2017年7月31日の特選銘柄

DZHフィナンシャルリサーチ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
提供:DZHフィナンシャルリサーチ 

<今週の東京株式市場見通し>

 今週(7/31~8/4)の日経平均株価の予想レンジは19,900円-20,100円。東京株式市場は外部環境に左右される展開か。週末に向けては米国の重要経済指標の発表が続くため、全般的には米長期金利や為替市場の値動きに神経質にならざるを得ない。ただ、国内企業の決算発表が材料となり、個別株ベースではボラティリティの高さに着目した物色が続く公算が大きい。

 昨年は米4-6月期GDPが市場の予想を下回ったあとにドル売り・円買いが進んだように、今年もGDP発表(7/28)後となる今週は比較的大きな反応が予想され、週初は為替市場やNY原油先物などの動向に注目しておきたい。第1四半期の1.4%(前期比年率)から改善がみられれば、ドル高の反応で週明けを迎えることになろう。逆にドル売り材料になれば、株価は週初から下放れる展開が予想される。

 ひとまず週前半の物色は、ヘッジファンドなどがリターン・リバーサルを意識する結果、業種別によって明暗が分かれそうだ。7月の業種別指数(33業種)の月間騰落率は7/28現在、上位5セクターでは、鉄鋼(+5.1%)、非鉄金属(+4.9%)、繊維製品(+4.1%)、電気機器(+3.4%)、輸送用機器(+3.0%)と続く。下位セクターでは、パルプ・紙(-4.5%)、銀行(-4.1%)、陸運(-2.5%)、証券・商品先物取引(-1.8%)、ゴム製品(-1.6%)となっている。 

 海外の主要な経済指標では、中国7月製造業PMI、ユーロ圏6月失業率、米7月シカゴ購買部協会景気指数(7/31)、中国財新7月製造業PMI、ユーロ圏4-6月期GDP、米6月個人所得、米6月個人支出、米7月ISM製造業景況指数(8/1)、米7月ADP雇用統計(8/2)、米7月ISM非製造業景況指数(8/3)、米7月雇用統計(8/4)などが注目される。

 日経平均株価は25日移動平均線(20,074円 7/28)を意識しながらもみ合い相場が続く。一目均衡表では抵抗帯(雲)を上回る位置を維持しており、年初来高値(20,318円)を更新する一段高がみられるかが注目される。ただし、今のこう着状況が長期化すると、次第に下放れリスクの方が高まることになり注意が必要となる。 8月相場はそもそも売買代金が減少傾向となる年が多く、昨年までの20年間の騰落の勝率は7勝13敗と分が悪い。

(提供:DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部 東野幸利)

<今週の注目銘柄>

安川電機(6506) コール 34回
権利行使価格2,750円(原資産:2,923円) デルタ:0.6

 同社では7月20日に、今18.2期通期の連結営業利益予想を370億円から455億円(前期比49.6%増)へと上方修正すると発表した。1Qにおいてモーションコントロールセグメントの業績が予想を上回ったことや、中国・韓国を中心とした好調な受注動向などを踏まえたとされている。だが、この上方修正の中身をみると上期分のみが反映され、下期予想は期初計画を据え置いている。中国を中心とする旺盛な設備投資を背景にモーターや産業用ロボットの供給は増えるとみられ、下期も会社計画を上回る業績推移となる公算大。中国では人件費増加が顕在化してきており、これに対応するため、工場の自動生産化が図られつつある。スマートフォンの増産、電気自動車など自動車産業における増産も続くとみられ、同社を取り巻く事業環境は良好。通期計画の再度の上方修正がなされる確度は高いとみて、株価の高値更新は続くと予想する。

 一方、会社計画の上方修正を受けての株価急騰で、日足チャートではマドを大きく空けた格好になっている。7月20日終値2,550円から2,800~2,900円へ急伸し、7月26日には節目の3,000円をブレイクして3,015円まで上昇する場面も見られた。さすがに過熱感が意識される状況となっており、いったんは利益確定売りに押されるのではないだろうか。3月企業の決算本格化や夏休み相場で投資家の様子見姿勢が強まる中、マド埋めの動きになると想定。権利行使価格として2,750円を選ぶ。だが、この株価下落はあくまで「調整」であって、下落基調に転じるわけではない。夏休み明けのトレーダーが復帰する8月後半あたりからは再び騰勢を強めて、株価の上値を拓いていく展開を予想。マーケットの地合いしだいでは、3,500円程度までの上昇もあるとみている。

ソフトバンク・テクノロジー(4726) プット 2回
権利行使価格1,750円(原資産:1,981円) デルタ:-0.2

 株価は6月9日2,285円を高値にじり安の傾向。クラウド、セキュリティ関連銘柄への物色に加え、親会社であるソフトバンクグループ(9984)の好調な事業展開を背景に、4月以降の株価は1,700円割れから前述の2,285円まで、2カ月ほどで35%もの上昇を見せた。ところが、ここに来てさえない値動きが続いている。今18.3期の会社計画は増収増益であり、営業利益については11.6%増と2ケタ増益である。それにも関わらず、第1四半期決算発表を前にして、業績への期待が高まっている様子が感じられない。証券会社のカバレッジは入っていないが、会社四季報などの予想を参考にすると、市場は業績について会社計画に沿った線で推移すると見込まれているもよう。マーケット全体のムードが良くない中で銘柄選別が進む状況下、物色の「蚊帳の外」とされているかのように見える。クラウド、セキュリティといったワードに着目した個別銘柄物色は一巡しており、投資家は、新たな買い材料を待っているもよう。

 日足チャートを見ると、現状、一目均衡表の雲の中で横ばいに推移している。どちらかと言えばベクトルは下向きとみられるものの、節目の2,000円や雲の下限でかろうじてサポートされている格好。だが、このまま横ばいで推移しても、8月中旬になると雲を下抜けて「弱気相場入り」となることに留意したい。株価の上昇モメンタムが弱く、反発の可能性は低いとみられる状況下、第1四半期決算を機に株価の下押しが強まると想定。7月以降の株価の小動きでエネルギーはたまっており、下方向に動き出せば、一気に急落する公算も大きい。権利行使価格として1,750円を選ぶ。なお、同社は7月24日、保持する検証サーバー(保守契約管理システムの検証サーバー)に対する不正アクセスが確認されたと発表。不正アクセスを行った第三者(攻撃者)に情報が流出した可能性があることが判明したとしている。第三者機関による調査が行われているとしているが、今後の事業展開などに影響を及ぼすことも考えられ、注意したいトピックである。

カナダドル ドル高(コール)型 249回
権利行使価格92円(原資産:88.403円) デルタ:0.2

 原油価格の堅調な値動きを背景に、産油国通貨の代表格であるカナダドルも堅調な地合いが続いている。対円では80円割れ目前から2カ月弱で10円近く上昇し、90円台をうかがう上昇を見せている。カナダドル円は2016年4月28日(88.79円)、2016年12月15日(88.91円)と2回、90円乗せを阻まれているが、カナダの利上げ期待を受けて、「3度目の正直」で90円のカベをブレイクできるとみる。前述した2016年の2度の高値を付けた場面では、原油価格の上昇を背景にした上昇ではあったが、利上げ期待はさほど高まっていなかった。今回は(1)原油高、(2)好調なカナダ経済、(3)カナダの利上げ期待と、カナダドル買いの理由に加えて、株高を背景にしたリスク選好の(4)円売り、と、カナダ、日本の両サイドで材料がそろっている。

 権利行使価格は、高値更新後の92円を選ぶ。上記のシナリオに加えて、夏休み相場でマーケットが薄い中、投機筋などの仕掛け的な買いで急伸→90円より上に観測されるストップ・ロス(損切り注文)の行使といった展開も想定される。90円のカベを前に防戦のカナダドル売り・円買いも入りそうではあるが。

(提供:DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部 小林由二)

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