2017年8月7日の特選銘柄

DZHフィナンシャルリサーチ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
提供:DZHフィナンシャルリサーチ 

<今週の東京株式市場見通し>

 今週(8/7~8/10)の日経平均株価の予想レンジは19,800円-20,100円。東京株式市場は「山の日」の祝日が入るため、4日立会い。ドル円相場が1ドル=110円前後で下げ渋っており、円安反転の動きとなれば輸出関連株には追い風となる。一方、史上最高値更新が続くダウ平均を中心に米国市場の反落懸念も強く、多少の円安程度ではリスク選好地合いには変わりそうにない。

 米7月雇用統計の発表を通過したあとで手控え要因は減少するが、日米経済指標でも、7月景気ウォッチャー調査(8/8)、6月機械受注(8/10)以外に影響がありそうなものがなく材料不足となる。また、ボラティリティーの低い相場が続いたことで、8/10の8月限オプションSQに絡む売買もほとんどなさそう。今週がピークとなる国内企業の決算内容を材料に、個別株ベースのボラティリティー取りの動きが続きそうだ。

 8月は海外投資家の休暇に加え、日本でもお盆の関係上、投資家は売買をいつもより手控える傾向があることや、証券会社の従業員なども週単位で入れ替わり休暇をとる時期。売買代金は減少傾向となる年が多く、前回も指摘したように日経平均株価の昨年までの20年間の騰落の勝率は7勝13敗と分が悪い。

 テクニカル面では25日移動平均線(20,039円 8/4)を意識しながらもみ合い相場が続く。パターン分析では、時間をかけてゆっくり進行してゆくコイル型の三角もち合いで推移。上値抵抗線と下値支持線が次第に収れんし、上か下かに放れが近づいていることを示唆している。75日移動平均線(19,814円 8/4)のしっかりとした上昇が続いており、上放れによる年初来高値(20,318円)更新に期待したいところである。

 月足の一目均衡表では、7月は横ばいで推移した転換線(当月含む直近9カ月間の高値と安値の中値)が8月は強く上昇する。8月から9カ月前となる2016年11月は、トランプ氏が次期米大統領に決まり大波乱となったタイミングだ。その当時の急落で形成した安値が、8月の転換線の計算対象期間から消えてなくなるためである。月足ベースの重要な1本の指標が大きく変化することで、株価もどこかのタイミングで大きな変動が起きる可能性が高い。

(提供:DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部 東野幸利)

<今週の注目銘柄>

JT(日本たばこ産業)(2914) コール 121回
権利行使価格4,000円(原資産:3,802円) デルタ:0.4

 会社側は8月2日、今17.12期上期(1~6月)連結営業利益が3,133億円(前年同期比9.2%減)だったと発表。併せて、今17.12期通期の為替一定調整営業利益(為替影響や一過性の損益変動を除く営業利益)の計画を6,070億円から5,970億円へ減額することが公表された。国内の加熱式たばこ市場拡大による紙巻きたばこ販売数量前提の減額(年間9.6%減→12.4%減)が主因であるが、すでに新聞報道などで伝えられている話であって、サプライズはなし。決算は「ニュートラル」と見るべきであろう。むしろ、同社を取り巻く事業環境、業績に対する強気の見方は皆無に等しく、そうであれば、追加の悪材料が出ないことを「プラス」とみたい。

 権利行使価格として節目の4,000円を選び、期末の12月に向けての株価上昇を予想する。決算を受けての証券各社のレポートでは、ほとんどがレーティング「強気」「買い」、目標株価4,500~5,000円で据え置きとされている。これは、同社の株主還元が魅力的であることが背景。キャッシュリッチ企業の代表格であり、配当は手厚い。加えて、同社経営陣は減配を嫌がっているとされ、連続増配は当面続きそうである。個人投資家からすれば、株主優待も充実しており、やはり魅力的。下値をさらに売り込み、株価が下落していく展開は想定し難く、悪材料が出ない限りは、横ばい~じり高の株価推移が見込めよう。日足の一目均衡表を見ると、この8月中旬に「雲のねじれ」が見受けられる。これを機に株価が雲の上へと上昇し、「強気相場」に入ると想定。節目の4,000円からさらに上値を目指し、5~6月の高値4,200円レベルまでの上昇を予想する。

KDDI(9433) プット 145回
権利行使価格3,000円(原資産:2,998円) デルタ:-0.5

 8月1日に発表された今18.3期第1四半期(4~6月)連結営業利益は2,814億円(前年同期比2.3%増)となり、事前に報じられた日本経済新聞の観測報道、前年同期(2,751億円)並みをやや上振れた。一部では減益の可能性が高いとの想定もあったが、好決算と言えよう。決算がポジティブに評価され、翌2日の株価はマドを空けて急伸。節目の3,000円を超えてきた。通信事業、スマートパス/決済/クレジットカードなどの非通信事業、グローバル事業の全部門が好調に推移。モバイル事業に関しては業績懸念が広がっていたが、主力のパーソナルセグメントの営業利益が増益となっただけではなく、全セグメントが営業増益となっている。決算後のみずほ証券のレポートでは、「特に格安サービスとの競争が激化する中で、auブランド+MVNOのモバイルID数が想定どおり増加傾向にあるだけではなく、契約数が減少しつつあるau通信ARPA収入も再び前年同期比増収に転換。データトラフィック増のマネタイズがうまく回り始めた証左」との評価がなされている。

 同社の経営や業績への評価が高まってきているとみられるものの、一方で、ここから株価がグングン上昇していくには、カタリストが不足していると考える。2016年12月以降、株価はおおむね2,850円~3,100円のボックス相場で上下動を繰り返しており、3,000円を超えてくると、株価上昇のモメンタムが弱含む傾向が続いている。今回の好決算を受けての株価急伸でも、8月2日高値3,041円を高値に上値の重さが意識される。日足チャートで一目均衡表を見ると、ちょうど雲の上限でアタマを抑えられた格好。8月10日前後に「雲のねじれ」があり、これを機に雲の上へと上伸する展開も考えられるが、むしろ上抜けられずに下落する展開を予想する。

アップル(AAPL) コール 85回
権利行使価格170米ドル(原資産:155.57米ドル) デルタ:0.4

 現地時間8月1日の取引終了後に発表となった第3四半期(4~6月期)決算は、市場予想を上回る増収増益となった。売上高は前年同期比7.2%増の454億0800万ドルとなり、市場予想の449億4,500万ドルを上回った。純利益は同11.8%増の87億1,700万ドル(市場予想82億0200万ドル)、希薄化後の1株当たり利益は1.67ドル(同1.57ドル)で、ともに市場予想を超過。株価は発表後に急伸し、上場来高値を更新した。第3四半期のiPhone(アイフォーン)販売台数は1.6%増の4,103万台。なお、販売平均価格が606ドルと市場予想の621ドルを下回ったことから、iPhoneの売上高は248億ドルと市場予想255億ドルに届かなかった。これについてロイターニュースでは、マエストリ最高財務責任者(CFO)は「アップルが報告しているのは消費者に販売した台数ではなく、小売り業者向けに出荷した台数(セルイン)であることを踏まえ、小売り業者の在庫から消費者に販売された『ハイエンド』機種の台数で計算し直すと、平均販売価格はより高いものになる」と語ったと伝えている。

 例年、9月の新モデル発売を控えた第3四半期決算は軟調となりがちだが、今回の好決算はサプライズである。消費者が新モデル発売まで購入を控える傾向は薄れてきているもよう。とは言え、iPhoneユーザーや株式市場が「iPhone8」に期待しているのも事実。顔認証が導入されそうなどの観測がすでに伝えられており、やはり、期待値は高い。強気派の投資家の間では、次期iPhoneが成功すれば、アップル株は200米ドルも見込めるといった見方もあり、株価の上昇モメンタムは当面強そう。権利行使価格として、高値更新が続くとみて、170米ドルを選ぶ。

(提供:DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部 小林由二)

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