させている。米国で業績予想の下方修正が進むなか、予想一株当たり利益(EPS)は切り下がっており、株価上昇には投資家の期待値を表す株価バリュエーションのPER(株価収益率)の上昇が欠かせないが、実質金利の低下に歯止めがかかり、上昇に転じてきているなか、そうした展開は見込みにくいだろう。
一方、需給面では相場は短期的には底堅さが維持されると考えられる。市場関係者の多くは、足元の株式市場の上昇はベアマーケットラリー(弱気相場の中の一時的な上昇)に過ぎないと見ている。ただ、機関投資家の多くが夏休みに入るなか、市場参加者が限られ、相対的に個人投資家や短期売買のみを目的とした投資家の動きに左右されやすい地合いが続く。このため、相場に乗り遅れることを嫌った個人投資家の買いや、商品投資顧問(CTA)などの短期筋の追随買いで足元は上方向に振れやすい状況だ。週末の米国版SQまでは売り方の買い戻しが相場を下支えしそうだ。
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<今週の注目銘柄>
エヌビディア プット133回
権利行使価格160米ドル(原資産:89.14米ドル)デルタ:-0.29
先週、同社はゲーム業界の見通し悪化を理由に、第2四半期(5-7月)の売上高見通しを下方修正した。また、翌日には同業のマイクロン・テクノロジーが僅か1カ月前に示したばかりの弱気な見通しのレンジ下限、ないしそれを下回る可能性を示唆。さらに、マイクロンは先んじて需要が減速し始めていた消費者向けだけでなく、データセンター用や産業用、自動車用など他の市場部分にも調整が広がっているため、需要の一段の減少があるとも警告した。半導体業界に関してネガティブな情報が相次ぐなか、当面、関連企業の株価は上値の重い展開を強いられそうだ。
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アサヒグループ(2502)コール147回
権利行使価格5,000円(原資産:4,848円)デルタ:0.44
第2四半期事業利益は前年同期比8.6%増となった。値上げ後のビール消費の堅調さが確認された良好な決算だったといえる。また、今期のコスト増前提が第1四半期時点から引き上げられたが、更なる値上げとコスト削減で追加コスト増の大半を打ち返す計画としており、安心感のある内容となった。会社側からは主力ブランドの売上成長と販促費の効率化などで来期への成長の自信も示された。ビール消費はインフレ耐性があると考えられ、今後も堅調な業績推移が期待できそうだ。
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オリエンタルランド(4661)コール197回
権利行使価格20,500円(原資産:20,620円)デルタ:0.56
第1四半期の営業損益は171億円の黒字で、前年同期比259億円の損益改善となった。市場予想は120億円程度の黒字だった。入園者数は会社計画を下回ったが、1人当たり売上などが計画を上回った。足元での新型コロナ感染再拡大などで先行き不透明感が強まりつつあったが、上振れ決算が安心感につながる形となった。改めて徐々に経済活動の再開が想定されるなか、据え置かれた業績計画の超過が期待されよう。
(提供:株式会社フィスコ)
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