2021年10月4日の特選銘柄

<今週の東京株式市場見通し>

今週(10/4~10/8)の東京株式市場は戻りを試す展開か。日経平均株価の週間予想レンジは28,500円~29,500円。米国での債務上限問題のほか、中国での不動産業の資金繰り問題や電力不足の問題など、外部環境の不透明感は継続し、今後も日経平均は不安定な動きを強いられる場面がありそうだ。しかし、衆院選に向けた機運や新政権による経済対策への期待もあり、前週の急落からの自律反発も相まって、相対的には戻りが期待される。

米国の政府閉鎖危機については、上下院が暫定予算案を可決したことでひとまず回避された。一方で債務上限問題は依然として解決しておらず、米連邦政府のデフォルト(債務不履行)リスクは残る。しかし、これは民主党と共和党との間のいわば政治的チキンレースである。デフォルトなど誰も望んでいないことは確かで、最終的には避けられる問題と考える。過去にも同様の背景から相場が一時的に調整したことはあるが、長く影響をもたらしたことはなく、過度な不安は必要ないといえよう。

他方、中国の恒大集団をきっかに台頭した不動産業の資金繰り問題については複雑だ。中国の大手銀行に占める不動産企業向け融資の割合は1割にも及ばないほか、有利子負債の自己資本に占める割合も大きくない。また、同国では銀行の大半が国有企業であるため、金融システムに波及する可能性は低く、政府もそうした事態はさすがに回避するはず。そのため、2009年のリーマンショックのような世界的な金融危機に陥ることはないだろう。

だが、習近平政府の掲げる“共同富裕”の達成に向けた動きから、政府が安易な救済策を施すことは考えにくく、ソフトランディングとはいえ、不動産業はバブルが崩壊し縮小方向に向かうことが想定される。そのため、同国の景気減速という実体経済への影響が懸念される。また、政府の環境規制強化などをはじめ複数の事情が相まって、中国では深刻な電力不足の問題が起きている。工場の操業停止など、こちらも実体経済への影響が警戒される。

そのほか、欧州でもガスや電力価格が高騰しており、世界的なインフレ懸念が強まっている。欧米の中央銀行は揃ってインフレについては「一時的」との姿勢を変えていないが、同時に、インフレが予想以上に大きく長引いていることを認めている。

中国経済の景気減速や世界的なインフレがもたらす実体経済への影響を懸念し、10月下旬から本格化する日米主力企業の7-9月期決算で示される先行き見通しにも警戒感が伴う。外部環境の不透明感が強く、相場が調整色を強めるなか投資家心理も悪化しており、企業決算を確認するまでは積極的な買いが期待しにくい。下値模索には至らずとも、少なくとも上値抑制要因にはなりそうだ。

一方、前週末に日経平均株価は29,000円を大きく割り込んだが、この水準から、一段と日本株が下押しすることは考えにくい。前週の日経平均株価は週間で1,477.74円下げ、週末10月1日だけで681.59円も下落した。しかし、前週末は国慶節入りに伴い、中国・香港市場が休場だったことで、アジア株売りの動きが東京市場に集中した可能性がある。これが短期筋の先物主導での売りを強め、下落に拍車をかけたとも考えられよう。そのため、オーバーシュート気味に突っ込んだ印象を否めず、短期的な押し目買いが入りやすいだろう。

またこの先は、自民党総裁選で勝利した岸田文雄新総裁による組閣人事や、衆院選に向けた経済対策への期待などが日本株の下値を支えると想定される。改革色が強く海外でも人気の高かった河野太郎氏が敗れ、安定感のある岸田文雄氏が勝利したことで、日本政治に対する海外投資家の見方がややトーンダウンしたような印象は否めないが、今後の岸田新内閣の動き次第では、再評価の可能性も残される。また、機運が高まれば、衆院選に向けた株高アノマリーへの意識も強まる。外部環境の不透明感継続から短期的な急反発は見込みにくいものの、年末まで視野を広げれば、一段のダウンサイドよりはアップサイドの方が見込める局面と捉えておきたい。

短期的な物色動向については、国内外の機関投資家などが主体的に手掛ける時価総額の大きい東証1部の主力株に関しては、7-9月期決算を確認するまでは大きな動きは期待しにくい。一方、中小型を対象にDXや脱炭素などのテーマ性のある銘柄の押し目買いには妙味がありそうだ。また、前週に7社あった新規株式公開(IPO)銘柄についても、需給重視の物色が活発化しそうだ。そのほか、小売企業の6-8月期決算が本格化するため、決算プレーも増えてきそうだ。

なお、今週は10月4日に米8月製造業受注、OPEC(石油輸出国機構)プラス、ノーベル医学生理学賞発表、5日に米8月貿易収支、米9月ISM非製造業景況指数、ノーベル物理学賞発表、6日に米9月ADP全米雇用統計リポート、ノーベル化学賞発表、7日に8月景気動向指数、9月都心オフィス空室率、ノーベル文学賞発表、8日にオプション取引に係る特別清算指数(SQ)算出、8月家計調査、9月景気ウォッチャー調査、米9月雇用統計、ノーベル平和賞発表などが予定されている。

<今週の注目銘柄>

オラクル(ORCL) コール 29回
権利行使価格90米ドル(原資産:87.13米ドル) デルタ:0.47

データベースやソフトウエアの開発・製造に加え、サポートや保守・運用サービスを企業向けに提供している。米国ではワクチン接種を拒む層が一定数いるため、ワクチン接種率の進展が止まっている。そのため、新型コロナウイルス感染も根強く続いており、オフィスでのフルワーク復帰を諦める企業も続出している。完全テレワークやリモートワークとオフィス出勤を組み合わせたハイブリッド型などの勤務形態が常態化しつつあるなか、IT環境の整備を進めようとする企業の動きは継続して強い。そうした需要を取り込み、同社の業績も好調が続く。株価については、相場が調整色を強めるなかでも、同社を含めIT系企業は相対的に底堅く推移しているものが多い。

エヌ・ティ・ティ・データ(9613) コール 87回
権利行使価格2,200円(原資産:2,122円)デルタ:0.49

情報システム大手で、DX銘柄の筆頭格でもある。官公庁や金融機関向けに強みがあり実績豊富。DX化が進展するなか民間向けの受注が好調なほか、デジタル庁創設に伴い、官公庁向けの一層伸びにも期待がもてる。課題として残っていた海外事業も、構造改革の結果として収益性が改善し、利益がしっかりと出るようになってきた。株価は好調で、地合いが悪いなかでも25日移動平均線をサポートとしたトレンドが継続しており、今後の展開にも期待が持てそうだ。

SUMCO(3436) コール 240回
権利行使価格2,600円(原資産:2,151円)デルタ:0.27

前週、300mm半導体用シリコンウェーハのグリーンフィールド投資の実施、並びに、6,000万株の公募増資実施を発表、一株当たり価値の希薄化が嫌気され、週末に株価は大きく下落した。発行新株は発行済株式数の約21%とインパクトが大きいため、希薄化懸念のほか需給悪化懸念から株価への影響が残る可能性も想定される。一方、データセンターや5G、EVなどの旺盛な需要を背景に半導体市況はひっ迫しており、特にシリコンウェーハの市況は向こう3年ほどさらにひっ迫化していく見込み。そのため、以前から需要に対応するためのグリーンフィールド投資は想定されており、それが思ったよりも早く決まったといったところでネガティブなサプライズでもない。むしろ、これでかねてからのファイナンス懸念が払しょくされた。また、顧客との長期契約の締結は順調に進んでいるようで、株価が横ばい推移になるなど、需給懸念が一巡したあたりでのエントリーに妙味がありそうだ。


(提供:株式会社フィスコ)

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