2022年10月24日のeワラント特選銘柄

フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。

<今週の東京株式市場見通し>

今週(10/24~10/28)の東京株式市場は一進一退か。日経平均株価の予想レンジは26,000~27,700円。通称「GAFAM」と呼ばれる米IT大手の企業決算のほか、国内でも7-9月期決算の発表が本格化するため、決算を受けた個別株物色が主体となろう。

米国で先んじて始まっている7-9月期決算は今のところ総じて堅調だ。金融大手の決算では、貸倒引当金の積み増しが過度な景気後退懸念を招くことはなく、不振の投資銀行業務を純金利収入やトレーディング収益で相殺できているところが多かった。また、IT大手の決算で皮切りとなった動画配信サービスのネットフリックスも実績については主要評価項目が会社計画と市場予想をいずれも上回った。今週発表されるGAFAMの決算も予想ほど悪くなければ、業績悪化に対する過度な警戒感が後退し、ショート(売り持ち高)が積み上がっている米国株を中心に買い戻しが強まりそうだ。

関門は、26日に予定されているメタ・プラットフォームズだろう。20日に発表された米動画写真共有アプリのスナップが発表した決算は失望的なもので、同社株価は急落した。同社は4-6月期決算の際も同様に失望的な結果で株価が急落していたが、改めてマクロの景況感悪化を背景とした広告需要の減速が確認された。メタ・プラットフォームズも広告関連企業の中では厳しい状況が続いている。同社は昨年10-12月期の決算を受けて今年2月に時価総額を1日にして2,000億ドル余り消失した経緯がある。今年4-6月期には四半期ベースで初の減収も記録した。広告業界では需要が減速する中、サービス利用企業の使用プラットフォームの絞り込みが行われている。スナップの決算も踏まえると、メタショック再来には注意しておきたい。

また、アップルも、新型スマートフォン「iPhone14」の生産動向が不振と伝わっており、先行き警戒感が高まる中、今後の見通しに対する会社側の見解などが注目される。メタとアップル、どちらに対しても事前の警戒感が高い分、無難な消化への期待もあるが、スナップと同様に注意は怠れない。

ほか、経済指標では、さほど注目度が高くないかもしれないが、25日に発表される米8月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数などの住宅価格の指標に注目したい。米消費者物価コア指数(CPI)の加速要因になっている住居費の先行指標でもあり、すでに今年4月にピークを打っているが、一段と減速スピードを加速する結果となれば、サービス分野の粘着インフレに起因する米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めに対する警戒感も和らぐ可能性があろう。

国内では、27日に予定されている信越化学(4063)ファナック(6954)アドバンテスト(6857)イビデン(4062)あたりの決算が注目となる。ファナックは安川電機(6506)と同様に資材費・輸送費の影響度合い、アドバンテストは半導体業界で懸念が強まっている業績ピークアウトの見極めが焦点となる。ほか、日銀の金融政策決定会合が予定されているが、黒田日銀総裁の主張に変化はなく、今会合も現状維持の公算が大きい。為替については介入への思惑もあるが、すでに1ドル=150円の大台を超えており、現状維持の決定を受けて一段と円安方向に振れる可能性があろう。その場合、10月以降のドル円と自動車関連をはじめとした輸出系企業の株価推移の比較からみても一目瞭然のように、これ以上の円安は実体経済だけでなく、株価にもほとんどプラスに作用しないことが分かる。むしろ、輸入企業のコスト増など負担の方がクローズアップされやすく、一段の円安は警戒材料として為替動向に留意しておきたい。

 今週は25日に独10月Ifo景況感指数、米8月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米10月消費者信頼感指数、26日に米9月新築住宅販売、27日に日銀金融政策決定会合(~28日)、欧州中央銀行(ECB)定例理事会、米7-9月国内総生産(GDP)、米9月耐久財受注、28日に黒田日銀総裁の会見、日銀による経済・物価情勢の展望公表、10月都区部消費者物価指数、9月失業率・有効求人倍率、米9月個人消費支出(PCE)・個人所得・PCEコアデフレータなどが発表予定。


<今週の注目銘柄>

金リンク債 プット372回
権利行使価格1,650米ドル(原資産:1,636.8米ドル)デルタ:-0.65

米10年債利回りが連日で14年ぶりの高値を更新している。FRBが想定する政策金利のターミナルレート(最終到達点)は現在、4.5-5.0%当たりがコンセンサスになっているが、コアCPIの加速を受けて、これが5.0-5.5%程にまで引き上げられる可能性が高まっている。この場合、米10年債利回りは4.5%を超えてくるとみられる。景気減速懸念などもあるが、当面はこうした金利先高観が金先物価格の重石として働きそうだ。

ファナック(6954)プット248回
権利行使価格20,500円(原資産:20,350円)デルタ:-0.49

先んじて発表された安川電機(6506)の上半期決算は資材費・輸送費の高騰などが響き、通期業績予想は下方修正された。また、下半期については受注が正常な状況に戻る見通しが示されたもよう。これを受けて需要環境に関する見通しが保守的になったと考える投資家が多くなったとの指摘もある。欧米の景気減速による需要の落ち込みに加え、中国の回復も緩慢なペースであり、しばらくは業績の調整局面が続こう。ファナックの27日に予定されている決算も株価の下落トレンドを払拭する可能性は低いとみている。

JR西日本(9021)コール81回
権利行使価格5,700円(原資産:5,855円)デルタ:0.59

全国旅行支援の実施を受けて国内需要の高まりも追い風だが、航空会社の国際線本数もかなり速いペースで回復しており、これに伴い、関西国際空港と大阪、京都を結ぶ特急「はるか」を運行している同社への期待が高まっている。需要拡大を受けて、11月からは、運行本数を現在の1日当たり38本から1日60本に戻すともしている。コロナ禍で厳しかった間に、固定費の削減など構造改革を積極的に行っており、需要回復の際の業績回復スピードも期待される。


(提供:株式会社フィスコ)

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