2017年1月16日の特選銘柄

DZHフィナンシャルリサーチ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
提供:DZHフィナンシャルリサーチ 

<今週の東京株式市場見通し>

今週の東京株式市場は反発か。足元の円高や米国市場の休場(1/16)などで、週初は様子見ムードのスタートとなりそうだ。円高で株安への懸念が拭えないなか、強含む米国株が日本株の支えとなっている。そういった意味では、本格化する米企業決算の発表に米国株がどんな反応を示すかが焦点となる。米調査会社ファクトセットの予想によると、米主要500社の10-12月期は純利益ベースで3.0%程度の増益(前年同期比)と、2四半期連続の増益が見込まれている。ドル高が主力企業の業績の足かせになることが懸念されているだけに、想定以上に底堅さが確認できればダウ平均の2万ドル超えや、米主要指数の上昇を通じて日本株の追い風になる。
逆に、業績悪化が米株式市場の調整要因となれば、トランプ次期米大統領によるドル高をけん制する発言などで為替市場がいっそう不安定になるシナリオも考えられる。
米国の経済指標では、1月NY連銀製造業景気指数(1/17)、12月鉱工業生産・設備稼働率(1/18)、12月住宅着工・許可件数、1月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数(1/19)などが重要となる。12月雇用統計では非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回ったが、全般的には米景気モメンタムが再び強まっており期待できそうだ。また、イベントでは欧州中央銀行(ECB)理事会とドラギ総裁会見(1/19)、トランプ氏の米大統領就任式(1/20)がある。トランプ氏によるインフラ投資、減税などを含んだ就任演説で景気浮上期待が蒸し返されるようだと、昨年12月半ばから低下が続く米長期金利の上昇を通じてドル高・円安方向へ戻りを強め、来週の主力大型株への買い戻し要因になる。
中国では、10-12月期GDP 、12月鉱工業生産、小売売上高、都市部固定資産投資(1/20)などが発表される。事前予想から大きく振れることはないだろうが、このところの景気の改善を証明する着地となれば、1/20の米国株式市場の支援材料になるだろう。
業種別の物色では、週前半まで続く米金融機関の結果次第では昨年12月高値から調整局面にある銀行セクターに買いが向かうことが予想される。テーマでは先週物色されたフィンテック関連に加え、今週は12月分と2016年の訪日外客数の発表(1/17)なども予定されており、場合によっては値ごろ感のあるインバウンド関連などが物色されそうだ。

(提供:DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部 東野幸利)

<今週の注目銘柄>

ソニー(6758)
コール282回 権利行使価格3,500円(原資産:3,549円) デルタ:0.5

年明け後の全体相場はさえないが、ソニー株のパフォーマンスは好調である。熊本地震の影響などを受けた今17.3期から、投資家の目線が来18.3期の業績回復に移っていることが背景にあるようだ。このほど公表されたモルガン・スタンレー証券のレポートで、トップピック銘柄(強気)として推奨し、目標株価として4,100円を掲げたことも、市場で注目され、株価上昇に拍車をかけている。証券会社のレポートやマネー雑誌で、2017年の注目(推奨)銘柄としてソニーを挙げているものは少なくなく、新年に入ってNISA(少額投資非課税制度)口座で購入する個人投資家も多いとみられる。
米国のトランプ次期政権がとる政策に不透明感が漂う中、標的にされている自動車株でも、医薬品株でもなく、「ザ・ジャパン銘柄」の筆頭格として買い安心感がある。主力ゲームの「PS4」は今後も伸びると見込まれ、販売数の弱い市場コンセンサスに対して、上振れ余地は大きい。権利行使価格として3,500円を選び、株価上昇を予想する。昨秋に上値を阻まれた節目の3,500円を上にブレイクしたことで、今度は3500円がサポートとして機能しそうである。上昇ピッチに勢いがつけば、2015年5月のアベノミクス後の高値3,970円も視野に入ろう。

武田薬品工業(4502)
プット121回 権利行使価格4,800円(原資産:4,875円) デルタ:-0.5

現地時間1月11日に行われたトランプ次期大統領の記者会見で、「製薬会社は『殺人』の罪を犯しているにもかかわらず、罰せられておらず、政府に多額の費用を負担させている」などと批判、薬価の改革を進める意向を表明したため、医薬品セクター株をめぐる先行き不透明感が漂い始めた。加えて、同社個別の要因としても、このほど、製薬会社のARIAD Pharmaceuticals(米国マサチューセッツ州)の買収を発表。その買収価格が多額であることもあり、「買収価格は適切なのか?」、「この時期に米国企業の取得は印象が悪いのでは?」などといった懸念が、市場関係者の間で広がっている。米製薬会社の買収発表を受け、一部の証券会社では格付け(カバレッジ)をいったん取り下げたほか、格付け会社のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)では、格下げ方向でクレジット・ウォッチに指定した。株価は目先、素直に下方向とみてよさそうだ。
権利行使価格として4,800円を選ぶ。日足チャートの一目均衡表では、足もとで4,800円に基準線が位置しており、これを下抜けると4,600円レベルにある雲の上限まで、めぼしいサポートが見当たらない。個人投資家を中心に製薬株は高(好)配当銘柄として選好されがちで、下値では押し目買いも入るとみられるが、そのストップロス(損切り注文)が行使される展開になれば、「売りが売りを呼ぶ」で急落する可能性も十分。なお、前述した一目均衡表の雲はこの後、徐々に切り上がってくる。雲の薄いところ、もしくは「ねじれ」を突いて下にブレイクし、弱気相場入りする展開が考えられる一方、この雲の切り上がりに沿って、株価が値を戻してくることも想定される。見込み通りに下落しても満期日までホールドせず、4,600円台ではポジションをクローズし、次の展開を探りたい。

米ドル ドル高
(コール)型782回 権利行使価格114円(原資産:114.86円) デルタ:0.5

足もとの金融マーケットは不安定である。米国のトランプ次期政権の発足を目の前に控えて、市場関係者の多くは相場見通しに疑心暗鬼になっている。現地時間1月11日に行われたトランプ次期大統領の初となる記者会見の評価は芳しくない。米国メディアとの敵対関係は悪化し、メキシコ、中国、日本を名指しで「貿易でアメリカは多額の損失を被っている」などと述べて批判。また、これまでの自動車産業に加え、医薬品業界にも噛みついた。同会見後の為替相場ではリスクオフの様相を見せており、米ドル円は軟化した。
一方、政治評論家からはトランプ氏について「表も裏もない、言っていることがそのまま、彼の考え方」と評する声が少なからず聞かれる。すなわち、「強い米国、強い米ドル」を標ぼうする政策を行うのではないだろうか。また、少なくとも政権発足時から100日間程度、いわゆる「ハネムーン期間」は、市場からの素直にとらえられるのではないだろうか。歴代の米財務長官が言う「強い米ドルは米国の国益」である。共和党が多数派を占める米国の上院議会も、このベクトルの政策を支持するだろう。世間的には、トランプ氏のメチャクチャな言動を受けてリスク回避の円買い(米ドル売り)が進むという見方は少なくないが、先々はともかく、目先では市場関係者は米ドルを買ってくるとみる。
権利行使価格114円。日足チャートで一目均衡表を見ると、雲が切り上がってきている。昨年11月9日の「トランプショック」時でもおおむね、この雲の上限にサポートされた。現時点でも雲の上で推移し、強気相場を継続中。足もとの米ドル円の下落も一時的となり、トランプ政権発足時(1月20日)における雲の上限である114円あたりが、下値メドと考える。昨年12月15日高値118円台を超えてグングンと上昇する公算は大きくはないが、ギアリングは26倍と高く、投資魅力は十分である。

(提供:DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部 小林由二)

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